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暫く高次脳機能について投稿したいと思います

第一弾は身体・病態失認について。


まず身体失認と病態失認の違いについて

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身体失認

感覚障害の有無を問わず、自己の身体所有感が抜け落ちる
自己の身体に対する認知障害

概ね、自分の身体をADL上で使おうとせず、見ることもなく無視するといった症状を示す。言語を用いて促せば気づくこともある。(無視症候群)


病態失認

自分の病態に気がつかず、麻痺している存在を無視したり否認する

急性期で出現することが多い。患者は正常な手足があるかのように振る舞ったり、検査者の問いかけに対してもそのように返答する。
足は動かないと言うが、歩けると言うケースなど


サブタイプと呼ばれるものが複数ありますが今回は割愛します。
責任病巣がおおよそ決まっていますが、そこに他の障害が起こることによりサブタイプが生まれます。

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責任病巣

身体失認

右側頭〜頭頂葉から前頭葉を含む大きな病巣
下頭頂小葉、後部島皮質

病態失認

右下頭頂小葉、上・下前頭回を含む、皮質・皮質下病変を含む広範囲の病巣
辺縁系、眼窩前頭皮質、前部帯状皮質、前部島皮質

右中心回、視床、内包病変といった見解もあり、どちらの病態も片麻痺も存在は必須と言われている。

まとめると・・

運動・感覚障害があり、後部頭頂葉〜前頭葉に至る経路を構成する白質繊維の損傷を伴う右半球の前頭〜頭頂ネットワークの機能不全により出現する。

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評価

基本的には行為や行動を観察することで捉えます。意識される、身体失認であれば、非麻痺側の身体と比較し、麻痺側の状態を問い患者の内観を評価することがほとんど。

可能であれば以下のような評価用紙を用いて行う。

画像1

画像2

画像3

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リハビリテーション

エビデンスは存在せず、標準的な介入の考え方も提案されていない

まずこれを理解しましょう。だからと言って改善しないというわけではありません。

エビデンスがない=改善しない 

ではありません。過去のデータ、脳機能から考えることが重要です。

・急性期に病態が多い

・半身の忘却・不使用を症状の中核にしている

・身体・病態失認の多くは麻痺手に出現すること

などの過去の報告を考えると早期よりADLでその使用を促すことが原則的なアプローチと言えるかもしれません。

・CI療法
・両側身体活動
・振動刺激による運動錯覚
・ミラーセラピー
・VR
・セルフタッチ

どれも身体所有感、行為主体感に働きかけるアプローチです。
詳しい治療法は割愛しますがどれも身体・病態失認の病巣を知り、その脳機能を考えれば思いつくアプローチ法です。

私自身は両側身体活動を主に取り入れることが多かったです。

最後になりますが本内容は身体・病態失認の概要を中心にお伝えしました。

臨床では個別性が非常に強く、今回の内容が当てはまらない事が殆どです

しかし、概要や脳機能を理解していなければ調べる事すら出来ません。

このnoteが臨床のヒントになれば幸いです。

参考書籍:森岡周. 高次脳機能の神経科学とニューロリハビリテーション


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