お客様アンケート
先日一人旅に行った。
ホテルに宿泊していなくても朝食バイキングのみの利用ができるというホテルへ足を運んだ時のこと。
もうすぐ食べ終わるので席を離れようとした時、あるものがふと目に入った。それは、
"お客様アンケート" だ。
普段、そんなものが目に入ろうと、私には関係ないと目を逸らしてきた人柄だったくせに、30秒悩んで、私は周りに見られると恥ずかしいという気持ちを抱えたままペンを握り締め紙と睨めっこしていた。
そこで書いた内容をできる限り思い出すとこんな感じだ。
「この度は有難うございました。こちらのバイキングは新潟の郷土料理たちをたくさんの種類の中から選んで食べれるという所に目を惹かれて今回利用させていただきました。私は少食なので、旅行に来ても色んな種類を食べるには食べきれないので今回バイキングを利用させていただいてとっても満足しました。また、いつか新潟に旅行に来る機会があればせひこちらのホテルに宿泊したいと思います!有難うございました。」
…みたいなコメントを書きました。
照れ臭くなりながらも、そっと机の上に置いたまま席を離れて、店員さんにお礼を言いバイキング会場を出て、受付の目の前のイスに腰掛けたのです。
「あ〜〜!いっっっぱいたべた!美味しかったなあ」
そんな事を思いながら少しぼーっとする。
すると、机を片付けたであろう若いお兄さんがベテランそうな人がいるバイキングの受付まで歩いてきた。その人は紙を1枚手に持っている。
察しの良い私は、完全にあの紙は私が書いたアンケート用紙だと確信する。席を離れようか迷った。まあまあ距離はある…と言っても10メートルくらいか…とりあえず私は座ったままドキドキしながら過ごすことにした。
若いお兄さん「また笑顔で愛想振り撒いたんですか?(紙を見せながら)」
ベテランそうな人「ううん(首を横に振る)」
…私はショックだった。
勝手に良い事をしたと思い込んでいたものの、そうだよな、スタッフ間では馬鹿にされる対象になるよな。と少し、いや、結構悲しかった。そうだよな。
完全に私の期待のしすぎだ。
…と共に目の前にいる私は恥ずかしくなってその場に居られず、すぐ席を離れた。
こんな気持ちになるなら、勇気を出してアンケートなんて書かなきゃよかった。
そんな事を考えた。
それと同時に、反面教師である。
自分が働く側で同じような立場にあった時、バックヤードであろうがなんだろうが、素敵な言葉で表現したいと思った。
今回特別悪口を言われたわけじゃなくても、嫌な気持ちになってしまった。私は何を、期待していたんだろうか。
見なくていいものを、見てしまったようだった。