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2021年6月の耳が惹かれたアルバム18枚 (クラシック, ジャズ, ワールド, ポップス)

6月は18枚のアルバムを聴きました。
どれもいい音楽体験でした。

忙しい人のためのまとめプレイリストはこちら

18枚のジャンルの内訳は
Classicalが 5枚
Jazzが 4枚
Contemporary Jazzが 2枚
Worldwideが 2枚
J-POPが 1枚
Singe / Songwriterが 1枚
POPが 1枚
Gospelが 1枚
Alternativeが 1枚 です。(AppleMusicより)

また個人的な関心と親しみのあるジャンルとして
・合唱 (Choir, Vocal Ensemble4枚
・ルネサンス・バロック期の西洋音楽 3枚
日本語詞 1枚 が含まれています。

アルバムを選ぶときの指針は
何度も聴きたいか・面白いか期待感(ワクワク)があるか・スリリングか
響きに集中して頭の雑音が消えるか落ち着くか心地いいか・目を瞑って聴きたくなるか
です。

以下、感想とメモ。
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01《Classical》ディンディア: 声楽作品集(Sigismondo d’India: Lamenti & sospiri) - Mariana Flores, Julie Roset and Cappella Mediterranea《2021》

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リリース日 : 2021 / 06 / 04
レーベル : Ricercar
ジャンル1 (apple musicより) : Classical
ジャンル2 (RYMユーザー投票より) : Baroque Music, Renaissance Music

二人のソプラノによって紡がれるルネサンスとバロックの過渡期に活動したディンディアの歌曲集

演奏が繊細でふくよか。響きの余韻による空気感がありありと出ている。二人のソプラノの歌声のハモリもいいなあ。落ち着いて聴いていられる。緩急を最大限に出したフレージングも心地良い。

(※今のは開放型ヘッドホンで聴いた時の感想なのだが、密閉カナル型イヤホンで聴いたら歌声の発声で少し耳にうるさく聴こえる時があった。こういうの難しいなあ。粗が見えたとかそういう感じじゃないのが余計難しい。)

終始、繊細な響きによる静謐な空気感がある、かつ雰囲気は暖かく緊張感がありすぎずリラックスしている。いい…。
演奏のフレージング、アーティキュレーションに情報が詰まっていて耳を離せなかった。
二枚組の計91分ある長いアルバムだが気づいたら最後まで音楽の世界観から醒めることなく集中して聴いていた。

ゆっくりした音楽を聴くと、聴者の心臓の鼓動がそれに同調して心拍数も穏やかになるというニュースをこの前聞いたが(うろ覚え)、まさにそんな感じ。聴いていると曲の緩急と心・体・呼吸が同調して落ち着く。そんな作曲と演奏だった。

【作曲】
作曲はシジズモンド・ディンディア (Sigismondo d'India)。(生没年は1582頃-1629。ルネサンス音楽末期から初期バロック音楽にかけて活動したイタリアの作曲家。同時代の著名な作曲家としてモンテヴェルディがいる。

9. 半音階的カンツォーナのみ作曲家が異なる。こちらの作曲者はジョヴァンニ・マリア・トラバーチ (Giovanni Maria Trabaci) (1575-1647)。イタリア初期バロック音楽の作曲家、オルガニスト。

【演奏・エンジニアリング・演奏空間】
演奏のメンバー、編成は以下の通り
ゲスト歌手
マリアーナ・フローレス (Mariana Flores) / ソプラノ
ジュリー・ロゼ (Julie Roset) / ソプラノ

カペラ・メディテラネア (Cappella Mediterranea) / 古楽団体
マルゴー・ブランシャール (Margaux Blanchard) / バス・ガンバ
マリー・ブルジニアン (Marie Bournisien) / ハープ
キート・ガート (Quito Gato) / テオルボ、バロックギター
モニカ・プスティルニク (Monica Pustilnik) / アーチリュート
レオナルド・ガルシア・アラルコン (Leonardo Garcia Alarcon) / チェンバロ、オルガン、指揮

ソプラノの一人、マリアーナ・フローレス(Mariana Flores)は、アルゼンチンの声楽家。現在ヨーロッパを拠点に活動している。バロック音楽を専門に歌っている。音楽とは関係ないが、指揮者とは夫婦とのこと。いいねえ。

もう一人のソプラノ、ジュリー・ロゼ (Julie Roset)は、フランスの声楽家。こちらもバロック音楽を専門に歌っている。

演奏はカペラ・メディテラネア(Cappella Mediterranea)。2005年、スイスのジュネーブにて設立。地中海盆地のラテンバロック音楽を専門とする古楽団体。ラテンバロックの別のアプローチを提案するというコンセプト。
その宣言の通り面白い試みに多く挑戦している。特にこの動画の現代舞踊と古楽の舞台での融合が面白かった。ラモー(作曲家)でムーンウォークしてる人を初めて見た。いいねぇ…。

この団体の指揮・設立者はレオナルド・ガルシア・アラルコン(Leonardo Garcia Alarcon)。アルゼンチンの音楽家。現在ヨーロッパを中心に活動している。このアルバムではオルガンとチェンバロも演奏している。

演奏の音響空間はフランス南東部オート・サヴォワ県のコルドン聖母被昇天教会(en l’église Notre-Dame de l’Assomption, Cordon)
この教会は1781-1787年に建てられた、バロック様式の建築。
空間の音響として17(Disc2-07).Infelice Didone6:08の残響音が生きたハモリ好き。こんなに綺麗に残響音と演奏が相互干渉できるんだと感心した。このしっかり残響音が残る空間での少人数演奏はいいなあ。

[参考]アルバムの詳細はこちら(TOWER RECORD)

フレスコバルディやギボンズと同世代にシチリアで生まれ、17世紀初頭のイタリア各地で活躍したシジスモンド・ディンディアは、15歳ほど年上のモンテヴェルディとともに、マドリガーレ(多声重唱曲)をルネサンス型のポリフォニー中心の音作りから独唱や重唱を際立たせたバロック型へと発展させた立役者のひとり。やや上の世代に属するマレンツィオやルッツァスキ、ジェズアルドらの半音階技法などにも通じる細やかな和声法を使いこなし、歌詞の流れを際立たせながら音楽全体に「不均衡の美」をまとわせる手腕は、近年の古楽復興の流れの中でもつねに注目されてきましたが、その作品を集中的に扱った単体アルバムが意外なほど出てこない作曲家でもありました。

