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過去日記 ~海外ドラマライターになるまで~ 【4】

(※過去日記とはどんな記事か、詳細は【1】をご参照ください)


文中、登場するアルファベットは、Aから順にふっており、イニシャルではありません。

 

 

【4】OL生活の始まり

 

 

社会人1年 入社式

配られた初めての社内報に、レコード会社が系列じゃなくなったとの記事が! ガーン… 異動を狙っていたというのに……。いきなり、目の前が真っ暗になった。OL生活の始まり。OL、なんて、私に似合わない言葉。

 

 

社会人1年 ○月X日

配属された部署の仕事内容は輸出業務。貿易なんて勉強したことないのに……。担当地域としてアジアを割り当てられたが、いきなりポンと仕事を投げられた感じ。新人が一人でよその国へ物を送っても大丈夫なんだろうか!? 同期の人たちには優しそうな先輩がついて、いろいろと教わりながらやっているのに、なぜ私だけ一人で?? あぁ、いきなり試練……。 

 

 

社会人1年 ○月X日

アジア地域の人たちとFAXでやりとりするのだが、英語は中学生レベルでOKな感じなのは助かる。たまに心が通い合ったりすると嬉しい。特に、台湾の人はすごく優しい。まだ会ったことはないけど、私を“小姐(シャオチェイ)”と呼んでくれる。未婚女性を呼ぶときの“ミス”という意味だから、特に深い意味はないんだけど、課長が面白がって私に「シャオチェイ」というあだ名をつけた。

 

 

社会人1年 ○月X日

それにしても仕事がきつい。量が多すぎて、やってもやっても終わらない。毎日、終電近くに帰るのはつらすぎる。新人なのに、私がオフィスの戸締りをして帰る日々。胃痛がひどく、精密検査を受けてみた。結果は神経性胃炎とのこと。

 

 

社会人2年 ○月X日

課長に呼ばれ、服装と机周辺の装飾について注意を受ける。今の私はハードロック一色。ドクロのTシャツを着ていても、ガンズ・アンド・ローゼズのスラッシュの髪型(もどき)をしていても、仕事はきっちりやっている。そう課長に言った。長くいるつもりがないから、かなり強気だが、自分でも生意気な態度だと思う。おじさん社員の人ともよくケンカするし、飲みには付き合わないし。でも女性の多い職場のせいか、全体的に女性が強い。

 

 

社会人2年 ○月X日

休みの日、洋楽雑誌の編集部に差し入れを持って訪問したり、働きたい旨を手紙に書いて送ったりしていたが、D社でなく、H社のメタル雑誌から声がかかった! 夜、お手伝いに来ていいと言う。お給料は出ないも同然とのこと。それでも嬉しい! やったー!!

 

 

社会人2年 ○月X日

G社の仕事でどんなに疲れても、編集部に行くと元気百倍! レコード会社にジャケ写を取りに行くお使いとか、プレゼントの応募ハガキの仕分けとか、海外から来るニュースの翻訳、テープ起こし、etc. どれも楽しくて仕方ない。この仕事で出会う人たち全てから、素晴らしい刺激をもらっている気がする。編集長はちょっと近寄り難いけど、ほかの人はみんな優しい。伊藤政則さんや和田誠さんが編集部にやって来ることも! 即席「ピュア・ロック」! 和田誠さんはアーティストグッズをくれたりする。幸せ~。

 

 

社会人2年 ○月X日

編集部のみんなは、夜働きに来る私を苦労人と思っているようだ。「昼間はOLをしているのに夜も働くなんて健気ね」なんて言葉が聞こえてくる。本当は、一番の幸せ者なのになぁ。G社で国際会議があった日などは、めずらしくスーツを着たりして、そのまま編集部に出向くと、「何事!?」と大騒ぎをされたりする。ドクロシャツだと、なんにも言われないけれど(笑)。みなさん、かわいがってくださって、本当に幸せだ。

 

 

社会人3年 ○月X日

編集部に来ていた校正担当の方から、校正作業を教えてもらう。とても勉強になった。エディタースクールの通信教育で本格的に勉強を始めることにする。

 

 

社会人3年 ○月X日

お金にならずとも、今は一番下っ端でも、やはり編集の仕事を本職にしたい。G社の課長に退職を申し出る。もう少し考えてみたら、という返事。でも、私の心はもう決まっている。

 

 

社会人3年 ○月X日

退職を申し出た矢先だというのに、H社メタル雑誌休刊のお達し。ガーン! またしても、目の前が真っ暗に……。慌ててG社の課長に退職願の取り消しに行くと、ほーら、言わんこっちゃないとばかりに、課長ほくそ笑む。しばらくG社で大人しく働こう。

 

 

社会人4年 ○月X日

G社の社内で、洋楽好きの人たちとミニコミ誌を作り始めた。私は言い出しっぺなので、一応編集長。自分でも原稿を書くが、みんなの書いたものを集めて一冊にするのは、すごく楽しい!

 

 

社会人4年 ○月X日

ミニコミ誌に海外旅行記なるものを連載。ロンドンはその後病みつきになり、ボン・ジョヴィの故郷ニュージャージーにも度々足を運び、そのほかNY、LAとふらふら旅したことを綴る。私の人生が漫画みたいなものなので、実話なのに結構読んで笑ってもらっている。人が楽しんでくれるものを書くのは、本当に幸せなことだなぁ。

 

 

社会人5年 ○月X日

LAに住む友達も、遠くからミニコミ誌に参加することに。原稿を書いて送ってもらって載せ、でき上がったミニコミ誌を送っていたら、彼女が近所に住むミュージシャン(の卵?)たちにコピーして配っているという。日本語はわからなくても楽しんでくれているそう。いい記事を書いてくれる人がたくさんいるし、写真もできるだけ載せているので、なかなか素敵なミニコミ誌になっていると思う。仲間に感謝の気持ちでいっぱいだ。

 

 

社会人6年 ○月X日

G社で大人しく(?)働き続け6年。結婚を機に退職することになった。アウトローの私が寿退社とは、自分でも驚きだ。


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