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エッセイ集

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#小説

ブラックは苦すぎるからとろけるアイスクリームをおくれ

ブラックは苦すぎるからとろけるアイスクリームをおくれ

以前にも書いたが、ブラックコーヒーが好きではない。飲めなくはないが、好んであのどぎつい黒と強い香りの液体を体内に注ごうとは思えない。カフェオレや、ウインナーコーヒーになって初めて受け入れられる。特にただでさえも黒いのに、屈託のない真っ白な器に入っているというそのコントラストがきつい。まるで、人間を皮肉っているかのようだ。

お察しの方もいるかと思うがあまり白黒つけるのが好きではないし、つけられるの

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苦いのが好きなわけじゃない。甘ったるいのが苦手なだけ。

苦いのが好きなわけじゃない。甘ったるいのが苦手なだけ。

「甘いものはあまり得意じゃないんだ」というと、「そっかー!じゃあ、苦いものが好きなんだね!」という会話。「そっかー!」の伸ばし棒がやけに、店内に響き渡るあの感じ。甘いものが得意ではないという単純な事実を伝えることはなぜこうも難しいのだろう。

紅茶やコーヒーに砂糖をいれるイギリス式のアフタヌーンティーが広まったことをほんの少し憎む。コンビニにおいてあるほとんどのコーヒーがデフォルトで砂糖が入ってい

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雨の日は気が沈まないといけないと考えたのは誰だろう

雨の日は気が沈まないといけないと考えたのは誰だろう

テンポの遅くなったピアノが音を奏でる。明るかった登場人物が、気分を落とし始める。シリアスなシーンが流れ始める。

これらすべて、雨が関わっている。

決まりきったかのように、登場人物の気持ちを天気が察したかのように、それはそれは当然に雨雲がやってくる。海水の温度が上がり、蒸発し、それが大気で冷却されるだけの行為に人々の心は動かされてしまう。

こうだから、こういう気持ちだという文化的慣習が成立して

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夜明け前という背徳感。

夜明け前という背徳感。

夜遊びしている人間は、人生を楽しんでいるというか、背徳感があるというか、何か後ろめたさを感じたくなることのイメージが常に付きまとう。一方、朝早く起き物事に着手している人はいかにも健全で真っ当な人生を送っているのだという偏見がある。

一つ言いたい。もっと早起きすることの背徳感を知ってほしい。皆が寝静まっている間、淡々とすべきことをするという狡猾さ。それはある種、許されざるフライングのようなものだろ

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