確かに。ディンディアの単体アルバムを探してみると少ない(それでも恵まれてる方だけど)。

バロック含めクラシック音楽の作曲家は掘っても掘り足りないぐらい面白いのが出てくる。毎年こういう知らない、かつ聴き応えのある作曲家が出てくるのは歴史的資料と現存する楽譜と商業的な現在のクラシック界隈の大きさ故かな。クラシックというミームウィルスの世界的感染の勝利である(今Civilization6で文化勝利プレイをしたからそれに影響された、てきとう)。ありがたい…。

[参考]セッションとその録音の様子はこちら(Youtube)↓

各々のソプラノのフレージングが効いた独唱もいいけれど、このアルバムでは動画のような二重唱が特に耳を惹く。この動画のハモリ好き。
画面手前のソプラノ、マリアーナ・フローレス(Mariana Flores)の口の開きすごいなあ。いい音が出そうな口。蓄音機のスピーカーのような外に開いた唇。すごいと言いながら、自身はここまで口を開けない & 唇を外に開けないので身体感覚とどんな響きが出せるのかがイメージできない。どこをどの辺で響かせてるんだ。すごい。

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[関連] この器楽演奏団体の過去の作品の感想はこちら
再生 (Rebirth) - Sonya Yoncheva, Cappella Mediterranea (2021)

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02《Classical》テーブルのマドリガーレ ~ロッシ: マルチトーナル・マドリガーレ集 (Madrigali al tavolino) - Ensemble Domus Artis & Johannes Keller《2021》

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リリース日 : 2021 / 06 / 18
レーベル : Glossa Music
ジャンル1 (apple musicより) : Classical
ジャンル2 (RYM推定) : Baroque Music, Chamber Music

分割鍵盤楽器と声との豊かなハモりによって浮かび上がるイタリア・バロック期の作曲家ロッシのマルチトーナルのマドリガーレ集

※この項は私の誤解があったので訂正しました。(8/26)

うわあふくよか。暖かく穏やかな響き。それでいて重厚で密な歌声で空間を包んでいる。音楽も止まらず軽やかに旋律の緩急のままに推進力を持って音楽が進んでいく。

定期的にどこかでこういう演奏がされていたら仕事終わりに毎回通いたくなる。そんな音楽の空間。ふらっと銭湯に入るように豊かな響きに浸りたくなるような、そんな生活の一部になる演奏。疲れもせず飽きもしないそして何度も浸りたくなるような演奏。心地いい。

【作曲】
作曲はミケランジェロ・ロッシ(Michelangelo Rossi)(1601-1656)。イタリア・バロック期の作曲家、かつヴァイオリニスト、オルガニスト。
上のアルバムで紹介した作曲家ディンディアと若い頃に出会い師事した可能性がありその頃のロッシの作風には影響がみられるという文章を見つけた(wikiだけれど)。
へええ。こういう繋がりが分かると音楽史楽しい。雑だけどジェズアルド→ディンディア→ロッシと繋がってく作曲技法のミーム感染の流れみたいな。今適当に言ったこの妄想がどこまで妥当性があるかは分からないが、こういうの歴史ロマンたぎる。

【演奏・エンジニアリング・演奏空間】
演奏メンバーは以下の通り
アンサンブル・ドムス・アルティス (Domus Artis Ensemble) / 合唱団体
リナ・マルセラ・ロペス (Lina Lopez) / ソプラノ
フロレンシア・メンコーニ (Florencia Menconi) / メゾ・ソプラノ
ダーニエル・メンテシュ (Dániel Mentes)  / カウンターテナー
大野 彰展 (Akinobu Ono)  / テノール
ブレノ・キンデーレ (Breno Quinderé)  / バリトン
チョンゴル・サーントー (Csongor Szántó)  / バリトン

ヨハネス・ケラー Johannes Keller / 音楽監督、アルチオルガノ(Arciorgano)、クラヴェムジクム・オムニトヌム(Clavemusicum omnitonum)

合唱を担当してるのはアンサンブル・ドムス・アルティス (Domus Artis Ensemble)。2016年に設立された団体。主なレパートリーは16世紀から17世紀初頭。現在スイスを拠点に活動している。メンバーはアルゼンチン、ブラジル、ハンガリー、日本など、さまざまな国のミュージシャンで構成されている。

また音楽監督、通奏低音パートを担当してるのはヨハネス・ケラー Johannes Keller。スイスのバーゼルを拠点に活動している鍵盤奏者。
研究として16世紀から17世紀にかけてのクロマチック・エンハーモニック(chromatisch-enharmonische) ――1オクターブあたり12音以上になる―― の楽器と音楽を対象としている。
また2015-2017年には、バーゼル音楽大学バーゼル・スコラ・カントルム(大学)の研究プロジェクト「Studio31」の責任者として1オクターブあたり36鍵と31鍵を持つルネサンス時代のオルガンとチェンバロの再構築に取り組んでいたとのこと。

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※下記の灰色で囲まれた私の書いた文章は誤りがあったので訂正します。すっかり元の元から勘違いしてました。反省!情報に感謝です!

『この取り組みすごい面白い。中世後期からルネサンス初期にかけて、音楽の嗜好が変化し始め、3分の1の間隔が好まれるようになり、その三分音の楽器が作られていたという話(参考)は聞いていたけれど、なかなか普通のセッションとしてアルバムで聴く機会がなかったイメージ。この36鍵と31鍵を持つオルガンとチェンバロも三分音が使われている。
話ズレるけど三分音といえばルネサンス期からその思想があった19平均律いいよね。なによりもその響きと音程の間隔が好き。現代の曲となるがこの19平均律のGiantStepsの動画好き。個人的に今の12平均律よりも19平均律の方が耳馴染みがいいので、多分このままいくと12平均律の世界では私は頭がおかしくなってしまうかもしれない。人類が19平均律を選んだ世界線に飛んでみたい。なんちって。大丈夫です。脱線しましたね。このアルバムの楽器については下でまた触れます。閑話休題。』

↑ リンク先に ”However, in the late medieval period/early Renaissance, tastes in music began to change, and the interval of a third came into favor. ”という文が参照元にあるのですが、この third というのは「三分音」ではなく「三度」の意味でした。
the interval of a thirdってしっかり書いてありますね。oh...

