koji KURASAKO

一般社団法人Theatre Ort(シアターオルト)代表理事。舞台演出家、プロデューサ…

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一般社団法人Theatre Ort(シアターオルト)代表理事。舞台演出家、プロデューサー。社会教育士資格取得。立川市の廃校活用文化創造施設、たちかわ創造舎ディレクター。立川シアタープロジェクト実行委員長。立川市文化芸術のまちづくり協議会企画運営委員。洗足学園音楽大学非常勤講師

最近の記事

【文学朗読劇『こゝろ』についてのノート⑥】

朗読+劇=朗読劇?  今回の上演形態は「朗読劇」です。朗読でも、劇でもなく、朗読劇。それはつまり、朗読と劇を足したようなものなのででしょうか。それとも足して二で割ったようなものなのでしょうか。朗読劇とは何ぞやの解釈は人によって違うと思いますが、今回は私の考える朗読劇について書いてみたいと思います。 朗読と劇の違い  一口に朗読と言ってもいろいろあって、アナウンサー的な「読み」を重視した朗読もあれば、俳優が「語り」で演じることを重視した朗読もあります。それぞれ朗読によって

    • 【文学朗読劇『こゝろ』についてのノート⑤】

      前回に続き、『こゝろ』の出演者を紹介します。後編の今回は、「姉」役の岩坪成美さんと「妹」役の木谷美絢さんです。 岩坪成美さんのこと  実は今回の出演者四人のうち、岩坪さんだけが僕の教え子ではありません。前回書いたように内藤さんと林さんは桜美林大学、そして木谷さんは洗足学園音楽大学で僕と出会っています。岩坪さんとは遡ってみたら、2012年の夏にメールでやり取りしたのが最初でした。11年前ですね。きっかけはこのツイートです。  そして、その年の11月の群読劇『星の王子さま』

      • 文学朗読劇『こゝろ』についてのノート④

         『こゝろ』の出演者を紹介します。前編の今回は、「K」役の内藤裕志さんと「わたし」役の林大樹さんです。 二人の関係と二人と私の関係について  二人は桜美林大学総合文化学群(当時)の先輩後輩です。そして、彼らが在学中の2010年1月に、倉迫が演出した『近代能楽集』の共演者でもあります。4年生の内藤さんは「綾の鼓」の岩吉役と「弱法師」の高安役を、1年生の林さんは「綾の鼓」の戸山役でした。  内藤さんは卒業後、文学座に養成所から無事入座し、さまざまに活躍。文学座の公演情報で名前

        • 文学朗読劇『こゝろ』についてのノート③

          『こゝろ』を上演するきっかけ  第3回目は、「なぜ今回、『こゝろ』という作品を上演しようと思ったのか」を書いていきます。事の始まりは、るうさん(Ortの公演のビジュアル・ディレクションでお世話になっている)からのLINEでした。「新宿でお店をオープンさせようとしているんですが、改装前の空間で公演を打ちませんか?かなり雰囲気あります」。 空間との出会い  早速、見に行ったところ、びっくり。新宿駅南口から歩いて10分弱、文化服装学院のすぐ脇に位置するその場所は、都会のエアポ

        【文学朗読劇『こゝろ』についてのノート⑥】

          文学朗読劇『こゝろ』についてのノート②

          初演から再演への変更点  前回は、Ort『こゝろ』の上演歴を紹介しましたが、初演版から再演版へは大きな変更がありました。それは5人芝居から4人芝居になったことです。初演で事件の一部始終を目撃してきた女中が語り部として登場してたのを全カットしました。女中が感じていた疑念や不審を全く説明しないようにしたんですね。結果、再演では登場人物たちが隠していることや蠢いているものが「あるのに見えない」ことになり、観客の想像に委ねることになりました。 原作からの変更点  この「あるのに

          文学朗読劇『こゝろ』についてのノート②

          文学朗読劇『こゝろ』についてのノート①

          『こゝろ』の初演について  『こゝろ』は「こころ」です。真ん中の字は旧仮名遣いです。「じおくり」と入力すると出ます。夏目漱石の代表作の一つで、1914年(大正3年)に朝日新聞で連載、同年9月に岩波書店から出版されました。漱石自身による初版本の背表紙の装丁が「こゝろ」だったので、同様の表記をしています。  Ortが最初に、原作の第三章をもとにして『こゝろ』を上演したのは2000年12月27日〜30日、渋谷のギャラリー・ルデコ3でした。まだルデコでの演劇公演が少なかった頃です。

          文学朗読劇『こゝろ』についてのノート①

          2020年の日々・再び感染者急増

          12月2日いろんな報告が入ってくるが、そのたびに心削られる。自分のことなら奮い立てばそれでいいが、どうにもできなさがボディブローのように効いてきている。おそらく、今はただ目を閉じやり過ごすという選択が正しいのだとは思う。このまとわりつくような疲弊と心労によって、ばたばたと共倒れしていくよりは、一旦すべてを凍結した方が。だが、私たちはそれを選択できない。時間は止まらない。 12月5日今週末の、子ども未来エンゲキ部、全面的に構想を変更。そのための台本を一晩で書き上げた。15分く

          2020年の日々・再び感染者急増

          2020年の日々・邦楽ミュージカルと商店街ツアーとアラジン

          11月2日自分は幼稚園に上がる前まで宮崎にいたが、そこでの記憶は親と一緒に犬を引き取って車で運んだことしか今はもう残ってない。幼稚園から小学5年までは千葉県船橋市にいた。まあ、だから物心ついてからの記憶は船橋からだ。新京成線の高根木戸という駅に住んでいた。駅前にジャスコがあって初めてロッテリアができた時のことや、駅の近くの中華屋のチャーハンが好きだったことを覚えている。父親の働く東京支社は銀座にあり、我が家では遠いのに映画は銀座で観るものだった。おそらく船橋時代が無かったら、

