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肌の老化の原因2「安徽(Anhui)医科大学の論文」

こんばんは、ヒロです。肌の老化の原因シリーズ二つ目の論文です。

参考文献はこちら

2018年の論文で、肌の老化に関することの文献レビューになっています。

肌の老化1では疫学的な視点での老化でしたが、この論文は分子的に見たときの老化のメカニズムを詳しく書いています。

それではいきましょう。

・外因性と内因性の老化
筆者は老化の原因を、外因性によるものと内因性によるものの2つに分けています。外因性は、大気汚染、喫煙、栄養不良、日光などの外部環境による皮膚の老化のことで、内因性は、皮膚が乾燥したり、衰えたりするいわゆる生理学的な老化のことを示します。皮膚の老化の80%が日光による老化であるとの報告もあるようです。


肌の老化の原因のメカニズムとは?

1.酸化ストレス

活性酸素(ROS)は、日光による光老化と普通の老化の2つの原因とされています。ROSによって、皮膚の細胞外マトリックス(真皮の繊維みたいなのの総称)が変化します。


2.DNA損傷

皮膚を紫外線にさらすと、DNAが損傷し、老化やがんにつながります。DNAがUV-Bからのエネルギーを吸収すると、再配列が起こります。その際にDNA鎖の欠陥が生じるようです。要はうまく再配列できないってこと。


3.テロメア短縮

これも紫外線によるものと言われています。テロメアが短くなるのを防ぐテロメラーゼを持たないマウスを使用した実験では、そのマウスが表皮の細胞を修復する能力が低下した、という結果がでたようです。


4.マイクロRNA(miRNA)

マイクロRNAが細胞の老化に関わっているということが近年わかってきており、マイクロRNAの一つである、miR-23a-3pが肌のヒアルロン酸の合成量にかかわってきているということがわかったようです。

マイクロRNAについてはこちら


5.糖化最終産物(AGE)

の蓄積AGEは糖化と呼ばれる現象で、内因性と外因性の両方が影響しています。紫外線にさらされることで、AGEの前駆体を解毒する酵素が大幅に減少するようです。

紫外線によって、糖化が促進されるんですね・・・


6.遺伝の変異

遺伝子の変異で、老化や脱毛が早く進んでしまうということが確認されているようです。

7.炎症

慢性炎症のことで、私もさんざ書いています。

紫外線ダメージ→酸化した脂質が発生→それを除去しようと頑張る=炎症

という紫外線ダメージによる炎症のメカニズムが提案されています。


・皮膚の老化を治療するには?

1.酸化防止剤、還元剤

メカニズム的には、酸化に立ち向かうには還元する必要があり、酸化防止剤でROSを中和できます。

・ビタミンC、ビタミンEの抗酸化物質
・スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、コエンザイムQ10の抗酸化酵素
・自然の抗酸化作用を持つ緑茶、アロエベラ

これらを上げています。EGCGが皮膚の老化を防ぐという実験とグルタチオンの前駆体であるNACがアンチエイジングにつながるかもという実験もあるようです。

しかし、抗酸化サプリメントは慢性疾患を予防しておらず、ベータカロテンやビタミンA,Eの過剰摂取は副作用をもたらすようです。この辺は私も書いてますよね。

ROSは多すぎても少なすぎてもダメということです。


2.幹細胞療法

幹細胞を移植することです。移植することで、皮膚の再生が戻るということを示唆するデータがあるようです。


3.レチノイド

ビタミンAに似ているレチノイドは、コラーゲンの分解の原因とされているMMPの発現を抑制するだけでなく、表皮の厚さと係留線維(アンカリングフィブリルズ)が増えることが確認されています。


4.ホルモン治療

ホルモンを補充することで皮膚の老化を遅らせることができるようです。具体的には肌の厚さ、コラーゲンの量、弾力性、水分量を高めるようです。しかし、乳がんの発症リスクを上げてしまうようです。


5.テロメア

テロメラーゼを活性化させることが、皮膚の若返るに効くようですが、逆に皮膚が老化する可能性があり、まだまだ研究が求められています。


6.食事制限

糖化を元に戻すことは技術的にまだ難しく、タンパク質の糖化を防止するというのがベストの戦略。このため、グリル、フライ、ローストという調理法をやめ、ゆでるなど調理法に変えるべき。

糖化を抑えると期待されているのは以下の通り

フルクトースによって誘発される糖化の予防
・ハーブやスパイス(シナモン、クローブ、オレガノ、オールスパイスetc)

AGE形成を阻害
・ショウガ、ニンニク、α-リポ酸、カルニチン、タウリン、カルノシン、フラボノイド(緑茶カテキンなど)、ベンフォチアミン、αトコフェロール、ナイアシンアミド、ピリドキサール、セレン酸ナトリウム、セレン酵母、リボフラビン、亜鉛、マンガン


7.早老症対策

早老症患者を救うための治療法が論文に書かれていました。割愛します。


8.抗炎症

皮膚の炎症のメカニズムは完全に証明されているわけではないので、完全な治療はできないが、マイコスポリン様アミノ酸(MAA)という紫外線を吸収する化合物を使った治療が行われているようです。


・感想

対策として自宅でできることは私が書いたnoteに詳しく書いています。この研究で、紫外線が糖化を促進することを知ったので、日焼け止めの重要性を再認識しました。


以上です。面白かったな、よかったなと思ったらスキしてもらえると嬉しいです。もっと美肌について詳しく知りたいのであれば、このnoteを見てみてください。購入してもらえたら泣いて喜びます。





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