kurasumi

以前、少し小説めいたものを載せてましたが、思うところあって退会しました。 評価してくだ…

kurasumi

以前、少し小説めいたものを載せてましたが、思うところあって退会しました。 評価してくださる方もいらっしゃるのがわかったので、再開します。 以前のネームは「カブトムシ」でした。 よろしうお頼み申します。

最近の記事

「我がドリーム・カムズ・トゥルー」②

放置が続いてすみません。 コメントをいただいてもレスしないし。 申し訳ないです。 これまでの短編小説モドキと違うスタイルで、脈絡なく書き綴ってみるのもありかなぁと思ったりしてます。 なので、オムニバスに近いかな。 でも、絡みシーンにもいずれまた戻りますよ。 今回は一人称です。

有料
100
    • 「我がドリーム・カムズ・トゥルー」①

      「え! 何?」 一輝はビックリして叫んだ。 トイレで腰掛けていたら、優美がノックもせずに、いきなりドアを開けたからである。 優美は一輝の抗議の声を無視して、サッとトイレの中にすべるように入り込むと、後ろ手にドアを閉めた。 「何なの? 入ってんのに」 「流さなくて良いよ」 優美は一輝を立たせると、自分が交替して腰を下ろした。 そして、一輝が慌ててトイレを出ようとするのを鋭い声で制した。 「待って。見ていって」 ショワショワショワ~~ 狭いトイレに二人分の匂いが立ち込めた。 一輝

      • ファクション

        事実はファクト。 創作はフィクション。 どちらでもない中間的な作品をファクション(faction)というらしいです。 今度は自分の体験を基に登場人物の設定を変えて小説風にアレンジしたのを書いてみようかなと思ってます。 いつものようにリアリズムの追求を心がけつつ。 書けるかどうかわかりませんが。

        • 雑報

          kurasumi名義のTwitterのアカウントを閉鎖したのは1月30日。 消したアカウントは30日以内なら復活できることになっていて、その期間内は「2023/03/01までであればTwitterアカウントを復活させることができます」っていうメッセージが表示されてました。 ところが‥‥ 30日過ぎたし、そろそろ新しいアカウントを開くかと作業に取りかかったら、あら? 10日も過ぎたのにまだ同じメッセージが出てくる。 システムエラー? それとも、Twitterって案外万事手動

        「我がドリーム・カムズ・トゥルー」②

          「温室にて」その5

          社長の処刑  園部は、この日用意した最後のカブト虫を取り出し、麻子の前に押しやった。今までのカブト虫より一回り大きな個体だ。 「やっと出てきたのね。どこに隠れてたの、社長。仲間が踏み潰されるのを見てたんでしょう? どんな気持ちだった?」 麻子は“社長”が逃げる方にパンプスを踏み降ろし、行く手をさえぎる。“社長”は仕方なく方向を変えて歩き出す。その先に再びパンプスが降りてくる。

          有料
          100

          「温室にて」その5

          「温室にて」その4

          ――最初の1匹よ。じっくりと味わわなくちゃ。 横でカメラを構える園部の息が荒くなった。おそらく、その息づかいは、集音器で増幅され、かなりはっきりと録音されてしまっているはずだ。 麻子はカブトムシを踏みつけている足に少し体重を乗せた。 ミシッ! ――あっ!音がした。これぐらいで、もう潰れ始めちゃうのね。 踏みつけている足にかける体重を少し増した。 ミシミシッ! ――あっ! 今度ははっきりわかった。潰れてる。足が少し沈んだもの。 また少し体重を加える。

          有料
          100

          「温室にて」その4

          「温室にて」その3

          「温室の中はいつももう少し温度を高くしてるんだけど、今日は蘭に影響が出始める寸前まで下げてるんだ。冬服を着て演じてもらいたくて。季節感が欲しいからね。」 そう言えば、この前はコートを着ていられずに、すぐに脱いだはずだ、と麻子は思い出した。  今日の麻子はキャメルのロング・コートを着ている。ブーツに合わせて黒かオフホワイトのコートにしたかったのだが、園部に「白や黒は写りが良くないので他の色にしてほしい」と言われ、あきらめた。肩には黒に近いダーク・ブラウンのショールを巻いてい

          「温室にて」その3

          「温室にて」その2

          3か月もご無沙汰してしまいました。 続きです。 「女神の踏石」へのオマージュが織り込まれているの、わかりますかね? ――いつまで歩いてるんだろう? 麻子がそう思った次の瞬間、画面に小さな黒い固まりが写ったかと思う間もなく、上から女のパンプスが降りてきて、バキッという目の覚めるような破壊音とともに、それを踏み潰してしまった。いや。踏み潰したというのではない。歩いたのである。小さな物体の上を。歩いていて、たまたま足を踏み降ろす場所にゴミのような物があっただけで、避けるのも面

