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悪い戦略のあるあると良い戦略の基本原理を知る

最近たまたま見たDaiGoさんの動画でおすすめされていた『良い戦略、悪い戦略』。

経営や組織運営に限らず、個人のキャリアを考える上でも役に立つ本だから、取り上げたんだろうなと思います(どの動画でなんと紹介していたかは忘れました)。僕も同意見。

けっこう熱心に勧めていた印象があるので、
読んでみようかと思った方もたくさんいるのでは?

と思ったので、ずいぶん前に読んでスライドにまとめていたものを引っ張り出してきました。

スライドだけ見てもわかるようになっています。

ではでは。

良い戦略は単純かつ明快

さっそく、良い戦略のもっとも大事な部分を。

良い戦略は、的確な状況分析とゲームルールを変えるような洞察に基づいて策定される単純かつ明快な打ち手です。

スライドにもあるとおり、「こちらの打つ手の効果が一気に高まるようなポイントを見極め、そこに狙いを絞り、手持ちのリソースと行動を集中させる」ことがすべて。

作者はダビデとゴリアテの話を引いてこのことを説明していました。

かんたんに紹介します。

小柄なダビデが戦いを挑むのは、体格差が圧倒的かつ鎧の重装備までしているゴリアテ。さて、どのようにしてダビデは勝ったのか。戦略は単純です。

一定の距離を保って、石を投げる。以上。

ダビデが準備期間に何をやればいいかは明確です。石を正確に投げる練習だけしておけばいい。本番はとにかく身軽な格好(ダビデはほぼ裸で臨んだ)をして、広いフィールドで距離を保てばいいのですから。

もし、ダビデが戦略を間違えていたらどうなったでしょう。たとえば、全力で体を鍛え、重たい鎧を着て立ち向かっていたら…。

このように「こちらの打つ手の効果が一気に高まるようなポイント」を見極められなければ、どれだけ効率よくやろうとがむしゃらにやろうと良い戦略とはいえません。

多くの人が戦略とは行動を起こすことだと考えているが、その前に困難な状況をみきわめる作業があることを忘れてはならない。

『良い戦略、悪い戦略』

ここで教訓。

どうでもいいことをどれだけ上手くやっても、それが重要になることはない。またどれだけ時間をかけようと、その仕事が重要になるわけではない


良い戦略の基本構造

良い戦略の構造はシンプルです。以下の3つをしっかり押さえていればいい。

どれも大事ですが、特に忘れ去られがちなのは、1の「診断」なんじゃないかなと思います。

どうやるかを考える前に、何をやるかを吟味する。

これがどれほど重要かをついつい忘れてしまうのです。釣り竿やエサに大金をかける前に良い漁場を探そうってことですね。

先ほどの章でもありましたが、1つか2つの決定的な要素に絞ることが大事です。あれもこれも大事、で片付けないこと。


悪い戦略を使う人のあるある

作者のルメルト氏はかなり辛口に企業の「戦略」を批判しています。

言われてみれば、たくさん事例が浮かぶ人も多いはず。自分と関係ない組織や人物の戦略ほど冷静に見つめられますからね笑

それにしても辛辣な言葉ばかり。

これくらいインパクトがあると脳裏に刻まれるのでいいですね。

次の章から事例を紹介していきます。


悪い戦略の4つの要素①空疎である

自分の立てた戦略が以下のどれかに当てはまっているようなら、要注意です。ルメルト氏に切れ味鋭い言葉で斬りかかられること間違いなし。

ひとつずつ、以下の事例を見ながら検討してみてください。

まず、一つ目。空疎であること。

何か壮大なことを言っているようで、何も言っていないのに等しい内容のことです。

例えば、組織のリーダーがこんなことを言ったら激マズです。

「共通目標を達成するために、成員間の役割や機能が分化・統合されている集団を作ろう。これが我々の戦略だ」

これは、組織の定義を僕がそのまま引っ張ってきてコピペして作られたセリフです。つまり、目標のために組織を作ろうというだけのことしか述べていない。空疎です。


悪い戦略の4つの要素②重要な問題に取り組まない

続いて、悪い戦略の要素の2つ目。

こちらも簡潔です。

どれだけ動員しようが、予算をかけようが、「1つか2つの決定的な要素」を無視しているような打ち手は戦略ではありません。

戦略のない組織でもっとも割を食うのは現場です。

「なんでこんなことをしているのかわからない」
「やってもやっても何もよくならない」

みたいなことを思いながら、事に当たらないといけなくなります。しかも、おそらく激務。これでは問題続出でしょう。


悪い戦略の4つの要素③目標と戦略の取り違え

3つ目。目標を戦略と取り違えている。

ダビデとゴリアテの話でいうと、「打倒!ゴリアテ!」は目標ですが、戦略ではありませんね。

ダビデの戦略は「広いフィールドで、ゴリアテの槍が届かない距離を保って、石を投げる」でした。

これには細かい手順があるわけではありませんが、本番はもちろん、準備期間にやるべきことも明確です。

・広いフィールで戦えるよう交渉をすること(土俵や建物の中で戦う事には絶対にしない)

・正確に狙った位置に石を投げる練習をすること。フィールドに石をたくさん散らばせて用意しておくこと。

・装備の用意に時間もお金もかけないこと(広いフィールドで戦うことにお金のすべてを、投石練習に時間のすべてをかけてよし)