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エンジニア (録音、ミックス、マスタリング)はJohannes Wallbrecher
過去の参加作品はこちら。

演奏の音響空間はスイスのチューリッヒ大放送スタジオ(Zurich (Grosses Radiostudio), Switzerland)
演奏・録音風景はこちら(facebookより)

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当時のマドリガーレの演奏の風習についての詳細がアルバム小冊子にあった (chandos提供 / Mediaのタブより開ける)。

In the middle is always a long table at which the singers and guests are seated intermingled. At the head of the table is the arciorgano. The number of participants must remain small; we usually limit the number to a maximum of thirty. Larger groups tend to fall into the duality of “performers – audience”, which should be avoided in our “setting”(p.10)

長いテーブルで歌手と客は混ざり合って座り、テーブルの先にはオルガン(arciorgano)がある。ただし参加者の数は少なめの、最大でも30人までにすべきで、それ以上になると演奏者と聴衆で二つに分かれてしまいがち(一体感がなくなる)なので避けるべき、みたいなことが書いてある。面白い。

このアルバムの録音ではその当時のような親密な環境を再現するように歌っているとのこと。

[参考]アルバムの詳細はこちら(TOWER RECORD)

保守的なパート、伝統的な対位法でありながら、半音階主義や、1オクターブあたり12を超えるピッチが使われたマルチトーナル(多調)など、前衛的な要素も強いロッシのマドリガーレ。
この音楽に合わせて、1オクターブあたり36の鍵盤を持つアルチオルガノや、1オクターブあたり31の鍵盤を持つクラヴェムジクム・オムニトヌムが使用されていることも大きなポイント。
これらの楽器のスペシャリストであるヨハネス・ケラーが、こういったマドリガーレの研究と解釈のために特別に結成されたグループ、アンサンブル・ドムス・アルティスを率いています。

改めて触れるけれど、すごい鍵盤楽器持ってきたなあ。
ちょっと楽器についても掘ってみる。
調律の知識が弱いため、間違いがあると思うので聞き流し程度に。

【参考】
1. 音楽監督・奏者によるアルバムにおいての楽器の説明はこちら (Studio31+)
2. 楽器の一般的な説明はこちら (Studio31+)
3. 音楽監督・奏者によるアルキオルガノの説明はこちら (VoxHumana)

・1オクターブあたり36の鍵盤を持つオルガン「アルチオルガノ(Arciorgano)」について

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Die Basler Rekonstruktion des Arciorgano nach Nicola Vicentinos Angaben von 1555 und 1561 verfügt über 36 Tasten pro Oktave, die über zwei Manuale mit mehrfach gebrochenen Obertasten bedient werden.

アルバムで演奏されたのは、1555年と1561年にNicola Vicentinosが書いた仕様書に基づいてバーゼルで復元された楽器とのこと。

Denn durch das Brechen der schwarzen Tasten wurde das Problem der temperierten Quinten und kleinen Terzen der mitteltönigen Stimmung nicht behoben. Die Pfeifen des oberen Manuals sind so gestimmt, dass zu jeder Pfeife des unteren Manuals eine reine Quinte und eine reine kleine Terz vorhanden ist. Somit wird das obere Manual dazu verwendet, die Temperierung der Intervalle der mitteltönigen Stimmung so zu kompensieren, dass sämtliche Intervalle rein klingen.

1オクターブ36鍵盤は上段17+下段19からなっていて、ミーントーン(mitteltönig gestimmt)により調律されてる。メインの下段だけだとミーントーンの特性の完全五度と短三度の濁りがあるため、和音の響きを純正(ピュア)にさせたい時はピッチを変えた上段の鍵盤を混ぜて使うとのこと。へええ昔の人賢いだべなあ。

・1オクターブあたり31の鍵盤を持つチェンバロ「クラヴェムジクム・オムニトヌム(Clavemusicum Omnitonum)」について

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Built in 2016 by Krebs Cembalobau in collaboration with Studio31. The harpsichord is based on an original instrument by Vito Trasuntino, 1606, currently located at museo Internazionale e biblioteca della musica di Bologna. (元)

アルバムで演奏されたのは、ボローニャ国際音楽博物館にあるVito Trasuntinoの1606年のオリジナル楽器を元に2016年に再現された楽器とのこと。

Die 31 Stufen pro Oktave des Clavemusicum Omnitonum wurden für dieses Projekt konventionell mitteltönig gestimmt. Alle Obertasten dieses einmanualigen Instruments sind vierfach geteilt, wobei die jeweils zwei vorderen Glieder der Teilung des Untermanuals des Arciorgano entsprechen.

調律について。この楽器は1オクターブ31鍵盤あり、このアルバムではミーントーン調律されたとのこと(で翻訳いいのかな)。ちなみにここでは楽器クラヴェムジクム・オムニトヌムは一般的には31平均律で調律していると書いてあった。(ちなみに31平均律はミーントーンとほぼ近い音に重なる)

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それと当時の特殊鍵盤楽器の歴史についてはこのnoteの記事も面白かった。
ジェズアルド鍵盤曲"Canzon franzese del Principe"について、『もしかしたらアルキチェンバロによる演奏を意図したものか、あるいはアルキチェンバロの響きにインスパイアされたものかもしれません』、と書いてるのが興味深かった。

この方、影踏丸さんの古楽記事は読むと世界が広がって、自分のような学び初めの右も左も分からない者にとってはありがたい…。

【参考】アルバム解説の小冊子pdfはこちら(chandos提供 / Mediaのタブより開く) ※上に貼ったリンクと同じ

[参考]セッションの様子はこちら ※収録曲とは異なる,一部メンバーが異なる(Youtube)↓

響きがいいなあ。声の調和がいい。柔らかくも重厚。内声も外声も過不足なく豊かに調和し干渉しあってる。たゆたうような緩急のリズムの流れもいいなあ。心地よい。落ち着く…。

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03《Classical》解き放たれたフォルクレ (Forqueray Unchained) - André Lislevand, Jadran Duncumb, Paola Erdas《2021》

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リリース日 : 2021 / 04 / 02
レーベル : Arcana
ジャンル1 (apple musicより) : Classical
ジャンル2 (RYMユーザー投票より) : Baroque Music, Chamber Music

静けさと雄弁さをあわせ持つフォルクレを中心としたフランス・バロック期の音楽の世界

とつとつと奏者が語り合うような演奏。間を聴き合い、豊かな響きを奏でる掛け合いいいなあ。呼吸の間が心地いい。
呼吸を聴き合って間を大切にすると最悪どんどん遅くなって推進力がなくなるおそれがあるのだが(まあ素人あるある話で)、ハープシコードがその辺ズンズンと弾いて引っ張り、講談師が張扇で景気付けるように曲を勢いよく進めていくのがまた格好いい。いい味になっている。
荒々しいことはせずミニマルな演奏なのだがその中に響きの豊かさと喜びと推進力がある。よくここまで調和の世界を壊さないようまとまりながらも豊かで熱のあり、歓びのある音の世界をつくれるなあ。とただただ、ほおと感嘆する。いい…。

