卵子の加齢とミトコンドリア
おはようございます(^ ^)クマです!
今日は今まであまり触れてこなかったミトコンドリアのお話をしたいと思います。
◎PGT–Aで正常でも妊娠成立しない卵がある
以前お話した着床前診断の一つであるPGT–Aですが
PGT–Aは染色体の数的異常を調べる検査です。染色体数が正常な受精卵だけを胚移植することで妊娠率をあげようという試みです。
しかし、この検査で正常胚という診断をされた胚を移植しても10%は着床せず妊娠成立しません。
その原因は加齢依存の卵子の細胞質、特にミトコンドリアの機能低下があると言われています。
◎ミトコンドリアとは
ミトコンドリアは酸化的リン酸化によるAPT合成を介したエネルギー産生を主な働きとしている細胞内小器官です。
難しい言葉を使っていますが、要はエネルギーに関わる細胞です。
ミトコンドリアは細胞あたり数千個ありますが、卵子は巨大な細胞であるため卵子内には10万個もミトコンドリアがあると言われています。
PGT(着床前診断)では検査するためにとった細胞のミトコンドリア数を調べることも可能です。
◎加齢によりミトコンドリアのDNA量が増加している?
最近の研究では加齢によりミトコンドリアDNA量が予想に反して増加しているという結果が報告されています。
これは、卵子において加齢依存性の細胞質のエネルギー産生機能低下をミトコンドリアDNA量を増やすことによって補っているからと考えられています。
ミトコンドリアDNAの変異により生じる遺伝性のミトコンドリア脳筋症で罹患臓器のミトコンドリアDNA量が増加すると言われていますが、上記のことはこの原理と同じであると言われています。
受精卵のミトコンドリアは全て卵子由来です。ミトコンドリアDNAが多い受精卵ほど着床率や妊娠率が悪いというデータが報告されています。
よってPGTによりミトコンドリア量を調べ、受精卵を選別することで着床率や妊娠率が向上するのではないかとも考えられています。
◎PGT-Aでは
PGT-Aでは全遺伝子のミトコンドリアDNA量の算出も容易に可能となりました。PGT-Aは染色体の数的異常をみる検査ではありますが、それに加えてミトコンドリアDNA量の算出も可能になることでより妊娠の可能性が高い受精卵を移植することに繋がります。
年齢が高く、ミトコンドリアDNA量が高い受精卵を繰り返している場合、自家ミトコンドリア注入を行うと有効というデータも報告されているようです。これがなぜ有効なのかまだ原理はわかっていないため、安全性などが確立されてから運用されていくことにはなりそうですが、その日もそう遠くはなさそうです。
少し難しい話になりましたが、ミトコンドリアDNAの量も大切であり、年齢が高くなるとミトコンドリアDNA量が増えてしまうということも不妊の原因になっていることがわかりましたね。
ミトコンドリアに関する研究はまだ今後も続いていきそうなので、また最新データなどを見かけたら載せていこうと思っています。
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