マガジンのカバー画像

わたしやかぞくのはなし

195
わたしやわたしをとりまく家族たちの話です。
運営しているクリエイター

#家族

星がぼやけた日

 その日、私は片手にアイスを持っていた。  それは「パピコ」という名前で、2つが隣り合わせの双子みたいな形をしていて、ぱきっと真ん中を割って、チューブ型の容器の先端の凹みがあるところをハサミでカットして、チューチューとシャーベットを吸い出して食べるアイスだった。  パピコは公会堂の冷蔵庫で先ほどまできんきんに冷やされていた。その片割れを持っている右手の指先が冷えてきた感触で、私は時々パピコの存在を思い出した。少しずつ口にくわえてチョココーヒー味の中身を味わう。  蚊にさ

2回目のくらしずくへおでかけした話

つぶやきでも書かせて頂きましたが、家族4人でおでかけをしてきました。 「くらしずく」という千葉の九十九里で開催されたクラフトイベントです。 私は以前、くらしずくの開催場所でもある菅原工芸硝子さんのガラス作品とカフェに、夫と訪れたことがあったのです。 「とても素敵な場所だなぁ」と思い入れもあったので、一昨年もこのくらしずくに参加しました。 その時おでかけした内容を、2年前にも記事に書きました。 この記事は実際に私の家族に起きたできごとを包み隠さず、正直に私の気持ちも綴っ

suzuさんのおいしいおやつとハグと仲良し

雑記です。 ①suzuさんのおいしいおやつがきた! suzuさんというnoterさんがいらっしゃいます。 そのsuzuさんが、時々ご自身で作成されたおやつをネットで販売してるのです。 suzuさんは毎日おうちのご飯の写真を撮って、それを記事に上げられています。私はそれを眺めるのが好きです。そして日記のようにちょこっとその日起こったことや感じたことも書かれていて、それも読ませてもらっています。 非常に良いのです。 あとたまに、自分の思考というか、思ったことをきちんとま

メンデルスゾーンと頼もしいラーメン

義理のお母さんの自宅へ訪問リハに行くようになり、しばらく経った。 彼女は今年に入って膝の手術をした。退院してから足腰の調子を取り戻すために、リハを継続している。 膝の痛みは変わらず残っており、毎回ストレッチをしたり、筋力をつけるための運動を一緒に行っている。 私の実家に立ち寄った時に母親から「そういえばお義母さんから電話が最近ないのよ」という話があった。 以前、義理の母は私の母に定期的に電話をかけていた。内容は主に孫のこと。義理の母は過度な心配性であり、夫曰く「過干渉すぎ

どんびき家族

えーと ちなみにわたくし「万引き家族」はまだ視聴しておりません。 え、そんなことは聞いてないと...。 そうですか。 今日は変な話ですよ。 うちの家族が 「どんびきされること」 を承知で書いてみたいと思います。 4人で夕飯を食べている時のお話です。 食べている時はうちの家族は誰かが絶対おしゃべりをしているので、毎回賑やかなのです。 (黙食とかまず無理な話なんですよね) それでその日は、私たち家族のタイプが二分されるというか、あきらかに性格や思考が決定的に違うこと

その気持ちは2年越しだった

娘と先日雑談をしていた。 2人ともお気に入りの無印良品のソファに座って、だらっとしていたのだ。 娘はたまに話をしたいモードがあって、そういう時はなるべく付き合うようにしたいと思っている。おそらくその日もそんな雰囲気だった。 他愛もない話だ。 何がおいしかっただの。 スプラトゥーンでこんなだっただの。 弟がこんなこと言ってただの。 そんな調子だと思って、私は気が抜けていたが、実際はおだやかなせせらぎのような水は、気づいたら速度をはやめていた。それは傾斜がついて水か

つるとパチンコ

折り紙のつるを見ると思い出す人がいる。 そして思い出すたびに、懐かしい気持ちと、胸がぎゅっとなるような、わずかばかりの心苦しさを感じたりもする。 彼女はある日、いきなり私の元を去った。 彼女が最後に何を言ったのか 私が最後に何を言ったのか 私は全く覚えていない。 私がまだ幼かった頃。 私はある女性にずっとかわいがられていた。 彼女は、祖父母がお世話になっていた人で、昔でいうところの「女中」さんだった。 祖父母は料亭を営んでおり、年を取ってからは小料理屋を経営して