と何も見ずに聴いた感想を書いた後にタワレコの紹介文を見たら

フォルクレの静けさと雄弁のはざま

とあった。なるほどー、こう言語化すればいいのか。的確なのでこの表現を上の見出しにいただきました。

【作曲】
作曲家は以下の通り
ルイ・クープラン (Louis Couperin) (1626頃-1661) / フランス・バロック期の作曲家、クラヴサン奏者、オルガン奏者。
ロベール・ド・ヴィゼー (Robert de Visée) (1650-1725) / フランス・バロック期の作曲家、テオルボ奏者、ギター奏者。
マラン・マレ (Marin Marais) (1656-1728) / フランス・バロック期の作曲家、指揮者、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者。
アントワーヌ・フォルクレ (Antoine Forqueray) (1671-1745) / フランス・盛期(中期)バロックの作曲家、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者。

【演奏・エンジニアリング・演奏空間】
演奏者は以下の通り。
アンドレ・リスレヴァンド (Andre Lislevand) /  ヴィオラ・ダ・ガンバ
ヤドラン・ダンカン (Jadran Duncumb) / テオルボ、バロックリュート
パオラ・エルダス (Paola Erdas) / ハープシコード
ロルフ・リスレヴァンド (Rolf Lislevand) / バロックギター、マンドリン

エンジニア(録音・サウンド・エンジニア、編集)はロルフ・リスレヴァンド(Rolf Lislevand)
リュート、ビウエラ、バロックギター、テオルボ奏者であり、演奏メンバーのアンドレ・リスレヴァンドの父でもある。(過去の参加作品はこちら)

演奏の音響空間はノルウェー、エヴイェのムーシカ・スタジオ(Moosika Studios in Evje, Norway)

[参考]アルバムの詳細はこちら(TOWER RECORD)

ヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)はバロック期のフランスで大いに好まれた弦楽器。その名手として双璧をなした存在が「天使のように弾く」と讃えられたマラン・マレと、対照的に「悪魔のように弾く」との賛辞で知られたアントワーヌ・フォルクレでした。息子への暴力など悪い噂もありながら幼少期より圧倒的な音楽性と演奏能力でフランス王室を驚かせ、ヴィオール芸術の発展に大いに尽くしながらも生前は作品を楽譜出版することのなかったフォルクレの遺稿は、本人の歿後まもなく息子によって整理・刊行され世に残っています。縦横無尽にヴィオールを扱う名品揃いのこの曲集は五つの組曲からなる構成ですが、本盤ではバロック期にもそのようにすることがあったように、他の作曲家の作品も交え曲の調性にあわせて三つの組曲にまとめ直して収録(本盤ではこれらを「モザイク組曲」と名づけています)。

[参考]MVはこちら ※音と映像は別撮り(Youtube)↓

この曲好き。

あと↓こちらは過去のセッション。(※収録曲とは異なる)

実際の演奏の動きを見てると奏者の求めるフレージングが(なんとなくだが)分かって、曲を聴く解像度が上がっていい…。

右のバロックリュートの音と密着した素直でノリノリな演奏好き。
動きが素直かどうか、――意図が見えすぎてあざとさを感じるか、余計な動きや力が混ざって演奏に不純が含まれてるように思えるか―― 、は見る人のレベルによって異なるのでこれは極個人的な感想になる。この演奏は自分の視点からだと素直な音への反応に思える。好きな演奏。

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04《Classical》Let the Soil Play Its Simple Part - Caroline Shaw & Sō Percussion《2021》

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リリース日 : 2021 / 06 / 25
レーベル : Nonesuch Records
ジャンル1 (apple musicより) : Classical
ジャンル2 (RYMユーザー投票より) :  Post-Minimalism, Art Pop, Chamber Pop

アメリカ現代クラシカルの作曲家がアプローチした打楽器と歌が絡み合うポップス

リズムが気持ちいい。パーカッションがいいなあ。聴いてて楽しい。シンプルながらもずっと耳を惹かれながら聴いていられる。このリズミカルさがキャッチーに聴けていい。

響きもいいなあ。マリンバやスティールドラムスの響きの音色が心地よい。声もパーカッションも空間の広さを感じられる響き。響きに耳を澄ますだけでも心地良い。

あと電子機器による持続音(ドローン)も心地いい(10.Some bright morningが特に)。この持続的な電子音が、打楽器の瞬発と減衰を魅力とする響きとは真逆の味付けとなっていていい。

あとセッションがただただ楽しい。すごい聴きやすいので一般的なポップスの耳でこの音楽を楽しめると思う。

ちなみに今流行の立体音響(Amazon Musicで確認)となっている。耳が幸せになる。SACDで録られた音源はSACD専用機械でなくてもその高音質が音の雰囲気で分かるように、立体音響用に録られた曲は専用リスニング機器がなくてもその空間の心地よを感じることが出来ると思います。聴いてみな…飛ぶぞ…(最近流行りの言葉を使ってみたかっただけ)

【作曲・編曲】
作曲・編曲はキャロライン・ショウ(Caroline Shaw)。ニューヨークを拠点に活動する作曲家、ヴォーカリスト、ヴァイオリニスト、プロデューサー。このアルバムではヴォーカルも担当している。
関係ないけどこの方、私の伯母さんにすごい顔が似ていた。ビビった。めちゃくちゃ関係ないけど。

【演奏】
演奏は以下のメンバー
キャロライン・ショウ(Caroline Shaw)/ ボーカル、作曲
ソー・パーカッション(SO PERCUSSION) / パーカッション・カルテット
Eric Cha-Beach / ピアノ、ハモンド・オルガン、エレクトロ楽器
Josh Quillen / スティール・ドラムス
Adam Sliwinski / マリンバ
Jason Treuting / ドラムス

パーカッションを担当してるのはソー・パーカッション(SO PERCUSSION)。ニューヨークのブルックリンを拠点に活躍するパーカッション・カルテット。

[参考]アルバムの詳細はこちら(TOWER RECORD)

またアルバムには、ショウとソー・パーカッションのメンバーそれぞれとのデュエットが収録されている。"デュエット"といっても、ここではショウのヴォーカルとパーカッションによるものだ。
例えば、タイトル・トラック03.Let the Soil Play Its Simple PartはショウがJosh Quillenのスティール・ドラムスとともに、ジェイムス・ジョイスにインスパイアされた自由な楽曲を僅か2テイクでレコーディングしたもの。
またAdam Slinwinskiのマリンバとのデュエットは、ABBAの05. Lay All Your Love On Meの現代クラシック風アレンジだ。
そしてJason Treutingのドラムスとの07. Long Ago We Countedはヴォーカルとドラムスの奇妙な音楽的会話というアイディアから生まれたものであり、Cha-Beachのピアノ、ハモンド・オルガン、エレクトロ楽器とのデュエットとなる10. Some Bright Morningはショウが学生時代に何度も教会で歌ったという20世紀の礼拝式聖歌「Salve Regina」にインスパイアされたものだそう。 (※曲番号と一部タイトルをこちらで補足)

