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たまたま偶然上手くいくよりも、負けるべくして負ける方が良い

“負ける時は力のすべてを出しつくして思いっきり負けなさい。そうしないと絶対に今より強い自分にはなれませんよ!!”

(ダイの大冒険・アバン/三条陸・稲田浩司)

ダイの大冒険・アバンの台詞より抜粋。
アバンは主人公達の師匠であり、敵味方問わず作中あらゆる人物に大きな影響を与えた人間味あふれるキャラクターです。

とある理由で序盤以降ほとんど出番がないにも関わらず、主人公達のピンチや決断のタイミングなど要所に於いて、過去の助言から気付きや背中を押す役割を果たしております。

まさに師の鑑ですね。
終盤、当に師匠よりレベルアップし強くなった主人公達に対しても、最強のラストボスへ立ち向かう勇気や助言を行い、勝利に貢献しております。

NARUTOのカカシ等もそうですが、かつての教え子が師を超えることを最大限に望み、適切な試練を与えつつ背中を後押しするなど、教育者として非常に重要な素質であり、素晴らしいキャラクターですね。

冒頭の台詞の全文を見ても…

「力のすべてを出しきっての敗北ならば、なんら恥じる事はない。でも、今のあなたはまだ、やれる事が残っているじゃあないですか…!…負ける時は力のすべてを出しつくして思いっきり負けなさい。そうしないと絶対に今より強い自分にはなれませんよ!!最後の最後まで己の力を出しつくして戦い抜く…! それが…真の戦士です!!!」

と、まだ精神的に幼く、師に対して憎しみをもっている弟子に対して、今よりも成長するために、途中で諦めずに全力で取り組む重要性を敢えて厳しい言葉で助言しています。

全力で挑んで負けたのであれば、自分の力が足りなかったという事です。
単純に何が通用して、何が通用しないか理解できるため、克服する上で必死で努力をする事ができると思います。

一方、余力を残して負けた場合は何が通用して、何が通用しないか理解できず、挙句の果てには「あの時は全力を出していなかったから」と、負けた言い訳が生まれてしまう事になります。
本気を出せば勝てたのだ、と自分に言い聞かせてしまうことで、結局克服する努力が出来ないままになってしまいます。

勝負である以上勝利を目指すのはもちろんですが、仮に相手が強大で、その時点での勝利が難しいのであれば、せめて次につなげるために、全力を尽くして戦い、何が通用して何が通用しないかを明確にするという、正しい負け方が重要になります。

特に格上との勝負に於いては、偶然上手くいくよりも、負けるべくして負ける方が良いと考えます。

アバンの全力かつ本気の助言は、師を憎み続けた弟子の心にも突き刺さり、物語終盤の命を掛けた激戦に於いてふと脳裏に蘇り、立ち向かう勇気を与えました。

何事に於いても偶然は再現性の低い偶然でしかないと考えます。
物事の本質に向き合い、研磨鍛錬推敲等を経て再現性を高め、成功率を上げていく事が重要です。

そのためにも、全力を出して試行錯誤し、何が通用して何が通用しないかを明確にするという正しい負け方がポイントになります。

もっと云えば、失敗できる環境でしっかり失敗する事が大切です。
上手くいっていない時こそ、適切かつ明確なフィードバックが重要ですね。

アバンのように、たとえ言ったその場では理解されなくても、本質を突いた真意は水のように浸透し、必要な時に脳裏を駆け巡る言葉として記憶されます。
師の努めとは、弟子にとって最大の理解者であり、超えるべき最大の難関になる事です。
弟子の努めとは、師を超える最大の努力に励み、師を超えて成長し巣立っていく事です。

間違えたり、失敗したり、負けたりする事が悪いことではなく、本質に向き合わずに改善せず、そのままでいる事が最悪の問題です。

何事にも何が通用して何が通用しないかを明確にし、いまできる最大限の努力をもって取り組んで参りたいですね。