見出し画像

過去日記 ~海外ドラマライターになるまで~ 【5】

(※過去日記とはどんな記事か、詳細は【1】をご参照ください)


文中、登場するアルファベットは、Aから順にふっており、イニシャルではありません。

 

 

【5】編集者として奮闘する日々

 

 

職安通い ○月X日

職安に通って編集の仕事を探すが見つからないので、求人誌で探したところ、音楽チャートを扱っている有名なI社が募集していたので、履歴書を送る。

 

 

職探し ○月X日

I社に面接に行く。ミニコミ誌を含め、今までの経験に興味を持ってくれたようで好感触。ほぼ採用という感じになるも、週刊誌のため、ほとんど家に帰れない仕事だという。いろいろ話し合った末、採用は見送られた。

 

 

職探し ○月X日

また求人誌で募集を発見。ゲーム誌で有名なJ社。募集しているのは月刊誌で、パソコンを扱ったものだとか。パソコンはG社を退職する前、ちょこっとだけかじった程度。あっさり採用されたが、大丈夫かな。

 

 

編集業 ○月X日

アルバイトからスタートして、契約社員、正社員になれる可能性も大だという。驚いたことに10代~20歳そこそこの同僚が多く、みんなオタク…もとい、パソコンの達人。7歳くらい年下の少年のような先輩たちに、一から仕事を教わる。でも、あまりにも分からなくて、ちょっと泣きそう。自分専用のパソコン席はまだないから、共用スペースを使うのだが、Windowsの使い方を覚えても、Macのパソコン席しか空いてないことがあり、混乱する……。

 

 

編集業 ○月X日

大量の新ソフト情報を、1つにつき約100字でひたすら書かされる。副編集長は厳しく、何度も何度も書き直し。でも編集長はもっと怖いので、できれば近くにいかないでおきたい。なのに、「おーい、下っ端、おつかい行ってこーい」と、たびたび呼ばれて原稿書きを中断される。都内から千葉の方まで、ライターさんの原稿を取りに行ったりして戻ってくる。と、残っている原稿書きに取り掛かる。深夜までやっても終わらない。男子はその場(机)で寝て、会社に泊まるけど、一応私は新婚で兼業主婦。泊まりは避けたい。終電がなくなると、タクシーチケットが出る! バイトにタクシーチケットとは、リッチな会社だなぁ。

 

 

編集業 ○月X日

編集者が帽子を被って仕事をしているのは、オシャレなのかと思っていたが、実は家に帰れなくてお風呂に入れず洗髪もできないので、汚れた髪を隠すためというのもあったんだ……。いくら会社で寝るからって、家から布団一式持ち込まなくても。あぁ、今日もまた床で寝ている誰かを踏んづけちゃったよ……。忙しい忙しいと言いながら、締め切りまで余裕がある時期は、みんな夢中で新作ゲームに没頭している。すごい世界だ。今まで知らなかった。

 

 

編集業 ○月X日

新ソフト情報書きは新人の登竜門らしく、原稿が書けるようになってくると、担当ページを与えられる。私はパソコン関連の本の紹介ページ担当になった。本選びから、レイアウト書き、デザイン発注、撮影の手配などなど。初めてのことばかりで何も分からず、また泣きそうになる。私を担当にした副編集長に質問に行っても、自分で考えろという。やたら、あたふたする私。

 

 

編集業 ○月X日

どうにか一人でやり切ったが、あまりにあたふたする私を見かねてか、次号から主に編集部内でデザインを担当しているKさんと一緒にやるようにと言われる。Kさんはデザインのほかに執筆もする素敵な女性で、とても楽しい人。あぁ、嬉しい! 内容も新刊紹介となり、Kさんと一緒に書店めぐりをして新刊を探し、お昼ご飯もご一緒させてもらう。今までお昼はパンで済ませていたけど、連れがいるとレストランでランチもできる! 久々の外食!!

 

 

編集業 ○月X日

女の子が数名入社してきて、私にも可愛い後輩ができた。ランチ友が増えたわ~。男の子も入ってきて、これでもう「下っ端、おつかい行ってこい」は、私だけが対象ではなくなった。ほっ。

 

 

編集業 ○月X日

このパソコン誌はCD-ROM付きで、中に入れるコンテンツも編集部で作成する。私の大好きなしりあがり寿さんと編集部が一緒に作るコーナーで、実写映像(?)を入れることになり、豊島園に撮影に行くという。私は担当ではないが、打ち合わせに見えたしりあがりさんにお茶を出しに行く。とてもいい方で、会えて舞い上がる私。お茶を出しただけの私に、担当の先輩が「女優をやれ」と言う。顔はほとんど見えないということなので、了承する。この前、「コスプレ大会を、コスプレして取材して来い」という依頼を断ったばかりなので、今回は断りづらかったというのもある(汗)。

 

余談だが、私以外の女子はみんな大喜びでコスプレ参加したとか。やっぱり、そういうことが好きだからここで働いているのよね。私はかなり場違いなんだわ。

 

豊島園の撮影には、ピンクとか明るい色の普通の服を着てくれば良しとのこと。「いつも着ているような暗い色系は着てくるなよ」と、念を押される。撮影は、普通に乗り物に乗ったり、ちょっとした動きを撮って、無事に済む。あー、よかった。帰りに、豊島園の券をお土産にもらう。

 

 

編集業 ○月X日

今、担当している仕事のほかに、もう1冊かけ持ちで別の雑誌も手伝うように言われる。美少女アニメ系マガジン、って???

 

 

編集業 ○月X日

第1回ミーティング。メンバーは私以外全員男性で、専門用語だかなんだか、みんなが話している内容は全く意味がわからない。唯一、「メガネっこ」だけは聞き取れたけど、なんでド素人の私が呼ばれたんだろう。数々の見慣れない過激なサンプルに驚き、吐き気をもよおしてしまった(涙)。

 

 

編集業 ○月X日

結局、もう1冊の方では下っ端の作業を割り当てられる。ビデオやゲームから誌面に載せる画像を取り出す作業の繰り返し。ビデオ会社にポジを取りに行くお使いもする。最初こそ吐き気ものだったが、慣れというのはコワイ。美少女が妖獣の触手(?)にからめとられているシーンだとか、いやらし~いシーンだとか、見ても全然平気になってくる。「この、服を剥ぎ取られているシーンなんてどうですか?」とか普通に言いながら、ビデオ会社の人と持って帰るポジの打ち合わせをしている私。なんか、間違っている気が……。このままじゃいかん!!!

 

 

編集業 ○月X日

文章を書いている時は楽しいが、デザインの発注、打ち合わせの準備、撮影の手配、支払い作業などはものすごく苦痛だ。打ち合わせをするために電話をかけまくっても、アーティスティックな方たちは、夜中にならないと出てきてくれない。締め切りを守ってくれない人も多い。ギャランティを振り込みたいだけなのに、請求書を依頼しても送ってくれない……。人のお尻を叩く仕事は、本当に合っていない。人を動かす器ではない。すっかり体調を崩してしまった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?