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文学朗読劇『こゝろ』についてのノート③

『こゝろ』を上演するきっかけ

 第3回目は、「なぜ今回、『こゝろ』という作品を上演しようと思ったのか」を書いていきます。事の始まりは、るうさん(Ortの公演のビジュアル・ディレクションでお世話になっている)からのLINEでした。「新宿でお店をオープンさせようとしているんですが、改装前の空間で公演を打ちませんか?かなり雰囲気あります」。

空間との出会い

 早速、見に行ったところ、びっくり。新宿駅南口から歩いて10分弱、文化服装学院のすぐ脇に位置するその場所は、都会のエアポケットみたいな、昭和の半ばで時間の止まった場所でした。畳の下には前の東京オリンピックの記事の載った新聞が敷かれていたから、少なくとも1960年代前半には建っていたであろう一軒家の住宅。一階はインド料理屋で、その横の階段を上がった二階の和室2部屋のスペースがそこでした。

建物の外観。二階の奥につながっているのがおわかりになりますでしょうか。
この階段を登っていった奥に会場はあります
建物を裏から見たところ。不思議な空き地が広がっています。

 「こ、これは…」、昔のOrtをご存知の方ならおわかりと思いますが、Ortは劇場じゃない場所を探し出してきて、その場所からインスピレーションを受けた作品を上演するというのが初期の活動方針でした。なので、異空間には相当慣れているはずが、かなり驚かされました。「こんな場所が残ってるんだねえ」と言いながら、さあ、どうするよと、悩み始めました。

空間からのインスピレーション

 何日か悩んでいるうちに、この感覚、懐かしいと思い始めました。前述したOrt初期の「先に力のある場所を見つけて、後から場に合った演目を選ぶ」という感覚です。その感覚に導かれるように昔の台本や資料に当たった結果、ああ、『こゝろ』だ、『こゝろ』ならいける、と思うようになりました。
 ただ、問題はキャスティングです。当時は20代後半から30代半ばの俳優に出演してもらっていました。台本や役もその年代に合わせてあります。最初は、朗読劇だから俳優の年齢は上でもかまわないかと思ったのですが、だんだんと演劇にした時に誰に頼みたいかで選ぼうという気になってきました。結果、今回の4人が揃いました。まだ稽古も始まってませんが、先日の写真撮影で確信しました。ベストメンバーです。ナイスバランスです。

空間にはまった4人の出演者たち

 ということで、なぜこの4人なのか、次回は出演俳優の皆さんについて書きたいと思います。

公演情報(Facebookイベントページ)
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予約フォーム(各回定員15名)
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Theatre Ort ツイッター
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