見出し画像

#呑みながら書きました オロチヤマタノスケ

呑みながら書くということ

 この企画に、以前はソフトドリンクや水で参加しましたが、今回は初めてビールを飲んでみました。これはラオスのビール「ビアラオ」です。輸入しているものを手に入れました。
 PiMaiというのは、タイやラオスで新年をお祝いするときに使っている言葉で、2563というのは仏歴です。
 ラオスもタイと同じ4月が正月で、作られて数か月遅れのものを頂きました。

 さてビールを頂いたためでしょうか?いつもなら、ここで小説を書くのですが、うまく書けません。代わりに「オロチヤマタノスケ」が作った創作神話を乗せておきます。
※ちなみに彼は、私の小説で出てくる素人小説家の伊豆茂が、こちらで突然ライバル視して現れた存在。今回彼が書いたとされる作品を入手しました。

「創作神話 忠臣蔵外伝」 作:オロチヤマタノスケ

 我が名は、アヌビス。といっても諸君らにはわからないだろう。エジプト神話に出てくる冥界の神である。むしろエジプトのミイラにおいて布で死体を包む役目を負っていたというほうがわかりやすいのかもしれない。そして犬の顔を持っておる。

 この画像。見た目では呑みすぎて酔って寝込んだ奴を、介抱しているように見えるがそうではない。死者をミイラにするための作業をしている場面だ。まあビールは非常に古くから飲まれており、古代エジプトでも人気。ちなみに神であるワシもひそかにたしなんでおる。
 ワシは本来なら古代エジプトの世界で活躍するリコポリスの守護神。だがどういう理由かはわからぬが、ある一定のタイミングで、時代と海を越える機会があった。

 時代は数千年も未来で、場所は日本という島国である。当時の日本は江戸時代と呼ばれるもの。そのときにこの国を支配していた者の名前は、徳川綱吉という将軍だ。
 この時代に来たワシは、そのまま彼に憑依した。綱吉が「生類憐みの令」という法律を作り、犬を大切にした真の理由がそこにあるのだ。

 当時の江戸という場所にはビールは無かった。代わりに米でできた酒を楽しんだ。短い間であるが、なかなか好みの味であったな。

 そんなある日のこと。私は普段とは違う物珍しい光景を見たために、ついつい憑依していた綱吉から離れていた。そして目の前では、普段城内で見るようなこともない場面に出くわす。
 浅野という男が、吉良という老人に切りつけるシーンであった。てっきり彼らは米の酒を飲んで酔っていたのかと思ったが、そうではないらしい。ちなみに、ワシの姿は彼らには一切見えない。

 このときに、私の杖の両端が、浅野と吉良の体に一瞬触れた。我が杖は特殊な力がある。その一瞬であることが起こった。それは両者の魂が入れ替わったのだ。

----

「わ、我は、なぜじゃ。我は吉良じゃ。あ、浅野ではない」若い体に入った吉良の魂は体が入れ替わった。それだけでなくその場で捕らえられ、慌てふためく。だが周りのものは、魂が入れ替わったことなど気づくはずもない。
 そして場所が江戸城松の廊下という、非常に重要な場所で刀を振り回した罪ということで、浅野は腹を切ることになった。だが入れ替わっておるから最後まで納得せず、「私は吉良じゃ。これは何かの間違いだ。まて、命を助けてくれ!見返りには何が欲しい。金でも何でも与えるぞ」と首をはねる介錯(かいしゃく)人を困らせるほどであったらしい。だが、最終的に切腹の儀式が行われ、浅野の体に入った吉良は死んだ。

 ワシは、エジプトの時代ならここでミイラを作る役目を行う。だが時代も場所も違うのだ。だからこの国のやり方に従い、遺体は関係者に引き取られ、埋葬された。

 そして本来この処刑されるはずの浅野の魂は、吉良の体に乗り移っておる。当初は彼も頭が混乱して周囲を困惑させたが、これは「老人特有の病」つまり認知症の一種と思われたようだ。やがて吉良という立場になれたのか、それほど問題を起こさずに過ごすことになる。

