モデルについて

　本作にはモデルがいます。
その昔、大学時代の友人の紹介でお見合いをした女性です。その女性、名前は忘れてしまったので、仮に作中の名で智香子と呼んでおきましょう。

　智香子も、本作の主人公同様、音大を卒業して、弁護士事務所に勤めていました。聞くところによると、音大を出ても、学校の音楽教師を除くと、音楽で食べていくのは難しいということでした。彼女も音楽は趣味にとどめて、声楽のレッスンを続けながら、時々本場イタリアのオペラを鑑賞しに行くぐらいだと言っていました。

　あんまり波長が合わなかったんで、何度かデートをしただけで連絡を取り合うのを止めてしまいましたが、華やかな世界の空気を漂わせていて、それなりに魅力的な女性ではありました。

　ちょっと素人が履きそうもないものすごくヒールの細いハイヒールを履いてたのが印象に残っています。英語で言う stilleto heel ですかね。イタリア製だったのかな。日本のメジャーなブランドのピンヒールにはない鋭さでした。踏まれたら相当なダメージを受けそうだなあとか思いつつも、フェチなんて間違っても話題にできない時代です。ノーマルな男性としてしばしお付き合いし、ノーマルな男性のままご縁が切れました。

という、思い出話でした。