京都紀行その2

その1はこちら。 皆さんと別れたあと、ホテルに戻った。 娘が疲れた様子であったので、少しだけ休憩して夕方ご飯を食べに行くことにした。 夕飯....何を食べようと考える。 食べログなどで探してみる。 夫が渡してくれた京都のガイドブックを見てみる。 いくつか、目星をつけて電話をかけた。 しかし、驚いたのだが、閉店しているお店が多かった。ガイドブックは2年前に発売したものであった。 もしかして、これもコロナの余波かな......と思いながら、続けて他のお店に電話をかけてみ

また、ここから、のステーキ

私と夫にとって、大事な大事なステーキ屋さんがある。 そのお店との出会いは、かれこれ20年ほど前。 私は当時、専門学校に通っている学生だった。その期間は、都内の病院や高齢者施設で実習を受けることになっていたが、病院も施設も私の自宅からはだいぶ離れていた。毎日通うことが難しかった私は、叔父の好意で都内にある叔父の事務所を間借りしていた。 事務所の場所は「入谷」という地名で、最寄り駅は鶯谷駅となる。 近隣には合羽橋といって全国でも有名な問屋街があったり、もう少し足をのばすと外国

宴の後のさくらと雨

「あー、歯が生えてきてるんですよ。」 今日は、息子と歯医者さんに出かけた。息子が何日か前から「歯が痛い....痛いっていうかなんか気になる!」と言っていたので「歯が生えてきてるのかな....うずいているのかな....全く犬じゃあるまいし」と思っていたら、案の定そうだった。ますます犬みたいな子である。 「じゃあ、大丈夫だと思うんで。今日はこれで。」と言われてあっけなく歯医者をあとにして、私はそこから買い物をして息子は本屋さんで待機して、合流して帰路に着く。 そのあと、家に

ハグが好きな私たちとハグを禁止された息子の話

今年も言われたな....と思いました。 学校の年度末には、面談がだいたいあるものです。 私の息子は小学校の支援級に所属しており、交流級と半々の生活を送っていて、毎年、年度末には支援級の学級担任と面談があります。 一年のおさらい。 できるようになったこと。 これからものばしていきたい良い面。 まだ引き続き課題となっていること。 一年を通しての行われた行事や学業の振り返り。 来年(6年生)を迎えるにあたっての見通し。 話している中で昨年に続き話題に出たのです。 それは

きのう、はなしてくれたこと

昨日、あなたが話してくれたこと。 ここに書いてみようと思うんだ。 書いておいておきたくなったから。 忘れたくないから。 時々、あふれたように話し始めるあなたが好きです。 普段はお話する量を意識しているとこの前は話してましたが、そんなこと意識しなくていいよー、家族には好きなだけ話しなよーと伝えましたね。 「私だけ喋ってたら悪いと思って、友達とかと話す時に相手の話と同じくらいの量にしてる」と言われた時に、正直かなりびっくりしました。 そんなこと考えながら普段話してる

自分の色と温度に戻していくのです

昨日からお休みに入らせてもらい、年末はかなりゆっくりとさせてもらっています。 皆様はどのように過ごされていますか? お仕事に携わる人、家族のケアをする人、ボランティアをする人、それぞれが年末と言えども関係なく動かれている方も多いと思います。 おつかれさまです。私は心より応援しております。 少しでも、ほっとひといきでも、休息が取れる時間が持てますように。 私は何をやっていたのか、何に思うことがあったのか、少々雑文を書いていきます。 1.子どもと過ごす 子どもといろい

青のクリスマス

事故を見た。 朝方、スクーリングに向かおうと校舎に向かって歩いていたら、道路で倒れている人がいた。 頭から血を流している。 すでに警察の方は多く到着していて、交通整備をしたり、状況を確認している。 隣に立っていた女性が救急車を電話で要請している。どうやら彼女がはじめに倒れている人を発見したようだ。 警察の人が倒れている人に話しかけており、意識はあるようで手を動かしたり話したりしている。 私は今何ができる? 頭部の止血をしなければ..... 脈拍を取ったり、意識