曲の詳細ありがたい。05 (Lay All Your Love On Me)ではABBAのカバーもあるのね。

[参考]セッションの様子はこちら(Youtube)↓

うわあ。ハモリの倍音がビリビリくる。こういう演奏を聴くとみぞおち(腹筋?)がキュッってなる。
この動画ではサポートとしてボーカルにBeth MeyersYeji Cha-Beachが参加している。Beth Meyersはライヒの曲を演奏した今年のアルバムにも参加してた。Voの周りの音への溶け込み具合いい…。

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05《Classical》ラモン・ウメ: Llum 光 (Ramon Humet: Light) - Latvian Radio Choir & Sigvards Kļava《2021》

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リリース日 : 2021 / 06 / 04
レーベル : Ondine
ジャンル1 (apple musicより) : Classical
ジャンル2 (RYM推定) : Modern Classical, Choral

響きの重なりと移り変わりに耳を澄ますスペイン現代クラシカルの作曲家による祈りの合唱曲

とにかく響きがいいなあ。ハモリの丁寧さが気持ちいい。そして作曲としての響きの変遷が魅力的な作品。声とその残響が静謐で、触れたら壊れてしまいそうな繊細で静かな世界を形作っている。その音楽の世界に惹き込まれる。

詩的な例えになるが、天と地があり、その中間部を吹く風というのが響きから感じられて魅せられた。
具体的には、高音部は遠く高く透き通っていて、低音部はどっしりと地鳴りのようにゴオオと脈動していて、内声もしくは主旋律は風のようにその中を吹き流れていく。その各声部それぞれの役割に味があり心地よかった。

音響的な合唱、もしくは響きの移り変わりが音楽の中核をなす音楽いいよね。心地良い。
(まあ音響的な合唱曲と言っても、これはガチの音響系合唱ではなく歌モノの中で比べると音響寄りということだけれども、と補足。)

03.Descent to the Summit of the Soul05.The Peacheful Heartのような突き刺すような鋭い響きの曲も面白く、かつ気持ちよかった。

06.Luminous Crumbsでは倍音唱法(喉歌、いわゆるホーミー的なの)も入っていて面白い。また使用が作為的ではなく調和しているのいい。
現代の合唱曲で喉歌が含まれるのは珍しいことではないが、個人的な観測範囲だとなかなか曲に合う喉歌の演奏が見られない印象。難しいよね。
このアルバムはしっかりと曲の中に倍音唱法の響きが調和してた。その発声がゲテモノのように色物として曲の中で際立つ訳ではなく、その響きが周りと溶け込みながら周りを引き立て、結果としてそれが個人(そのパート)としての存在感を生むいい演奏だった。

ちなみにこの組曲の歌詞はカタルーニャ語で書かれているとのこと。

【作曲】
作曲はラモン・ウメット(Ramon HUMET)。スペインの作曲家。また尺八の奏者でもあり、尺八のための作品も過去にいくつか発表している。
影響とリスペクトにジョージ・ベンジャミン(George Benjamin)リゲティ(Ligeti György)武満徹ペア・ノアゴー(Per Nørgård)、と作曲家をあげている。

【演奏・エンジニアリング・演奏空間】
演奏はラトヴィア放送合唱団 (Latvian Radio Choir)。ラトヴィアを拠点に活動する合唱団。現在25名の歌手で演奏している(このアルバムでは何人で演奏したかは記述なし)。
指揮はシグヴァルズ・クラーヴァ(Sigvards Kļava)。1992年にこの合唱団の主任指揮者・芸術監督に任命された。

演奏でのソリストは以下の通り。
アグネセ・パウニニャ Agnese Pauniņa / ソプラノ…1,5,6
ダーツェ・ストラウトマーネ Dace Strautmane / アルト…3
サンタ・コキナSanta Kokina / アルト…3
インガ・ジリンスカ Inga Žilinska / アルト…6
イルゼ・コノヴァノヴァ Ilze Konovalova / アルト…6
カールリス・ルーテンタールス Kārlis Rūtentāls / テノール…6
ペーテリス・ヴァイツコフスキス Pēteris Vaickovskis / バリトン…6

エンジニアは以下の通り
録音 Agnese Streļča  (過去の参加作品はこちら ;Discog)
ミキシング&マスタリング Enno Mäemets(過去の参加作品はこちら ;Discog)

演奏の音響空間は、ラトヴィア、リガのSt. John's Church (Sv. Jana baznica)
13世紀に建てられたドミニコ会修道院の礼拝堂。何度かの改築を経て、1500年頃に現在の姿になっている。ゴシック様式が特徴。
その後も改築はされていて、尖塔をネオゴシック様式で立て直したり、内装もまたモダンに変わっている。

[参考]アルバムの詳細はこちら(TOWER RECORD)

自然を愛するウメの作品は、どれも洗練された音楽様式と表現のバランスが追及されており、美しく遊び心に溢れています。この7楽章からなる合唱曲『Llum=光』は、ウメの友人でもあるカタルーニャのモンセラート修道院の修道士、ビセンス・サンタマリアのテキストに基づく命、平和、愛の贈り物を巡る精神的な旅であり、ペルトを思わせる穏やかな曲調は、聴き手に静かな喜びと癒しを与えます。

なるほどペルトを思わせる。確かに。

【参考】アルバム解説の小冊子pdfはこちら(chandos提供 / Mediaのタブより開く)

[参考]セッションの様子はこちら(Youtube)↓

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06《World》ミンカ (Minka) - Eva Quartet《2021》

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リリース日 : 2021 / 06 / 25
レーベル : Riverboat Records
ジャンル1 (apple musicより) : Worldwide
ジャンル2 (RYM推定) : Bulgarian Folk Music, White Voice

ジリジリと擦れるハモリに耳を惹かれる四人によるブルガリアン・ヴォイス・アンサンブル

ハモリがいいなあ。スパッと潔く堂々とハモってて格好いい。あと狭くぶつけるハモリいいよね。閉鎖多めのビリビリとした声で間隔を狭めにぶつけてるのはハモリの快楽の一つで、これがまっこと気持ちいい…。

ブルガリアンポリフォニーのフレーズの語尾を上げる歌い方好き。改めて意識するとこれ面白いなあ。

05.Baba luk poselaなど、曲の中に「キィー↑」みたいな掛け声のようなのがあるがこれはなにか名称があるのだろうか。気になる。

14.Gospodi pomiluy のロングトーンにゾクゾクする。こういうただ伸ばしたハモリがかすかに揺れたり、左右の音の聴こえ方が変わったりする音響的な音楽の快楽に弱い。