----

 浅野は赤穂というところを治めていた殿様であったが、幕府により領地は取られてしまった。残されたのは大石という殿さまに次ぐ家老と家臣たちである。いきなり殿様が殺されて領地が取られてしまい戸惑った。
「すべては、吉良のせいだ。必ずやあのものの首を」と大石は誓う。そのときが来るまで秘かに準備を進めた。

 そしてついにそのときが来たのだ。殿様がかつて切りかかった相手で、生き残った吉良の屋敷に討ち入る。そして主君の仇を討とうとした。本当は主君の殿様・浅野の魂が宿っていることを知らずに。
 このときを直感で察知したワシは綱吉の体から離れ、吉良邸に見に行った。するとすでに押し入った47人の浪士たちが、吉良側の武士たちとチャンバラを始めているではないか。しかしワシが介入することではないから、ただことの成り行きを見るにとどめた。
 やがて大石ら赤穂の浪士たちが優勢となり、吉良側の武士は全滅。隠れていた吉良本人もついに見つけられてしまう。

「吉良殿、我らは赤穂の浅野の家臣だったもの、主君の仇を取りにまいった」と、大石が代表して名乗るが、吉良は手を横にして否定。
「まて、ワシは吉良の体をしておるが、浅野である。大石よ、私の目を見よ。お前ならわかるじゃろ」と言って大石と視線を合わせると、大石は理解した。
「も、もしやまことに殿!」大石をはじめ、47人の志士たちは、魂が入れ替わったことに気づく。そして一斉に驚いた。体が違うとはいえ、死んだと思っていた主君との数年来の再会。本来であれば、抱擁をしたのかもしれない。だがそれはせず、しばらく沈黙のときが流れた。
1対47。これはまるで、増えるツンデレを前にしたシーンといえるのかもしれん。やがて沈黙は破られた。だがそれはあまりにも悲しい結末。
「そなたは浅野の殿かもしれません。だがそれは、もうどうでも良いのです」
「ど、どういうことじゃ大石!」「我らは主君の仇を取ることでこの討ち入りが完成します。殿、申し訳ございません」と言うと大石は吉良の体をした浅野を刀で刺す。「ぐぐぁああ、お、大石、な、なぜ!」
「たとえ魂が殿と入れ替わったとはいえ、ここで我らが吉良の首を取るのが定め。どうぞお許しください」と涙ながらに頭を下げる一同。
 浅野が息絶えたを見定め、吉良の体から首を切り落としたということだ。
 ワシはその様子を全部見たが、「そろそろ元の時代に戻ろう」と思った。だから綱吉の元ではなく過去。つまり本来の古代エジプトの戻ったんじゃ。

 このエピソードはいろいろな芝居や舞台などで利用されて有名になる。だが私が介在したことによる、意外な事実は誰も知らない。まあ知る必要もないだろう。では諸君また会おう。

(おわり)

創作神話 忠臣蔵外伝
 作:オロチヤマタノスケ
 代筆・文責:旅野そよかぜ

※呑みながら書きましたので、酔った勢いで3つの企画に同時参加してしまいました。

※なお、心灯杯は有料前提ですが、無料でも構わないという了承を得たこと。及び、神話部の活動は無料記事に限定ということから、今回も無料記事としました。

こちらもよろしくお願いします。

電子書籍です。千夜一夜物語第3弾発売しました!

ーーーーーーーーーーーーーーー
シリーズ 日々掌編短編小説 334

#小説 #掌編 #短編 #短編小説 #掌編小説 #ショートショート #代筆 #オロチヤマタノスケ #創作神話 #忠臣蔵外伝 #三題噺 #note神話部 #アヌビス #パラレルワールド #3企画同時参加 #カオス状態 #人類には早すぎるnote #note珍百景 #ビアラオ
#呑みながら書きました #第3回心灯杯 #神話部一周年

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?