          「温室にて」その2

          「温室にて」その1

          旧作の改訂版です。 今度のも2代目のぼんぼんが主役です。 ワンパターンだね。w 「まあ、綺麗。」 天井から吊り下げられた木枠に太い根で絡みついた、いかにも熱帯性らしい大輪の花々を見て、麻子は感嘆の声を上げた。 「これは何ていうお花?」 麻子は振り返って訊いた。硬かった表情がようやくほぐれかかっていた。 「バンダ。そいつは蘭の中でも特に低温と乾燥が嫌いでね。普通の部屋だと長もちしないんだ。鑑賞するには、めんどうでもここまで来なくちゃならない。」 園部は麻子の変化を認めて少し饒

          「温室にて」その1

          沼正三超え(笑)

          日本のM男の最高峰は誰か? 若い人は知らないと思いますが、ある程度のキャリアのあるM男さんなら沼正三の名を挙げるのではないでしょうか。 かの『家畜人ヤプー』の作者です。 テーマがテーマだけに、裏の世界の作品扱いですが、質の高さでは戦後日本文学の傑作の一つに数えられてしかるべき小説です。 三島由紀夫など一流の作家さんが称揚したことも知られています。 この『ヤプー』には、作者にも作品にも、偽物が出回ってるので、それしか接したことが無い人は「どこが傑作だ」と思う人もいるでしょう

          沼正三超え(笑)

          前世紀のお話

          だいぶご無沙汰しました。 再開したばかりで早くもネタ切れ状態で。 前も書いたことですが、昔のことを少し。 夏休みはどこにも行かず、自宅でごろごろしてました。 昔のフェチ仲間の手紙を引っ張り出して、寝っ転がって読んだりしてね。 一番古いのはインターネット普及以前の紙の手紙です。 時代を感じます。 パンプスさんの手書きのメッセージが一番古いか。 ビデオのカタログも紙の印刷物でした。 パンプスさんは注文してもなかなか送ってこないんで、イライラさせられたました。 詐欺かと

          前世紀のお話

          『シン・ウルトラマン』に想う

           他のところでも書きましたが、自分がフェチの世界の住人になったのは、初代ウルトラマンがきっかけ。  第33回の「禁じられた言葉」に登場した巨大フジ隊員に自分の人生を決定付けられました。  もっとも、本当に衝撃を受けたのは、テレビの映像ではなくて、その後『少年マガジン』に連載された楳図かずおによる漫画版。  楳図版の魅力はテレビには無かったブーツでの踏み潰しがしっかりと描き込まれていること。  初めてこれを見た時は、全身の血が逆流して、呼吸が止まるほどの衝撃でした。今思うと

          『シン・ウルトラマン』に想う

          アナログ時代の遺産

          ネット上で懐かしい絵を見つけました。 いわゆるgiantessものの絵です。 自分は本領はクラッシュよりgiantess。 小学生時代からの筋金入りです。 この絵は、まだ海外のフェチ業者と郵便でやり取りしていた時代に入手したカタログの表紙絵になっていたものです。 現物は今も所持しています。 どこにしまったかは忘れましたが。 当時はこんな絵一枚でも興奮したものです。 あれから何年かな。 今ではよほどの刺激がないと奮い立ちません。(笑)

          アナログ時代の遺産

          「秘密の部屋」その4

          「ハッハッハ、その通り。」 その言葉に振り向くと、いつの間にか、あたしの後ろに、高野先生が立っていました。 「小山が見つけてくれたよ。あいつは親父の代からの奴隷でね。よく役に立ってくれるよ。」 「あ、あの、あたし....」 もうパニックです。他にもなんか言ったはずなんですが、何を言ったのか自分でも思い出せません。 「今日はね。君がかならずこの部屋に忍び込むだろうと思ってね。それで皆で示し合わせて留守にしたんだよ。そしたら、やっぱり。」 高野先生はそんなに怒っている

          「秘密の部屋」その4

          モデルについて

           本作にはモデルがいます。 その昔、大学時代の友人の紹介でお見合いをした女性です。その女性、名前は忘れてしまったので、仮に作中の名で智香子と呼んでおきましょう。  智香子も、本作の主人公同様、音大を卒業して、弁護士事務所に勤めていました。聞くところによると、音大を出ても、学校の音楽教師を除くと、音楽で食べていくのは難しいということでした。彼女も音楽は趣味にとどめて、声楽のレッスンを続けながら、時々本場イタリアのオペラを鑑賞しに行くぐらいだと言っていました。  あんまり波長

          モデルについて

          「秘密の部屋」その3

           翌日から、あたしはなるべく早く仕事を切り上げて、事務所を出るようにしました。もちろん、盗聴器の音をチェックするためです。都合の良いことに、事務所から何十メートルと離れてない斜め向かいのビルに小さな喫茶店があるので、あたしはそこで受信機の音に耳を傾けることにしました。あたしが買った盗聴器は電池式だから1週間か10日しかもちません。電池を替えるためにわざわざあの部屋に入るチャンスを待つなんて面倒です。電池が切れるまでに何か起こってくれないかなあ、とあたしは祈りました。  それ

          「秘密の部屋」その3