【演奏】
演奏はEVA QUARTET。ブルガリアを拠点に活動する各パート一人の四声のアンサンブルグループ。主にブルガリアの伝統合唱(ブルガリアン・ヴォイス、ブルガリアン・ポリフォニーとも)をレパートリーとしている。

メンバーは以下の通り。
Gergana Dimitrova / ソプラノ
Sofia Kovacheva / メゾ・ソプラノ
Evelina Christova / アルト
Daniela Stoichkova / コントラルト(contralto)

ちなみに公式ページのメンバーに指揮がMilen Ivanovと書いてあるが今回もそうだろうか。アルバムの紹介ページ(≠小冊子)には特に言及されてないから参加してないということでいいのかな。今回は指揮ナシなのかな。どうなんじゃろ。

[参考]アルバムの詳細はこちら(エル・アルージョ)

歴史ある伝統民謡に加え、ブルガリアの現代作曲家:ステファン・ドラゴスティノフ (Stefan Dragostinov)(1948- )イヴァン・スパソフ (Ivan Spassov)(1934-1996)による合唱作品もピックアップ。
(※補足として作曲家のアルファベット表記を追加)
冒頭一曲目01.Minka e rano stanala、「ミンカは朝早く起き出し、庭を掃除し水を運び込んだ」という歌詞から始まる伝統民謡からスタート。続いてスタッカートの効いたユニークなコーラス・ワークが印象に強く残る②02.Yova、プリミティヴなドラムの音と独特な節回しが美しく絡み合う③03.Barem da e momaなど、序盤から彼女たちの本領が遺憾なく発揮されています。また、前作で坂本龍一(ピアノ)、エクトル・ザズー(エレクトロニック)他と共演し、アンビエント的な音世界を展開させたイヴァン・スパソフの編曲による伝承歌⑧08.Balno li ti e sinjo ljoを本作ではよりプリミティヴな形で再演するなど、まさに聴きどころ満載。
(※補足として曲番号と曲名を追加)

アルバムを聴いていて、伝統民謡の中に現代に作曲された曲が混じってるとは気付かなかった。へええ。

[参考]セッションの様子はこちら ※収録曲とは異なる(Youtube)↓

うわあいい演奏。全体の混ざりも、左奥の人の声のよく通る響きもいいなあ。

こういう食事の席、飲みの席、憩いの空間で座りながらハモるのいいよね(今はご時世的に難しいが…)。合唱のセッション(練習)の合間の休憩時間にハモって歌い出すのとか至福のひとときだと思う。こういう時に流れる音楽はありのままで、何というか嘘を付いてなくて好き。見栄がないというか、その歌う動機がただそこで音楽が流れていて、気付いたら身体が動いて自分もその音楽の一部になっていた、という気負いのない自然体のアンサンブル好き。こういう経験を思い出すと音楽っていいなってなる。

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07《World》Osmętnica electronica - Niewte《2021》

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リリース日 : 2021 / 06 / 18
レーベル : Bôłt Records
ジャンル1 (apple musicより) : Worldwide
ジャンル2 (RYMユーザー投票より) : Avant-Folk, Polish Folk MusicMinimal Synth

ミニマルミュージック的な反復のトリップ感のあるエレクトロニカとマズルカ(ポーランド民族舞曲)の融合

うわあ惹き込まれる。これは耳が離せなくなる反復。そしてそれはトランス感を引き起こしてくれる。伝統音楽に特有のミニマルミュージック的な繰り返しのトランス効果いい…。

電子音楽と生音の融合がしっくりきてる。電子音のノイズやビート、ゴゴゴという低音や澄んだ透明感のある高音は、デジタルによる快楽責めの本領発揮みたいなとこある。それに生音というアナログな情報量が足されてこれは甘露。響きとビートが気持ちいい。

このアルバムの軸となっているポーランドの民族舞曲であるマズルカ、ショパンなどのクラシックの形式としては馴染みがあるけれど、土着的な生々しい舞曲としての元の音楽は聴いたことがなかった。面白い。元はバクバイプが伴奏に付いて踊ったりしてたのね。へええ。

【演奏・エンジニアリング】
演奏はNiewte
メンバーは以下の通り。
Antoni Beksiak / 電子音楽、声、 dżaz(trap set: 1900〜1930年頃のドラムセット)、whistling、他様々な音
Maniucha Bikont / 声、クラリネット、パンパイプ、他様々な楽器・音
Maciek Filipczuk / ヴァイオリン、コンサーティーナ(squeezebox)
Marcin Lorenc / ヴァイオリン、コントラバス / ヴァイオリン、コントラバス

このプロジェクトの中心人物のAntoni Beksiakは、フェスティバルのキュレーター、音楽評論家、音楽クリエイター。現在ワルシャワを拠点に活動している。
主な活動としてポーランドの伝統的な音楽とダンスへの寄与があり。特に現代の社会文化的生活の中で機能する文脈での伝統音楽に情熱を注いでいるとのこと。

現代の中で機能する伝統音楽っていいよね。
他の国も色々と試行錯誤してるんだなあ。と当たり前だけれど普通にへええと感心した。
脱線だけど日本のボンジョビやJ-POPで盆踊りするの思い出した。これは音楽よりも舞踊の方に注目して現代で伝統が機能した例だけれど面白い。

録音と制作(Production)は、演奏をしているAntoni Beksiakが担当。(※02.Osmiokasは除く)

マスタリングはJacek Gładkowskiが担当。(過去の参加作品はこちら)

[参考]アルバムの詳細はこちら(Bandcamp)

私たちは、説明や言葉、音を超えた、音や感情の現象に魅了されています。田舎のパーティーの流れとクラブナイトのパルス、ストリングスの肉厚なサウンドとグリッチなエレクトロニクスの間に類似性を感じます。"このバンドは、この感覚をリスナーに伝えることができます。エレクトロニクスは伝統的なリズムを刻むのに役立ち、民族音楽の多様性はスクラッチや軽いグリッチによって伝えられる。" Niewteは古いものと新しいものをうまく融合させている。(Katarzyna Ryzel, "Ruch Muzyczny")
これにより、彼らは自分たちの音楽、最新の音楽、そして同時に古風なポーランドのイディオムから流れ出る音楽を作り出すことができます。使いやすくて洗練された、ダンサブルでディープな、ローカルでワールドワイドな、祖父母から子供まで。
(※原文ポーランド語から機械翻訳ママ)

[参考]Antoni Beksiakへのインタビューはこちら ※アルバム発表前2019年(meakultura)

[参考]セッションの様子はこちら(Youtube)↓

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08《J-POP》ハミングバード - 奇妙礼太郎 (Strange Reitaro)《2021》