このように、戦略が正しく策定されれば何にリソースを注げばいいか、どんな行動に集中すればいいかが明確になります。

悪い戦略の4つの要素④まちがった戦略目標

悪い戦略4つの要素、最後は「まちがった戦略目標」です。

個人的にはこれがもっともよく見る形の戦略の失敗だと思います。特に「寄せ集めの目標」ですね。

それなりに勢力の均衡した人たちだったり、仲良しグループだったりで戦略会議を開くとみんなの意見を取り入れた目標を掲げがちです。

組織になると、最重要な目標を見つけるのも大変ですが、そこにリソースを集中させるのもかなり難題なのです。


事例をたくさん知ること

ここまでで、『良い戦略、悪い戦略』の核となっている部分を抜き出して要約しました。

戦略を立てたり、評価したりする際にはかなり参考になる内容になっていると思います。

しかし、良い戦略(悪い戦略)を知るには、要点を知るのと同じくらい、豊富な事例を知ることも大切です。

公式を押さえたら、練習問題をたくさん解く。これに勝る学習はありません。

本書は、戦略という観点から、神話の話やハンニバルといった古代の話、小さな製造業者の戦略、家族経営の店の戦略、アップルやアメリカの戦略まで幅広い事例をかなり詳しく紹介してくれています。

それぞれがどんな戦略をとったか予想しながら読んでみてはいかがでしょうか?


すぐに戦略的思考を使えるようにするテクニック

・・・なんて言われても。

事例をたくさん知るのには時間がかかる!

少しでいいから、今すぐ使えるテクニックはないのか!

そう思われる方のために、戦略的思考を習慣づけるためのテクニックをお伝えします。

ポイントは、3つです。ひとつずつみていきます。

①基本に立ち返る
②ひろゆきになってみる
③道筋を記録する

①基本に立ち返る

将棋の試合で、熟練した棋士たちが長考しているのを見たことはあるでしょうか?

あれって、実は打ち手自体は一瞬で決まっているんです。

何十年も将棋に命をかけてきた棋士の直感は、たいていの場合、瞬時に最良の手を導いてくれますから。

では長考って、何をしているのか。
それは、ひらめきを理論で検討するということです。

これが戦略家の姿です。

戦略を考るとき、僕らはついつい頭の中だけで考えようとしたり、ひらめきに頼りすぎます。そうすると、落とし穴にはまりやすくなる。

戦略は、ひらめきではありませんし、
どれだけ賢い人にだって盲点はあります。

だから、戦略家は、ひらめきを検証するための様々なフレームワークを持っているのです。検証して結局同じ手になっても全然構わない。

「目先のこと」や「最初の思いつき」に飛びつかないための拠り所となるものを用意しましょう。

幸い、僕らにはスマホがあります。
その場で調べて、いいものは保存しておけばいい。

ちなみに、ビジネス面で信頼できるフレームワークをいろいろ教えてくれるnoteとして、DeNAでHRビジネスパートナーをしている坪井さんのマネプロシリーズを挙げておきます。


②ひろゆきになってみる

自分で考えたものを真っ向から批判するのって難しいですよね。

いろんなやり方を検討するのがいいとわかっていても、たいていの場合、最初に考えた戦略の派生系みたいなものばかりを考えがちです。

そこで、頭の中にひろゆきさんを召喚するのです笑。

要は、バーチャルの他人を用意して、批判させてみようってことです。

個人的には、ひろゆきさんの喋り方を真似して、ひろゆきさんになったつもりで批判すると精度が上がるのでこう表現しました。

よく使えるセリフはみなさんお馴染みの
「それってあなたの感想ですよね」です。

自分の判断に疑義を提出する習慣を身につけること。自分からの攻撃にすら耐えられないような論拠は、現実の競争に直面したらあっさり崩壊してしまうだろう。

『良い戦略、悪い戦略』


③道筋を記録する

人間は、自分が過去に下した判断を「そう間違ってはいなかった」と思い込む能力に長けています。

だから、トンチンカンな予想をしていた人でも、後になって「ほら、やっぱりね」などと言い出すのです。

ポジティブでいるためには良いことなのかもしれませんが、これは戦略家としては致命的。

こうした点を補うため、自分が状況をどう分析して、どんな思考を経てその判断を下したかわかるよう記録に残しておくことが肝心です。その記録が未来の自分を助けることになるでしょう。

もちろん、最初は目を覆いたくなる結果ばかりかもしれません。

でも、今は精度が低くても大丈夫。後でずっと大きな決断をしなければならない時に、なるべく運の要素を減らせればよしとしましょう。


終わりに

たまたま本をよく読む身として、得た知識を周りの役に立てられるようスライドやノートにまとめておくのが日課です。

今回使ったスライドも、1年以上前に友達のために作った資料を引っ張ってきました。

なんで今さら記事にしたかというと。

つい最近、また別な友達から進路の相談されることがあって、その時に、基本的なフレームを知らないことでこんなに苦労しているんだろうなってことに気がついたからです。

で、意外と同じ苦労をしている人は多いのではないかと思ったので、こうしてそこそこ丁寧にまとめておくことにしました。

人生の選択を迫られたとき、誰かの相談に乗るとき、ぜひご活用ください。


【最後まで読んでくれてありがとう!】
年間150冊くらい本を読んでいて、お役に立てそうな良い本があれば個人的な解釈も交えて今日のように紹介します。

だいたい4、5冊読んで1記事になる感じなので、書籍代があれです。いや、「あれれ?」です。投げ銭大歓迎です。


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