『シン・ウルトラマン』に想う

 他のところでも書きましたが、自分がフェチの世界の住人になったのは、初代ウルトラマンがきっかけ。
 第33回の「禁じられた言葉」に登場した巨大フジ隊員に自分の人生を決定付けられました。
 もっとも、本当に衝撃を受けたのは、テレビの映像ではなくて、その後『少年マガジン』に連載された楳図かずおによる漫画版。

 楳図版の魅力はテレビには無かったブーツでの踏み潰しがしっかりと描き込まれていること。

楳図ウルトラマン

 初めてこれを見た時は、全身の血が逆流して、呼吸が止まるほどの衝撃でした。今思うと、幼い自分の体には既に巨大女やクラッシュに反応する下地があったんですね。

 当時、リアルの世界では、小学校の女の先生に憧れている人がいました。長身で立ち姿が美しく、田舎の学校なのにあか抜けたファッションセンスでひときわ目立っていました。

 この先生、長身なのに、絶対にハイヒールしか履かない人でした。教室の中でもヒールが高めのサンダルでした。小学生の自分にはとてつもなく大きく見えました。

 巨大女フェチはもしかしたら、この先生に育まれたのかもしれません。そして、ハイヒールフェチも。今でも郁子先生(実名ですw)のハイヒールはよく憶えています。

 初めて自慰を経験した時は、頭の中で郁子先生がフジ隊員のように巨大化して、怪獣のように暴れるシーンを夢想しました。想像の中の先生もスーツに身を包み、ハイヒールを履いていました。

 街を破壊し、暴れまわる郁子先生。自衛隊の戦車の激しい砲撃を受けますがまるで意に介さず、「そんなもの痛くも痒くもないわ」という顔つきで、反撃。踏み潰してしまいます。ハイヒールで。

 結局、この夢想がその後何十年間も自分の頭を占領し、支配し続けることになりました。今もです。

 だから、『シン・ウルトラマン』を見た時は、もうビックリ!

 例のヒロインの巨大化シーン。今度は、初代の時とは違って、制服ではなく、普通のビジネススーツに黒いハイヒール。まるで、小学校時代に夢で見てた郁子先生の姿そのものです。

巨大長澤まさみ

 夢が現実になるのはうれしいはずですが、あまりに夢と現実が符合すると喜びより、驚きが先行して、あっけに取られてしまうんですね。数分たっぷり続いた巨大化とその事後処理のシーンの間、スクリーンを前にしてただ呆然としていました。

 当然、製作者たちはこのシーンの持つフェチ養成効果を知っているはずです。そこをあえてツボを刺激するような作り方をしたとすると、遊び心では済まされない、罪深さがあると思いますよ。

 今後、この作品はテレビで繰り返し放映され、コンテンツとしても売り出されるわけですから、自分のようなフェチを再生産し続けるはずです。ノーマルになりたくもなれない辛さに堪えていかなければならない不幸な男を。それはもう貞子の呪いのビデオにも匹敵する恐ろしい映像と言っても過言ではないのではないか。

 なんて、半分冗談、半分本気で想うのでありました。

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