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私のコーヒー時間 第1147話・4.13

「さて、何食べようかあと思ったのに」私は久しぶりのランチを外食で採ろうと思ったのに、まさかのコーヒーショップでコーヒーを注文している状況に複雑な気持ちになる。

 私は今日はシフト勤務で休みだったので、いつものように時間に追われないランチが食べられると思い、ランチは外食することにした。
「いつもの時間に追われずに済む、ランチが食べられそうなお店は...…」

 私は出発前にネットの口コミをチェックした。口コミの良さなども重要だが今回はそれ以上に営業時間である。ランチタイムと夜の営業時間に分かれているようなお店にはいきたくない。できれば夜まで通し営業をしているとか、夕方まで営業しているとかそんなお店に行きたかったのだ。

「いくつかありそうね」私は営業時間が理想的なお店をいくつか見つけたが、どうもランチの内容がしっくりこない。ランチがなくて夜同じ料金のお店とかがあるようだがどうもいまいち。せっかくのゆったりランチとして味わえそうな料理が見つからないのだ。

「やっぱり歩いて探そうかな」結局私はネットを見るのをやめて歩いてお店を探すことにした。

 住んでいるところの最寄り駅に到着。駅前に来れば飲食店は多くありそうだということで、駅前を歩いてみる。時計を見ると13時になろうとしていた。これは私の作戦通りだ。やはり12時台は混むから13時を過ぎてからのほうがゆったりできる。
「そのまま夕方までゆったりできるカフェのようなお店とかないかしら」

 私はあえてネットを見るのをやめた。もう自分の五感を頼りにしている。過去にもそのような感覚で入ったお店が正解だったことが何度もあった。意外に五感には自信があるのだ。

 駅前から歩いてみるが、今ひとつパッとしないお店ばかりである。
「探そうと思うとなかなかねえ」私は駅前から少し範囲を広げることにした。
 範囲を広げて店を見る。和洋中なんでもあった。だけどどれもピンとこない。
「混んでいる店は14時までか」店の雰囲気だけでなく営業時間も気になった。気が付いたら13時30分を過ぎようとしている。いつもなら適当に入るのに、下手に時間があるからゆっくりと探しすぎたようだ。後ろの時間が14時までとか15時までの店はもう無理だろう。

「ええ、なんで見つからないの」私は焦りだした。せっかくの休みなのに、さっきから何うろうろしているのだろう。私はお昼過ぎからゆったりとした時間をのんびり過ごそうそれだけを思っていたのに。

「あ、カフェだ!」私はようやく道路を挟んだ先に一軒の気になるカフェを見つけた。一軒家だがおしゃれな外装である。
「期待できるかな」私は道路を渡り店の前に来た。
 営業時間を見るとこれもぴったりである。
「18時まで営業ならいけるわ」そう思うとそのまま店に入った。

 だが店に入って席に着いた時、私は衝撃を受けてしまう。このカフェはランチはやっていないというのだ。何やらコーヒーにこだわりのある店のようで、コーヒー豆が店内に用意されている。○○産とか○○ブレンドとかそんなことが書いてあった。
「フードはない」本当に無いようだ。ドリンクはコーヒー以外にも紅茶やジュースはあるようだが、テイクアウトでコーヒー豆を買いに来るようにもなっているので私の思っていた店とは明らかに違う。

「席に着いたし悪いから、コーヒー飲もうか」私は入ってしまった手前、そのまま出るのも申し訳ないと思い、コーヒーを注文した。

 そんな状況だが、私はコーヒーそのものは嫌いではない。暫くすると注文したコーヒーが来た。
「やっぱり専門店は香りがよいわね」私はこうしてコーヒーに口をつけたが、空腹のためおなかが鳴り出してしまう。「いや、ち、ちょっと」私は恥ずかしさもあったので、結局20分くらいでコーヒーを飲み干して店を出た。

「コーヒーは悪くないんだけど...…」と家を見ると14時を遠に過ぎている。どうやらランチ難民になったのかもしれない。
「ええ、なんでこうなるの!」私は理想の休日と違うことに苛立ちを覚えた。
 しばらく歩くと大きな公園が見えてくる。「公園かあ、公園の売店とか...…」私はもう選んでいる場合ではないと覚悟した。このままランチが食べられないとそのまま夜になってしまう。「せっかくおいしいランチを食べようと外に出たのに、私はさっきからいったい何をしているのだろうか」

「あ、コンビニだ」突然、私は公園の隣で営業していたコンビニに吸い込まれた。コンビニの前に書いていあるフードのフェアーの写真に引き寄せられたようだ。
「こうなったら」こうして私はフェアーの写真に乗っていた商品とドリンクを購入してコンビニを出た。

「公園でこれ食べるか」そのまま公園に入る。公園内を歩いていると木々に囲まれたベンチを見つけた。おそらくこの近くのオフィスの人がお昼に使っていそうなところである。「ま、公園なら夕方までのんびりできるわね」
 気の前のベンチは太陽の直接の光をさえぎってくれる。かつ心地よい風が吹き、木の香りのようなものを感じた。さらにわずかではあるが鳥のさえずる声が聞こえるのだ。

「天然のBGMと内装を見ながらのランチいいかもね」こうしてようやく私はランチを口にすることができた。

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