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リリース日 : 2021 / 06 / 09
レーベル : ビクターエンタテインメント
ジャンル1 (apple musicより) : J-POP
ジャンル2 (RYM推定) : J-POP, J-ROCK

柔らかく伸びやかな歌声で聴かせるストレートなギターソング

味のある声。伸びやかで柔らかく、かつ力強い声。聴いて気持ちが晴れやかになるスッとする声。気持ちいい。
フレージング感というかグルーヴ感というか、その瞬間瞬間の声がその曲ののちの展開を予感させる歌声っていいよね。そんな情報のつまった歌声。

周りの演奏もいいなあ。スッと日常に溶け込むような心地いいトーン。低音の擦弦楽器や、コーラス、ピアノなどの音色が調度良くハマっている。

【演奏・プロデューサー】
プロデューサーにベベチオの早瀬直久を起用している。
ベベチオ懐かしい。ベベチオの2005年の曲「ちよこれいと」これ好きだった。「ちよこれいとは午後の三時~♪」「飴と鞭の首飾り巻いて」の歌詞が今でも耳に残ってる。
この曲をMDに他のオススメ曲と混ぜてゴチャ混ぜアルバムを作って中高の友達と交換してた思い出。

脱線だけれど、昼休みや放課後にオールジャンルでとにかくなんでも学友と回し聴きし合ってたの懐かしい。サッカー部に何故か多いドラゴンアッシュ好きとか、軽音部に何故か多いHelloweenDopingPandaエリック・クラプトン好きとか、ボブ・マーリー推しまくる水泳部員とか、レッチリは誰にでも人気だったり、強面の人がHARCOを推してたりあったなあ。脱線オワリ。

調べたら作詞作曲も全て早瀬直久なのね。今回のこのコンビいいなあ。また次回も聴いてみたい。

01.Humming Bird, 03.Life is Beautiful, 06.すぐそばのハッピーの、歌と演奏と歌詞好き。

03.Life is Beautifulのこのフレーズには弱い。この手のにはいつも刺さる。

どう歩いても パンクする日もある 強烈な光みて 黙ってしまうよ

06.すぐそばのハッピーの歌詞、

すぐそばのハッピー
見逃しちゃいやっふー
オールタイム! すぐそばにハッピー あなたと飲めばほろ苦ワンダホー
オールタイム! すぐそばにハッピー あなたの声がほろ苦ワンダホー

これ文字にするとふざけた文字面なんだけど、口で歌うと自然に聴こえて説得力も持っていて、音楽のこういうところ好き。

あと「優しすぎるドラエモン」「顔ミサイル」「踊る千利休が見えた気がしたよ」とか、不思議な味わいのある記憶に残る歌詞も面白い。素朴な日常を素直に描いた歌詞と、幻想的で白昼夢のような歌詞がいい融合になって面白い音楽体験になっている。

[参考]アルバムの詳細はこちら(TOWER RECORD)

ロックかつブルージーな唯一無二な"声"で多方面に活躍し続ける奇妙礼太郎

[参考]インタビューはこちら(音楽ナタリー)

[参考]弾き語りの演奏はこちら(Youtube)↓

ライブでは声がよりクリアになってる。いい…。

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09《Singe/Songwriter》Don't You Marry No Railroad Man - JP Harris《2021》

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リリース日 : 2021 / 06 / 25
レーベル : Free Dirt Records
ジャンル1 (apple musicより) : Singer / Songwriter
ジャンル2 (RYMユーザー投票より) : Appalachian Folk Music

バンジョーの弾きとフィドルの響きの重なり合いによって新たに輝くアメリカのオールドタイム曲集

小気味のいいカントリーミュージック。
隙間を刻んでいくバンジョーの演奏が気持ちいい。バンジョーとフィドルの掛け合いがいい。弦の音の響きがいい。声の低音が落ち着く。

【演奏・エンジニアリング・演奏空間】
演奏メンバーは以下の通り
JP Harris / ボーカル、フレットレス・バンジョー
Chance McCoy / コーラス、フィドル

演奏者はJP Harris。アメリカのテネシー州ナッシュビルを拠点に活動するカントリーシンガー、作曲家、ギタリスト、(爪で叩く奏法)クローハンマー・バンジョー奏者。このアルバムでは、フレットレス・バンジョーとボーカルで参加している。

またもう一人、演奏者のChance McCoyはテネシー州ナッシュビルで活動したのち現在ウェストバージニアを拠点に活動しているアメリカのブルーグラスミュージシャン。
このアルバムでは、演奏サポートとして半数以上の曲にフィドルとコーラスで参加している。

また録音エンジニアとプロデューサーもChance McCoyが担当している。

ミックスとマスタリングは、Justin Francisが担当。(他の参加作品はこちら)

演奏の音響空間はアメリカ合衆国ウェストバージニア州、グリーンビルのHunter Springs Studio
これはウェストバージニア州のChance McCoy(奏者・プロデューサー)の敷地にある古い納屋を利用したスタジオとのこと。

[参考]アルバムの詳細はこちら(Bandcamp)

Don’t You Marry No Railroad Man, his debut recording of traditional music under the moniker JP Harris’ Dreadful Wind and Rain, features ten tracks spanning the breadth of American old-time repertoire. Harris wades between ancient ballads that traveled from the British Isles to Appalachia like “Barbry Ellen,” to droning banjo ditties such as Hobart Smith’s entrancing “Last Chance,” here played on one of Harris’ coveted homemade banjos.

バンジョーは自作とのこと。へええ。(このレビューも参考になった)

[参考]セッションの様子はこちら(Youtube)↓

[参考]セッションの様子はこちら ※収録曲とは異なる(Youtube)↓
あとこの演奏が格好良かったので貼り。

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10《POP》Always Like New - Jennifer Nettles 《2021》

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リリース日 : 2021 / 06 / 25
レーベル : Concord Records
ジャンル1 (apple musicより) : POP
ジャンル2 (RYM推定) : Show Tunes

カントリーミュージックの文脈からの張りのある力強い歌声によって演奏される現代と古典のブロードウェイミュージカル曲集

とにかく声のヴィブラートが心地いい。アーティキュレーションも初めにスッと入って、中は膨らんで、終わりは綺麗に収まる、その流麗なフレージングの心地よさある。人の歌声の理想的な定型というか、ボーカロイドの基本ヴィブラート緩急の設定というか、初めちょろちょろ・中ぱっぱ・赤子泣いてもふた取るなじゃないけど(ぜんぜん違う)、この出だしと中頃と終わりそれぞれの繋ぎの仕方によるフレージングの心地よい歌声のテンプレをしっかりやるのは基本ながら難しいと思う。(理想的な定形、テンプレと書くとこれが王道だと言ってるみたいで角が立つか。フレージングの"型"の一つ的な表現が適してるか。)これはそんな演奏の気持ちよさある。

