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倉谷ユウ
2021年5月15日 18:31
「旦那さんは外で待っててくださいね」そう言われるのは、うれしかった。もちろん、喜んでいる場合じゃない。でもこの時一緒にいた彼女も内心喜んでいたらしいから、僕のぬか喜びくらいは大目に見てほしい。体調を崩し、救急外来を受診してそのまま入院が決まった彼女。命にかかわる疾患ではないことだけが救いだった。寝たまま健気にピースを繰り返す彼女と雑談を繰り広げていると、看護師さんが入院に必要な書類を手
2020年5月29日 10:33
自衛を含んだ偏見の話をする。 僕はいわゆるLGBTQ+当事者だ。毎回ちょっと意外な顔をされるが、基本的に、他の当事者はちょっと苦手。初対面だと警戒度合いはさらに跳ね上がる。理由は単純で、たまに「距離感がおかしい人」とカチ合うことがあるからだ。自衛を含んだ偏見は、一緒にいて心がしんなりするひとを見分ける機能を持っている。 「私〇〇なんです~」って自分のカテゴリを申し添えて自己紹介を
2020年4月7日 22:25
「瞳゛を゛ーと゛じーれ゛ばーあ゛な゛ーた゛がーーー」 彼女が物干し竿の近くに立ち、ひとりで音割れしながら「3月9日」を歌っていた。確かにいまは卒業・入学シーズンだ。それを意識しているのかと思ったが、そんなことはなかった。単純に、いまそれを歌いたい気分だから、という理由で選曲したようだ。 そのまま「まぶたの裏にいることで」と歌いながら僕のまぶたを持ち上げて中に入ろうとしてきたので、やめてほしい