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バトンを繋ぐ物語:ガウディとサグラダ・ファミリア展

こんにちは

現在、東京国立近代美術館でガウディ展が開催されています。


建築家アントニ・ガウディ
建築に関わる人以外でも、名前を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
そしてガウディとセットで出てくるのがサグラダ・ファミリア聖堂。
スペインのバルセロナで“未だ”建設中の建築です。

そう、未だ、なんです。

そして、その“未だ”建設中のサグラダ・ファミリア聖堂という建築とアントニ・ガウディの関係性を改めて知る機会が今回のガウディ展なのかなぁと思っています。

ということで、ガウディ展に行ったお話をさせていただきます。
日々の合間にのぞいてみてください。

それではどうぞ

■建築家アントニ・ガウディ

はじめにガウディについて知っていこうと思います。

建築家アントニ・ガウディ(1852年ー1926年スペイン・カタルーニャ出身)は自然の形をモチーフにした独創的な建築で知られており、それら作品は世界中で人気があります。

ガウディは、銅細工師の家系に生まれバルセロナで育ち、建築学校を卒業後、バルセロナで建築家として活動を始めました。

実はガウディの曲面は直線がベースに考えられている


曲線を多用したデザインや、自然の材料を積極的に使用したデザインで、当時の建築界に大きな影響を与えたと言われています。
ガウディの代表的な作品には、サグラダ・ファミリア聖堂、グエル公園、カサ・ミラなどがあり、1984年にユネスコの世界遺産に登録されました。

アントニ・ガウディ 1878年
Wikipediaより

サグラダ・ファミリア聖堂は、ガウディが設計した教会で、未完の状態で現在も建設が続いています。

ガウディが生まれた1850年代、日本の歴史に置き換えると江戸時代の幕末で、あの有名なペリーが来航(1853年)した辺りです。
江戸の終わりから明治に移り変わっていく時代にバルセロナではガウディが生きていた、ということも知る面白さだとボクは思います。

サグラダ・ファミリアの移り変わり

そして、ガウディ没後100年となる2026年に完成が予定されていると言われています。


■見た目以上に構造的

ガウディ展は、彼の生い立ちから晩年サグラダ・ファミリア聖堂の建築に捧げた生涯を紹介していく構成になっています。

ガウディの建築は、色彩や曲線が目を引き独創的で感覚的な建築というのがボクのイメージ。
けれど、ガウディ展で展示されている図面や考え方に触れてみると、言い方は適切ではないかもしれませんが、ちゃんと建築家でした。

平曲面
直線を対局に結んだ時に生まれる曲線

独特な形態や装飾に目を奪われやすいですが、そこには自然が作り出す造形(洞窟のアーチ、樹木の構成)を分析し、どのようにして支え合っているのか合理的に考え構造に落し込んでいます。

ガウディが建築家として活動していた時代、ル・コルビュジェをはじめとしたモダニズム建築が走り始めた時代でもあります。

カサ・ミラ
実際に見たい

誕生した建築は相反する立ち位置に感じますが、建築設計の技術・構造という点において建物を支えるためにどのような造りが最適なのか、そのような設計の過程には幾何学的な形を基にしていることを知ります。

会場の様子

ガウディ展の各セクションを廻っていると、建築の授業を受けている感覚にもなります。


■つながれていく物語

ガウディ没後(1926年)から2026年に100年を迎えようとしています。

サグラダ・ファミリアの建築は約150年と言われていて、そこには時間や世代を超えて多くの人が関わってきたんだと思います。

会場ではサグラダ・ファミリアの全体計画が説明されている

以前、サグラダ・ファミリア特集の番組をたまたま見た時、建設に従事する職人さんにスポットが当てられていました。

ある一人の職人さんは祖父から父、そして自分と何世代にもわたってサグラダ・ファミリア聖堂建設に関わってきたと、父は祖父の姿を見て育ち、その人は父の姿を見て育ち、同じ仕事同じ場所で今このプロジェクトに関わっていることに誇りを感じていると、そのような内容でした。

カサ・バッリョ:2人掛けベンチ
ガウディがデザインした家具も素敵です。

すごい話だなぁ、と思いましたし、どこかロマンを感じる物語だと思って感動したのを覚えています。

そう、たった一つの建築が家族の歴史・紡いできた証になっている、からです。

もう少し言うと時短でサクサク消化されていく現代の風潮とは反対側にサグラダ・ファミリア聖堂がある、そう思ってまして。

つまり、長く費やしてきた時間の中には人の想いがバトンのように次の世代に渡っていき託され受け継いだ人がまた違う誰かに繋がれていく、それが器(建築)に蓄積していくように感じるんです。

まるで故郷や実家みたいな。

そういう見方をすると、
ガウディとサグラダ・ファミリアは壮大な物語を仕掛けてきたなぁ、なんていう捉え方も出来るんじゃないかなと思います。

ちなみに(有)倉島木工所の創業が1926年で2026年に100年目を迎えようとしています。
遠い異国の建築に勝手な縁を感じながら、お話を終えたいと思います。

ということで
ここまでお付き合いくださりありがとうございました。

ではまた

※追記
「ガウディとサグラダ・ファミリア展」(東京国立近代美術館)は人気展覧会になっていてると言うことで日時予約制を導入するようです。
現在、猛暑の中で並んで入場するため少しでも安全性を考慮して東京国立近代美術館が対応した形になっています。
もし行かれる方は下記のリンクをご覧いただければと思います。



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