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日々掌編短編小説(そよかぜの千夜一夜物語)

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2020年1月1日から、ほぼ毎日掌編小説を執筆中。東南アジア小説をはじめ、興味のあるあらゆるジャンルをネタにして作品を発表しています。ちなみにこちらには「書き下ろし」としてしばら… もっと読む
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2022年1月の記事一覧

海底のさらに下の世界 第738話・1.31

「こ、これがあの海底のさらに下にある世界?」科学者の河田は驚きのあまりしばらく見とれるし…

真冬の海 第737話・1.30

「おう、やっぱ海だよ。来てよかったなあ」今日は溜まっていた有休消化のため、少し長い連休と…

見下ろす 第736話・1.29

「地上だけの世界で生きるとなれば。なんとつまらない生涯になるのだろう」   一羽の鳥はそ…

夢を語れば見えるかも 第735話・1.28

「さて、今日はあいつ頑張っているかな」西岡信二は、仕事を終え、パートナーのフィリピン人、…

異世界への入口? 第734話・1.27

「伊海さん、お忙しいところ、お時間を下さりありがとうございます」研究者の横山は、恭しく頭…

赤いバッグ 第733話・1.26

「ヒナタ、ちょっとまって」「アカリ何よ?」ヒナタが立ち止まり後ろを向くと、後から歩いてい…

左遷の後から出た温泉 第732話・1.25

「え、これは!」俺は、人事部からもらった辞令を見てショックを受けた。「完全な左遷か、まさかこんなに早く出世コースから離脱するとは」  俺は国立大学を出て今の企業に就職して10年。すでに係長に昇格しており、このままでいけば最年少クラスの課長、そして部長と出世コースをひた走っているかに思えた。「あわよくば上場企業の役員も夢ではない」  ところが、上司から来た辞令は、俺の野望を打ち砕くのにはちょうど良い内容だった。本社から地方への転勤。それも山奥の方である。 「どこで狂ったか」俺

疑似生体・ホワイトタイガー 第731話・1.24

「本当に、生きているのとは違うのですね」タウン情報誌の記者である靖は目を見開いた。「ええ…

相談 第730話・1.23

「お、君、ちょっと相談があるんだ」サンタクロースのいでたちをした男は、2足歩行でで歩いて…

人間として 第728話・1.21

「もうすこしで完成だ。フフフ、この瞬間を待っていたんだ」地球上では、エイリアンと呼ばれて…

DAIKAN 第727話・1.20

「う、寒いわ、今日は、もう、起きたくない」竹岸涼香は、ベッドの中で毛布にしがみついていた…

勝負の直前 第726話・1.19

「フッ」小生は目をつぶり小さく息を拭いた。ついに小生が新たなる人生のための勝負の時が来た…

着ぐるみの中で 第725話・1.18

 ここはある公園、パンダの親子?大小異なる大きさの着ぐるみが立って、公園のみんなに愛嬌を…

モノクロームな世界 第724話・1.17

「母さん、昔の世界はカラーで、色が楽しめたんだよね」今年の春に高校生になる15歳の新(あらた)の質問に母親の顔色が変わった。 「や、やめて! お願い!それは言わないで」突然目から涙をためてて悲しそうな母の表情。慌ててふたりの前に来たのは父親だ。「おい、お前、今の新の言葉は忘れろ!今のは空耳だ」優しく母の背中を撫でる父は、新に視線を送る。「新、母さんにその話はしてはいけないんだ! 後で父さんがちゃんと質問に答えるから、部屋で待ってなさい」  新は「母さんごめん」と一言謝ると自