ガミガミおじさん新聞コラムに欠けているのは、きっと笑いである
という出だしで始まる、今朝の600字ほどの新聞のコラムに、なんとなく気分を害しました。なんでやろ。
コラムは次のように展開します。
ブータンで行われた幸福度調査、その選択項目は「とても幸せ」「幸せ」「不幸」という3択だった。
選択肢を3つ示されると人は自然と真ん中を選びがち。
同じ選択肢であれば、日本でやってもかなり高い幸福度合いが測れてしまうだろう。アンケートには魔法がかけられる。
さて、今度、富山県知事は県民5000人の「ウェルビーイング」度合いを調査すると言っている。
この横文字、新聞ではなかなか扱いづらいんだよねとサラッと愚痴をこぼしつつ、こちらはどんな質問項目を用意しているんでしょうね、とこう持っていく。
我々は見ているぞ、と。
最後に、池上彰さんに飛び火して締めに入ります。
池上彰氏は、ブータンが幸せな国である理由を「足るを知る」ってのを知る仏教国家だからだろうと分析していた。
私は、こいつみたいに元データを疑わずテキトーに評論することをしないぞ、まあ、こういうことが言いたいんですかね。
空港のガミガミおじさんぽい?
で、まあこのコラムになぜかモヤモヤしたのです。
主張は筋が通っているし、出だしで目を引くのにも成功している。けど、なんとも言えない後味の悪い感じ。
なんでかなぁ、と思って自分なりに考えてみました。
そしたら、あぁ、あれと似てるからだと。
ほら、たまに空港とか家電ショップとかにガミガミおじさんがいるじゃないですか。
「今の世の中はおかしい。若者は人としてなっとらん、お前は俺たちが作ってきた時代を〜うんぬん」
だいたいは的外れなことを言っていますが、たまーに主張が理解できる場合もあります。でも、その場合でも、感情的にまったく賛同したくならない。なんかねちっこいし。
筋が通っていたとしても、話を聞こうと思ってもらえるかは別問題だと思うのです。
アンガーマネジメントに失敗していたら、どんな憤りも共感してもらえないぞ、みたいなことはアダム・スミスも『道徳感情論』の中で語っていたことでした。
新聞なんて、別に政治に関心がない人にも、主張がどっちつかずの人にも、老若男女とにかくいろんな人に読まれるものなわけですから、書き手の感情コントールは大事な気がするんですよね。
僕もこの主張に同意です。
価値観の違う相手に血相変えてガミガミやるような、酒飲んで顔真っ赤にして説教しちまってるようなことを言っていたら、引かれるんじゃないかなぁ。
と僕は今日のコラムに思いました。
ユーモア成分がほしかった
じゃあ、どう書いてりゃよかったんだよというと。
素人の意見で恐縮ではあるけれど…。
いや、素人だし好き勝手言おう。
もう少しユーモアを混ぜて欲しかった。
笑いがあれば、
もっと効果的に読者の意見に影響できたのに。
もったいないなぁ。
と思うのです。
笑いって、最強の武器です。
自分の魅力を理屈で説明するナンパ師より、笑いを交えてさりげなく魅了するナンパ師の方がモテるに決まっているのです。
たとえば、この朝日のコラム。
「橋本府知事のやり方はいかん!」と言うのではなく、「いいね、そのボケ面白い、もっとやってや」という姿勢で書いています。
そうすると読み手は、笑ったら負けです。
笑った時点で、もう橋本さんをカッコいい政治家とは思えません。吉本新喜劇のエースにしか見えなくなる。
これぞ、人を動かす文章です。
というわけで、まあ、あれこれいちゃもんをつけておいて自分が書かない、なんてわけにも行きません。
記者に対抗するなんて部が悪すぎて馬鹿げていますが、やってみましょう。
アレンジ版
口説き上手は会話の中で巧妙に小さなイエスを重ね、トドメとばかりに二択を迫る。「うち来る? それともホテルで休みながら飲む?」。
うっかり二択しか見えない状況を作られてしまえば、どちらを答えても相手の勝ちとなる。前提さえ呑ませられれば、質問など瑣末な問題なのだ。
そういえば、かつては私も女性に迫られた。
「今宿題やる?それともその番組を見た後でやる?」と。
これに何度してやられたことか。
話は変わって、富山県は「ウェルビーイング人口1000万人」という目標を掲げ、今度県内の5,000人にアンケートを取るという。
ずる賢い私なら、目標達成のため、以下のような選択肢を用意するだろう。
「とても幸せ? それとも幸せ? ひょっとして不幸?」
3択のうち、2つは幸せ人口扱いにできる。松竹梅を選ばせれば、竹を選ぶ人が圧倒的になるのは世の常だ。きっと大多数が幸せになる。
いや、目標に対して真に意欲的になるのなら「とても幸せ? まあ幸せ? ちょっと幸せ?」としてもいいだろう。幸せ人口一千万人は、決して夢じゃない。
やれやれ、質問には気をつけたい。
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