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性別-LGBTQ+とかいうやつの話

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単純に、倉谷が性別についてモチャモチャ話をしているだけです。濃さはブラックコーヒーくらい。べつに何の役にもたちません。祈りながら書いています。
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記事一覧

この病院の中でだけ、僕は彼女の弟だ

この病院の中でだけ、僕は彼女の弟だ

「旦那さんは外で待っててくださいね」
そう言われるのは、うれしかった。

もちろん、喜んでいる場合じゃない。
でもこの時一緒にいた彼女も内心喜んでいたらしいから、僕のぬか喜びくらいは大目に見てほしい。

体調を崩し、救急外来を受診してそのまま入院が決まった彼女。命にかかわる疾患ではないことだけが救いだった。寝たまま健気にピースを繰り返す彼女と雑談を繰り広げていると、看護師さんが入院に必要な書類を手

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「LGBTQ+です」と自己紹介するひとが、どうにも苦手だ

「LGBTQ+です」と自己紹介するひとが、どうにも苦手だ

 自衛を含んだ偏見の話をする。

 僕はいわゆるLGBTQ+当事者だ。毎回ちょっと意外な顔をされるが、基本的に、他の当事者はちょっと苦手。初対面だと警戒度合いはさらに跳ね上がる。理由は単純で、たまに「距離感がおかしい人」とカチ合うことがあるからだ。自衛を含んだ偏見は、一緒にいて心がしんなりするひとを見分ける機能を持っている。

 「私〇〇なんです~」って自分のカテゴリを申し添えて自己紹介を

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首を括り損ねた10年前の僕へ

首を括り損ねた10年前の僕へ

 「瞳゛を゛ーと゛じーれ゛ばーあ゛な゛ーた゛がーーー」
 彼女が物干し竿の近くに立ち、ひとりで音割れしながら「3月9日」を歌っていた。確かにいまは卒業・入学シーズンだ。それを意識しているのかと思ったが、そんなことはなかった。単純に、いまそれを歌いたい気分だから、という理由で選曲したようだ。
 そのまま「まぶたの裏にいることで」と歌いながら僕のまぶたを持ち上げて中に入ろうとしてきたので、やめてほしい

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