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バイリンガル餃子 第1030話・11.22

「焼き餃子か」台湾系華僑の李はラーメン屋の入口に貼っているメニューの餃子の写真を見て不満そう。
「水餃子が好きなのに」李はため息をつく。

「ん?お前、李か」突然後ろから話しかけてきたのは同級生の陳。同じ台湾系華僑なので仲が良かったが、最近は久しく会ってない。
「お、陳、久しぶり。名古屋に行ってたんじゃ」「ああ、久しぶりの里帰りだ。ほう相変わらず焼き餃子が嫌いなのか。だったらついてきな」

 李は陳についていく。「あの店だ、昨日見つけた」そう言って陳が入ったのはロシア料理店だ。「ここロシア?何で餃子なのに」不満そうな李を横目に陳が何か注文した。

「どうだ、これ。焼き餃子じゃねえだろう」出てきた餃子モドキを自慢げに話す陳。「ペリメリっていうんだ。もし嫌ならトルコの餃子マンティを紹介するぜ」「あ、いいよ」
 李は黙ってペリメリを食う。食べながら「旨いな、しかしロシアにトルコか、餃子もバイリンガルな食い物だ」と思った。

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シリーズ 日々掌編短編小説 1030/1000

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