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学校の人気者が将来必ずしも成功するわけではない

 「足の速い子がモテる」という説が昔から小学校では有力であるとされていますが、それは今の小学生にも当てはまるようです。特に高身長でイケメンの雰囲気が漂う子がモテるのは、どの時代でも変わらないみたいです。

 他にも、「勉強ができる」「お金持ちである」「ゲームをたくさんもっている」といった子は、人気があります。

 僕の少年時代と比べてみても、小学生時代に人気がある人は今も昔もあまり変わらないようです。


2種類の人気者

 「スタンフォード式生き抜く力」(著 星友啓)に、人気者に関するおもしろい研究が紹介されていました。

 アメリカの心理学者ミッチ・プリンスタインの「人気者」に関する研究をご紹介します。プリンスタインによると、人気には2種類あるそうです。

 1つ目は、学校での成績やスポーツ、見た目などの「ステータス(社会的地位)の人気」。先に述べた、「足が速い」「勉強ができる」「お金持ち」「ゲームをたくさんもっている」などが、ステータスの人気に当てはまります。いわゆる「小学生時代の人気者」のイメージにぴったりです。

 2つ目は、性格など内面的な理由による「性格の人気」です。「思いありがある」「共感的である」「好感度が高い」「気遣いができる」などが「性格の人気」に当てはまります。いわゆる「いい人」ですね。

 この2種類の人気者のうち、どちらが将来成功する可能性が高いのか。

 それは、言わずもがな、後者の「性格の人気」の方です。


「ステータスの人気」を得てもうまくいかない理由

 なぜ「ステータス(社会的地位)の人気」を得ても、うまくいかないのでしょうか。

 プリンスタインによりますと、「ステータス(社会的地位)の人気」を追求しすぎると、アルコール依存、薬物依存、うつ病、社会的孤立などの健康リスクが増加するだけでなく、恋愛や友人を得る確率も下がってしまうという研究結果が出ているのです。

 さらに周りの目を気にし始める中高生ぐらいからは、ステータスの人気を追い求めてしまいがちになります。思春期の到来により、小学生時代に感じていた自分の見た目や能力に対するコンプレックスが一層強くなり、容姿や所持品、お金などへの執着が高まっていきます。これは誰しもが通る道ではないでしょうか。

 現代では、そこにSNSのステータスも加わってきます。フォロワーの多さ、いいねの数、PVなど、数え出したらキリがない数を追い求める。それが中高生から始まり、大人にも当てはまっていきます。

 「ステータス(社会的地位)の人気」を追い求めることは、こうした「他者との比較」を常に意識することになります。自分と周りとを比較し、自分のステータスにコンプレックスをもって生きていくのは疲れます。それが様々な健康・対人関係リスクにつながるのではないかと思います。

 そのことに気付かずに、思春期の延長のようにステータス(社会的地位)を追い求め、消耗している大人が数多くいるようです。


「性格の人気」が高い人

 「ステータス(社会的地位)」に対して、「性格の人気」が高いは、就職率、昇進率が高い傾向にあるそうです。何をもって人生の成功とするのかは人それぞれですが、就職、昇進というのも1つ成功といえます。

 では、どのような人が「性格の人気」が高い人といえるのでしょうか。プリンスタインによると、以下の項目が「性格の人気」が高い人の条件のようです。

①うまくその場その場の状況に適応する
②適度に頭がいい
③いつも機嫌がいい
④自分の言いたいことを言えて、他の人にも配慮できる
⑤アイデアが豊富で、交友関係の難しい状況を解決するのがうまい
⑥みんなの和を乱さない

 つまり、臨機応変で頭脳明晰、いつもニコニコしていてコミュニケーション能力が高い人、ということです。

そんな完璧な人、そりゃ成功するわ!

って、自分で書いといてツッコミたくなりました^^;

 6つの項目すべてに当てはまる人を探してみても、かなり少ないのではないかと思います。人間だれしも得手不得手がありますから。

 自分が1つでも当てはまっていたら、そこが自分の長所となる所です。その1つの条件で力を発揮しつつ、他の5つを少し意識して「性格の人気」を高めていくことが大切ではないかと思います。


「性格の人気」を見つけよう

 異性に対し、見た目を取るか、中身を取るかは永遠のテーマですが、今回は、このテーマに終止符を打つような研究を紹介しました。この研究から考察するに、性格が良くないと幸せなパートナーとはなりえないようです。もちろん見た目も中身もすばらしい王子様(お姫様)が現れることもあるのが恋愛のおもしろい所ですが。自分自身を見つめる上でも、ステータスの人気にとらわれていないか、気をつけたいところです。

 もしお子さんが友達が少なく、周りから愛されていないと感じるようなことがあっても、焦る必要はないかもしれません。小学生から思春期の子は自分の見た目や周りの目を気にしがちです。性の目覚めとともに、みんなが「ステータスの人気」を追い求めてしまうのは、もはや防ぎようのないことです。

 ですが、年齢を重ねていくうちに、皆がその夢から醒めます。そのとき改めて「性格の人気」の重要性を知るのです。

 上記6項目のうち、お子さんに1つでも当てはまるものがあれば、安心してその力を伸ばしてあげればよいのではないでしょうか。たとえお子さんがまだ夢の中にいても、その力は将来のために必要不可欠なものになるかもしれませんね。




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