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夢を叶えた人

数年前、一緒にラテアートの練習のしていた人が自分の店を出したと聞き、お邪魔してみた。


見晴らしの良い高台にロッジを思わせる店構え、店内はグレーで統一されていて小窓から差し込む少しの日差しと暖色の明かりがお洒落に調和している。


「いらっしゃいませ、おはようございます」
もうずっと会っていなかったのに、マスクもしてるのに、笑顔は変わらない。


初めましてのお客さんのフリをしながらタイミングを見計らう。

「土日のみの営業なんですね」
「そうなんですよ、今のところは」
「平日は他のお仕事をされてるんですか?」
「そうなんです、掛け持ちでやってまして」
「平日のお仕事の内容は〇〇ですか?」
「えっ!よくご存知ですね!?」
「一緒にラテアートの練習してたからね」
「…〇〇姉?」
「久しぶり」

そこからはやいのやいのと盛り上がる。

「〇〇姉元気にしてるかなって!先週LINE見直してて!タイムリー!」

可愛い弟のような、やんちゃな見た目に反して真面目な彼はやはり可愛い弟のようだった。


こういうタイプは表情の作り方や声の高さ、出し方が似るのだろうか。
私の幼なじみに何かと被る。
童顔のイケメンは何処でも人気者だ。
明るい太陽のようでネオンの灯りも似合うのだ。


午前中から奮発してケーキを2個も食べてしまい、ラテとゲイシャで胃のもたれを感じながらそれ以上に感慨深いものだ、などと偉そうに気分を良くしている自分がいる。

全く本当に、夢を叶えた人というのは眩しくて尊敬に値する。

それに比べて自分は…
などと考えるのは愚の骨頂だ。
自分と他人は比べられるモノではない。

得た物も失った物も、自分だけのモノなのだから。


さて、天気が良いうちに洗濯をしなければ。

また来よう。
眩しい笑顔に元気をもらうため。


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