          2020年の日々・邦楽ミュージカルと商店街ツアーとアラジン

          2020年の日々・再び創作の日々

          9月30日過去2年間閉講となった桜美林大学の「演出研究」の授業、今年度はなんと開講され、担当5回分のうち1回目をオンラインで無事終了。大学ごとに様々やり方が違うが、何とかなりそうかな。ただ、第2回目は一ヶ月後というね(笑)。桜美林大学で講師をするのは今年度で最後にするつもりなので、良い講義をしたいですね。 そして、今から洗足学園音楽大学の邦楽ミュージカル創作に向けてのオーディション。どういう形での上演になるかはまだ定かではありませんが、コロナ対策を行いながらのクリエーションを

          2020年の日々・再び創作の日々

          2020年の日々・一区切り

          8月29日ほうかごシアター、半年ぶりのリアル上演、無事、終えました。まさにホームでの上演という感じでした。創造舎の体育館で汗だくになりながら、スクリーン仕込んで、プロジェクター仕込んで、スピーカーとアンプとマイク仕込んで、楽器仕込んで、もちろん舞台装置も仕込んで、客席も仕込む。これらを全部、僕と出演者のみで行う。それがTheatre Ort。写真なんか撮ってる余裕は1ミリも無く、仕込みが終わればゲネプロ、開場したら客席案内、前説、本番中のオペと生音だし、後説と全部やる。俳優た

          2020年の日々・一区切り

          2020年の日々・半年ぶりのリアル上演

          7月31日倉迫が企画し、Theatre Ort名義で提出した「アートにエールを!」動画、公開されました。これで自粛期間中に考えた「もし自分の演劇を動画にするのなら」の3種類を製作、公開したことになります。どれも測ったように25分弱、その時間感覚が身についているんだなあ。次は、謎解き演劇と映像の融合を考えます。 ーーーーー 江戸川乱歩『人 間 椅 子』 江戸川乱歩の『人間椅子』を原作にした25分の短編演劇。撮影は廃校を活用した施設で行い、オープニングのみ廊下で撮影。本編は

          2020年の日々・半年ぶりのリアル上演

          2020年の日々・再び感染者増加

          6月29日ほうかごシアター・オンライン『はだかの王さま、耳はロバ』、おかげさまで好評をいただいております。ありがとうございます。一発撮りというのに驚かれた方も多いようですが、生演奏ですので編集すると変になっちゃうので、最初から最後まで一気に撮りました。カメラ3台を固定で撮影というのが効果的でしたね。画角への出入りやズームイン/アウトを俳優の意識下で行うことで、「見られている」ではなく「見せている」という主体性が強められたと思います。カメラマンがいて俳優を追いかけてパンしたりズ

          2020年の日々・再び感染者増加

          2020年の日々・緊急事態宣言が明けて

          5月26日外に出て遠くを見ないからか、老眼がずんずん進んでいる気がする。夜、本を読む気力が…。 5月27日イヤホンマイクだとやはりテンションが上がらないので、廉価版だけどコンデンサーマイクを購入。 5月29日やっぱりちょっと自粛呆けしてたな。ギア上げていこう。 5月30日GW明けから始まった大学の講義、授業内容もオンラインに最適化した(と考えた)ものに変更。演出論ではネット上のインタビューが充実している鈴木忠志さん研究、3年生のアクティングでは小学4年生に向けた短編演劇

          2020年の日々・緊急事態宣言が明けて

          2020年の日々・緊急事態宣言継続

          5月5日今、Ortの「よみしばい」ではない過去の公演写真をこの期間を利用して整理してるのですが、まあー「密」ですね。密は密でも「秘密」とか「密会」とか「濃密」とかですが。昨年の『薔薇と海賊』も「秘密結社の集会」なんて呼ばれたりもしましたが(光栄です)、僕にとって演劇の場ってそういうものです。それは大人向けファミリー向けの違いはなく、ほうかごシアターだって、ちょっと秘密や内緒の匂いがあって、仲良くこそこそくすくすしながら集まって、いつもと違う濃い時間を過ごして日常に戻ってくみた

          2020年の日々・緊急事態宣言継続

          2020年の日々・フロムホーム

          4月18日フロムホーム1日目。「家からの発信」について考え始める。(フロムは物理的な移動を伴うので実際にはアットホームなんだろうけど、和製英語的に「家から」のイメージを強くする) この状況を生かしての一人芝居を遊びとして、いろいろ考えてる。おそらく、誰かが思いつくだろうから、ジャストアイデアだけどメモしておく。まず、『アンネの日記』だ。アンネがパソコンで日記を書いているように翻案する。ロフトの部屋だと臨場感増すかも。次に、白雪姫。パソコン画面を鏡に見立てて、白雪姫の母、魔女

          2020年の日々・フロムホーム

          2020年の日々・ステイホーム

          3月30日自粛要請によって損害を被っている各産業の従事者の方々に迅速かつ充分な補償が行われますように。 同時に、芸術がスポーツ、飲食、観光、教育、医療、販売などと同様な産業であることが認知され、互いに各産業の従事者の専門性への理解と敬意が進みますように。 自分の芸術は産業に入らないという方には、経産省でなくとも文化庁からの援助が行われますように。 経済の低下の影響で生活が困窮した方には福祉政策による保護や救済が行われますように。 同時に、萎縮した消費への対策が適切な方法と時期

          2020年の日々・ステイホーム