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人生に無駄なことは一つもない。潜在意識の中にはたくさんの可能性が眠っている。

息子は
大の読書嫌い。
上の写真は
今現在の息子の本棚の本。

見事に実用書が並んでいます。

以前
こんな記事を投稿したことが
ありました。

そんな息子が
春から
遠くの高校へ
通うようになり
なんと
電車で
読書をするようになったのです。

読書と言っても
漫画ですけれどね。

たとえ
漫画であっても
空いた時間に
読書をするなんて
これまでの息子には
全く考えられないことでした。

電車という空間では
さすがに
大好きな物作りは
出来ませんからね。

さて、先日、
息子の部屋に
洗濯物を
置きに行った時のこと。

机の上に無造作に置かれた
一冊の本に
目が留まりました。

それは
カバーのかかった文庫本。

息子と文庫本。

ないないないない
絶対に有り得ない!

ホントに文庫本?!

気になって
カバーを外して
ちらっと
中身を見てみたら

な、なんと
『ラーゲリより愛を込めて』 

しょ、小説…。

息子は
全く読書はしませんが
映画は好きで
この作品も
見たい見たいと
前からずっと言っていたんですね。

とは言え
映画を見ずに
本を読むなんて…
絶対にあり得ないことでした。

よく見ると、
もうかなり終わりの方に
栞が挟まっているでは
ありませんか!

ここまで読んだ?!
いやいや
ないないないない…

あっ、
もしかして
この本、主人の?!

そう思って
主人にたずねると
「知らない。俺のじゃない」
と。

ひょえー!
ということは…
やっぱり
あれって
息子の本なの?!

それでもまだ
信じられずにいた私は
息子にたずねてみました。

「ねぇ、
机の上にあった
ラーゲリより愛を込めて、
○○の本なの?!」

「そうだよ。
感想文のために読んでた。
なかなか無くて
あちこち探し回ったよ」

息子は
飄々と答えました。

感想文のため
なんて
さらりと言いましたが、
息子は
これまで
たとえ感想文のためであっても
小説を読んだことは
一度もありませんでした。

感想文を書くために
選ぶ本は
物語ではなく
自然に関する本だったり、
物作りに関する本だったり…。

自ら進んで
物語を読むなんて…。

「栞、随分
終わりの方に挟まってたけど…
(まさか、
あそこまで読んだ訳じゃないよね)」

「だってさぁ
毎日片道1時間も
電車に乗ってるんだよ。
すぐに、
読み終わっちゃうよ」

(いやいや
そう言うことじゃなくて
あなた
読書嫌いだったわよね?!)

私が
口をあんぐり開けて
驚いているのをよそに

「お父さん
あれ、貸して!」

そう言って
なんと
あの読書嫌いの息子が
本棚から
小説を取り出したではありませんか!

な、なぬなぬなぬ

「これも、おもしろいよ」
主人は
最近読んだ漫画を
すすめました。

「あっ、う~ん…」

結局
息子が選んだのは
小説でした。

どうやら
『ラーゲリより愛を込めて』は
すでに
読み終わったようで。

主人から借りた小説に
カバーを掛け替えて
急ぎ足で
出掛けて行きました。

小さい頃
たくさん
本を読んであげたけれど
本が嫌いな子に育った…

それが 
ついこの間までの
私の子育ての結論でした。

それが
なにがどうなったのか
突然
進んで本を読むようになって…

もちろん
今だけのこと
かもしれませんけれどね。
当の本人も
「今だけかもよ」
と言ってますし。

それでも
あんなに
読書嫌いだった息子が
電車での1時間を
小説を読む時間に
あてるなんて。

何がきっかけで
人は変わるか
分からないものですね。


最近
息子と話していると
よく口出てくる言葉があって。

それは…

人のことなんか関係ないよ

一見
冷たくも聞こえる
この言葉。

でも
息子の言う
人のことなんか関係ないよは、
人にどう言われようが
人が何をしようが
大切なのは
自分がどう思うか
どうしたいかなんだ
ということなのだと
そう思って
聴いています。

息子は
13歳の時にある決断をしました。

それは
自分の気持ちに
正直に生きるための決断で。

その選択は
今まで誰も選ばなかった選択、
周りのみんなと
一人だけ違う選択でした。

それは
想像していた以上に
孤独なことでした。

悩んだり
傷付いたりすることも
たくさんありました。

けれど
そうやって
悩みながらも
自分のやりたいことを
大切にしてきたことが
今につながっている…
そう感じているようです。


春から始まった高校生活。

自分が選んだ道
自分で選んだ高校
とは言っても
さすがに
楽しいことばかりとは
言えないようで。
(5教科の授業は
相変わらず苦痛なよう)

それでも
建築に関することが学べて、
毎日の部活動でも、
大好きな物作りに没頭出来て
今までの生活とは
比べものにならないくらい
充実していると言います。

この道を、
この高校を選んで良かったと。


人のことなんか関係ない

それは
多感な時期に
悩み傷付きながらも
自分のやりたいこと
自分の幸せを
決して諦めなかった
息子が
自ら手にした答えなのだと
思います。

ふと
思いました。

息子は
読書好きには
ならなかったけれど、
小さい頃の
毎日の読み聞かせを通して
体感した
安心感や心地良さ
ワクワクやドキドキ
それらは
息子の潜在意識の中に 
深く刻み込まれていて
息子の人生に
何かしらの影響を
与えているのかもしれない…。

私にとっても
息子にとっても
幸せだったあの時間。
私たちが
体感したあの時間は
かけがえのない
大切な時間だったんだ…と。

『ラーゲリより愛を込めて』
を読んで
息子は何を感じたのだろう…

息子と
この物語のことを
話してみたいな…

そう思って
私も
久し振りに、
文庫本を手に取り
読み始めました。






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