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伊豆堂ヶ島紀行4

書くのを忘れたが、僕たちが案内された部屋は凄かった。4人で宿泊するので広い和室と洋室がくっついた、これまで貧乏な僕は泊まったことがない豪華絢爛な部屋だった。語彙力がないので上手に表現ができないのがもったいないくらいだよ。

洋室には大きなソファ…いや、マッサージチェアっつうの? 座るとグイッグインって機械が揉み揉みしてくれるアレ…。これが気持ちよかったなぁ。子どもの言葉で言うと「きもちかった」。

何故このような豪華な部屋をキープできたかというと、ここは義妹の友だち夫婦が勤務するホテルなのだ。そもそもこの旅行を企画立案したのが義妹なのだった。で、僕たち夫婦は彼女の手下となって雑用の切符獲得だけ実行したのだった。

「兄貴、あたしのともだちのユッチャンが伊豆のホテルで働いてるんだ。お母さんの」

テーブルの上の料理を見てびっくりした。

品の良い小鍋に、刺身の盛り合わせは当たり前のようにあって、そこにアワビとサザエの焼き物が4人分置いてある。その他、韓国料理のように上品な料理の小皿が並んでいる。

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そこに義妹の友だちユッチャンが、大皿を抱えて入ってきた。いい匂いがするぞ。ユッチャンは大皿をドッカンとテーブルに置いた。

「ほい、これは当ホテルからのプレゼントですよ」

義妹が大仰に「うひゃあ、金目じゃん。金目の煮付けじゃん」と驚いて見せた。

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「わぁ!ユッチャンありがとう!」

「凄いね」

「凄い」

義妹に合わせて僕も驚いて見せた。長いものにはまかれる世代なのだ。

ほんで、料理をむしゃむしゃと食べた。本当に美味かったよ。

「んまいね、かっちゃん。クチャクチャクチャ…」義父が僕を見て笑った。平和なひとときだった。

「でもね、かっちゃんは旅行が下手だ」

しつこい義父だ。平和なひとときをぶち壊しやがって…さすがに腹が立った。

「あのね、旅行が下手ってどういうことなのよ?」と言うと、

「下手は下手なんだよ。それ以外、あんめぇ」と言ってゲホゲホと咳き込んだ。

「どうしたのよ?」義妹が聞くと、義父は、しばらく咳をしたあとに「ご飯が喉につっかかったんだよ」と言って水を飲んだ。

そこで僕はすかさず「お義父さんは食べるのが下手だ!」と大声で言ってやった。



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