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伊豆堂ヶ島紀行2

 さあて・・・伊豆である。目的地は堂ヶ島・・・である。しかしナマコが修善寺の桜が名物だというので修善寺まで行って、あとはバスなりタクシーなりで堂ヶ島に向かうことになった。

 ナマコもそう考えて4人分の切符を購入したのである。行きだけね。行きだけ…帰りは下田の隣の蓮台寺駅から乗る計画になっている。ナマコに行程の切符購入係を任せたのだ。ところが修善寺に到着してびっくり。修善寺の名物は梅であって桜ではなかったのだ。

 「桜を見に来たのに…」義妹は口を尖らせる。「あんたらは旅行が下手だ」義父はしつこい。しかも修善寺からバスなりタクシーなりでの堂ヶ島までの交通費はもの凄く高いし、時間もかかってしまうことが判明したのだ。ナマコに一任したおいらが悪かった。さすがナマコは勝手に解釈する慌てモノだけある。

 馬鹿な4人で修善寺駅前で迷っていると…目の前にレンタカー屋さんを発見。受付のお兄ちゃんに聞くと…無愛想に「車空いてない」って言うので、がっかり。肩を落として駅前を見ると、ト○タレンタカーの店。コレだと思って「車空いてますか?」って言うと「ヴィッツ1台空いてますよ」と言うし、乗り捨て可能と言うのでそれに決めた。

しかし清算はカードでと言う。困った…おいらカードを持ってこなかったのだ。ナマコのカードでと言うと、「免許持ってる方のカードじゃないとだめです」と言う。ナマコは免許持っていないのだ。

 仕方がないから免許持っている義妹のカードで清算し、おいらが運転と言うことで落ち着いた。面倒だなあ…。

 修善寺から堂ヶ島までレンタカーに乗って、ホテルに一泊し、明日は、蓮台寺ではなく下田駅に行ってレンタカーを乗り捨て、下田駅から帰りの踊り子号に乗車することにした。

 「かすり傷でも2万円ご負担いただく」とのレンタカー屋さんの言葉にびびりながら出発。久しぶり運転でなかなか落ち着かないが、信号で2~3回止まったり動いたりしていたらすぐに勘を取り戻した。ヴィッツは燃費がよく静かな車で、なかなか快適である…。

 伊豆の海側を目指して、まずは戸田(へだ)に向かう。戸田はナマコとの新婚旅行思い出の地である。伊豆は暖かいので桜は散った後で花見には遅いのでは…と思っていたら、そうでもなくて、やっと散り始めたころで、まだまだ花見ができる状態であった。いたるところに桜が咲き乱れ、感動してしまう。

 戸田に向かう峠道の下り…後続の車が「ピッピ!」ってやたらクラクションを鳴らすので、しばらく行って停車し、その車の運転手に文句を言おうとすると…運転手は窓から顔を出し「さっきのきついカーブ道でタイヤのキャップが外れて側溝に落ちたよ」って言う。

 “擦り傷2万円負担”って言葉を思い出し…「げ、大変だ。キャップなくしたら2万円以上払わなくちゃならないのか?」って一瞬思ったけど「キャップが外れるのは整備ミスになるだろう」と考えて気を落ち着かせ、教えてくれた運転手にお礼を言い、そのきついカーブまで戻ってみた。

 戻る途中でペーパードライバーの義妹は「運転下手だよ」と言い、義父は「あんたらは旅行が下手だ」としつこく言う。義父には口答えできないので義妹に向って「うるせぇな、じゃお前が運転しろ」と言うと、義妹はペロリと舌を出し、「やだよん」と言った。身勝手な奴だ。

 しかし山道ゆえにきついカーブはいくつもあるのだ。果たしてキャップが落ちた側溝を特定できるのか?と不安になった。もしかしたら側溝には水が流れていて流されてしまったのでは?とかよからぬことばかり想像してしまう。

 それでもここかな?と思って、あるカーブで車を止めて側溝を覗いてみると・・・あった!一発でキャップを発見できた。しかもキャップには傷がついていない・・・。よかった!と、バカだからここで記念写真。

 その後、戸田から海側を堂ヶ島に向かって南下する。しかし・・・遠い。伊豆は房総半島と同じくらい広い(実際には房総半島が広い)というイメージだ。ナマコと新婚旅行中、松崎で長八の鏝絵を見たのが懐かしい。長八はつげ義春の紀行漫画「長八の宿」で有名だ。

 途中、景色のきれいなところで何度か降車して写真を撮ったり、薬局で食い物を購入したりした。が、道中は長い。とかなんとか言ってるうちに松崎近くに差し掛かった。「あ、ここだ!」って義妹の叫び声。

 「え、何がよ?」

 「堂ヶ島の宿だよ車止めて!」ええ、堂ヶ島って松崎の先じゃね?右を見ると、宿泊する予定のホテルが見える。慌てないで少し先まで行ってUターンすりゃいいものを、この時は慌ててしまった。

 「ええい!」って急ハンドルを切って車をホテルの駐車場に挿入…ききききーーー!って感じで無事に挿入すると…目の前には数人の出迎えホテルマンがずらりと頭を下げている。ホテルを見るともの凄く豪華だ。白亜の殿堂だ。

 「ええ、ここ?こんなに豪華でいいの?」

 慌てていると「オーラァァイ!オーラァイ!!!」ってひとりのホテルマンに従って駐車。

 「え…本当にここでいいのかなあ…」って焦りながら目の前の超豪華なホテルを見上げた。


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