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消雲堂自分史 阿武隈川

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駄目な人間の私が、どうやって生きてきたのかを再確認するマガジンです。自分のためのものですが、興味のある方はどうぞご覧下さい。
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#紀行文

湯河原温泉紀行2

湯河原温泉紀行2

僕とナマコを乗せたバスは15分ほどで現地に到着した。「源泉境バス停」は小さな橋を渡ってすぐだった。バスから降りて橋の上から渓流を見ると、川面にくっつくように垂れ下がったモミジや楓の葉は見事に紅葉していて、真っ赤な炎が川になだれ込んでいるような怪しさに満ちていた。橋の欄干を見ると「ニジマス禁漁」と赤い字で書かれた看板がかかっている。来年はここにフライを振りに(虹鱒を釣りに)来るか? なんて現実味のな

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伊豆堂ヶ島紀行4

伊豆堂ヶ島紀行4

書くのを忘れたが、僕たちが案内された部屋は凄かった。4人で宿泊するので広い和室と洋室がくっついた、これまで貧乏な僕は泊まったことがない豪華絢爛な部屋だった。語彙力がないので上手に表現ができないのがもったいないくらいだよ。

洋室には大きなソファ…いや、マッサージチェアっつうの? 座るとグイッグインって機械が揉み揉みしてくれるアレ…。これが気持ちよかったなぁ。子どもの言葉で言うと「きもちかった」。

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湯河原温泉紀行(2009) 1

湯河原温泉紀行(2009) 1

乳がんで左乳房を失ったナマコを温泉に連れて行きたいと思った。

手術前にはふたりで温泉旅行をすることも多かったのだが、4年前に手術をした後、ナマコを温泉旅行に誘っても「温泉に行ってもお風呂に入れないから嫌だ」と言って寂しい顔をすることが多くなった。いつかは家族風呂があるとか貸切風呂がある温泉宿に連れて行こうと考えていたのだが、なかなかその機会に恵まれなかった。

最近になって僕は18年勤めた会社を

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伊豆堂ヶ島紀行3

伊豆堂ヶ島紀行3

 堂ヶ島のホテル「ニュー○○」に到着。

「荷物をお持ちします」なんて言って、数人に取り囲まれる。警官に取り囲まれる犯人の気持ちが少しだけわかった。

 「え、こんなボロイ荷物、自分で運びますよお…」とかグズグズ言ってるうちにボーイだかホテルマンの方々がおいらの汚い荷物を勝手に持っていっちゃった。恥ずかしいなあ…。ひとり、義妹だけが「ほいほい」と平気で対応している。

「本当にこのホテルでいいのか

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伊豆堂ヶ島紀行2

伊豆堂ヶ島紀行2

 さあて・・・伊豆である。目的地は堂ヶ島・・・である。しかしナマコが修善寺の桜が名物だというので修善寺まで行って、あとはバスなりタクシーなりで堂ヶ島に向かうことになった。

 ナマコもそう考えて4人分の切符を購入したのである。行きだけね。行きだけ…帰りは下田の隣の蓮台寺駅から乗る計画になっている。ナマコに行程の切符購入係を任せたのだ。ところが修善寺に到着してびっくり。修善寺の名物は梅であって桜では

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伊豆堂ヶ島紀行

伊豆堂ヶ島紀行

 2008年4月2~3日の土日に伊豆の堂ヶ島まで旅行した。義母の7回忌を兼ねて家族旅行したのだ。兼ねて旅行ちゅうのも変だが、ナマコの家族が言うのだからしかたがない。弔い旅行のつもりなのだろうか? 理解できないが、そういうところが義理家族の文化の違いなのだと諦めて同行した。

 ところが当日早くに義妹から「父が行方不明だ」という電話があった。

 そこで義父の携帯電話を呼び出したが応答がない。それで

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