10 Tomorrowは間の取り方がいいなあ。ピアノと声の密接で有機的な二重奏いい…。

【作曲】
原曲のミュージカル作品と作曲家・作詞家はこちら
01. "Wouldn't It Be Loverly"
 - マイ・フェア・レディ(My Fair Lady) - 1956年
Alan Lerner / Frederick Loewe

02. "Sit Down, You're Rockin' the Boat"
 - ガイズ&ドールズ(Guys and Dolls) - 1950年
Frank Loesser

03. "Wait for It"
 - ハミルトン (Hamilton) - 2015年
Lin-Manuel Miranda

04. "Almost Like Being in Love"
 - Brigadoon - 1947年
Lerner / Loewe

05. "It All Fades Away"
 - マディソン郡の橋 (The Bridges of Madison County) - 2013年
Jason Robert Brown

06. "There's a Sucker Born Ev'ry Minute"
 - Barnum - 1980年
Cy Coleman / Michael Stewart

07. "Oh, What a Beautiful Mornin'"
 - オクラホマ!(Oklahoma!) - 1943年
Oscar Hammerstein II / Richard Rodgers

08. "Anyone Can Whistle"
 - Anyone Can Whistle - 1964年
Stephen Sondheim

09. "You Will Be Found"
 - ディア・エヴァン・ハンセン (Dear Evan Hansen) - 2015年 
Benj Pasek / Justin Paul

10. "Tomorrow"
 - アニー (Annie) - 1977年
Charles Strouse / Martin Charnin

ブロードウェイといえば、去年3月から閉まってるブロードウェイの劇場が今年9月に完全再開するみたいですね。出演者と観客にワクチン義務化ありでの再開ということで。まあそりゃそうじゃよね。再開はいいことじゃ。
ちなみにこのアルバムのレコーディングはコロナ前の2019年6月に開始されたとのこと。

【演奏・制作】
演奏はジェニファー・ネトルズ(Jennifer Nettles)。アメリカのシンガーソングライター。カントリーミュージック・デュオのシュガーランド(Sugarland)のボーカルでもある。

制作・編曲では、Alex Lacamoireが参加している。
Alex Lacamoireはブロードウェイの内外で多くのショーに携わってきたアメリカの作曲家・編曲家・音楽監督・オーケストレーター・指揮者。
(Alex Lacamoireのインタビューはこちら)

[参考]アルバムの詳細はこちら(TOWER RECORD)

ジェニファー・ネトルズによるブロードウェイのカヴァー・アルバム!
カントリー・ミュージックの大御所デュオ、シュガーランドの一員であり、女優としても活躍するジェニファー・ネトルズによるソロ4作目。ブロードウェイ・ミュージカルの重鎮、アレックス・ラカモワがアレンジャーとしてサポート!

[参考]全楽曲インタビューはこちら(playbill)

[参考]ライブの様子はこちら(Youtube)↓

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11《Gospel》Anthology: The Deluxe Collection (Remastered)  - Sister Rosetta Tharpe《2021》

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リリース日 : 2021 / 06 / 18
レーベル : Master Tape Records
ジャンル1 (apple musicより) : Gospel
ジャンル2 (RYM推定) : Traditional Black Gospel, Blues, Spirituals

ロックンロールに影響を及ぼしたゴスペルシンガー「シスター・ロゼッタ・サープ」のリマスタリングされたコンピレーションアルバム

うわあ格好いい。グルーヴがいいなあ。ノリノリ。野暮ったくない。洗練したグルーヴといっていいのかな、今聴いても新しかった。ヴィブラートもノリッノリ。客の前での実践を重ね続けた故に得られた熟練みたいなのある。熟練ゆえのキレがあって、かつ気張りすぎてない自由みのある演奏。

いやあホント歌うように歌うなあ。生き生きと歌ってるよ。自分の理想の一つの形かもしれない。

このアルバムではリマスタリングがされて過去のアルバムと比べ、ノイズが消えて聴きやすくなっている(参考にリマスタリングの比較貼る)。と言ってもロゼッタ・サープのベストアルバムは毎年出ていて音質がいいのも珍しくないのでこの辺は売り文句の一つとして受け止めたほうがよさそうね。(ただ毎年出てるアルバムの中でこのアルバムが特に耳を惹かれたのも確かだったりする。選曲含め。)

そういえば余談だが、リマスタリングとは別に、当時のレコードの回転数から当時の演奏状態の再生速度とピッチを再現する試みというのがあるとのこと。
【参考1】ロバート・ジョンソンの音源を根底から揺るがす謎
(みのミュージック - Youtube)

【参考2】戦前音源ブルース研究所
へええ。面白い。

ロゼッタ・サープの初期の音源もまた実際の演奏と違ったりするのかな。
それにしても再生速度とピッチを上げると曲が魅力的に聴こえることあるよね。自分の練習での演奏録音や(趣味でひっそりとやってる)多重録音は、再生速度とピッチを変えると元のよりも聴ける状態になってるのが多かったりする。自分の声じゃないと恥ずかしさが無くなったりするのかな。不思議ね。
そういやどうでもいいけど子供の頃、ニコニコで曲のピッチ上げたり下げたりする動画がそれなりにウケて流行ってたの思い出した。ピッチ上げは一般性癖。

【演奏】
演奏はシスター・ロゼッタ・サープ(Sister Rosetta Tharpe)。1915-1973年のアメリカの歌手、ソングライター、ギタリスト。ゴスペルと、ジャズやブルースなど大衆音楽をかけ合わせた演奏で人気を博した。またゴスペル音楽の魂をロックンロールの世界に導入し、チャック・ベリーエルビス・プレスリージェリー・リー・ルイスリトル・リチャードなどの偉大なスターたちに影響を与えた。

文化を動かした多くのミュージシャンの例にもれず、この人も始めは頭の固い人に叩かれた訳だけど、その叩きの一つにゴスペルはオルガンで歌うべきでギターは世俗的すぎて相応しくないという理由があって面白かった。そういう風習あるのね。

ギター(エレキギター)の近代の歴史や文化というのも全く知らないなあ。
エレキギターに関して軽くググったら、1910年代にヴァイオリンやバンジョーに電話の受信機を取り付けて音を増幅する研究・実験が始まり、1932年に商業生産されたというのがあった。へええ。あとで調べてみよ。

[参考]ライブの様子はこちら(Youtube)↓

いいねえ。格好よ。

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12《Jazz》Human - Shai Maestro《2021》

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リリース日 : 2021 / 01 / 29
レーベル : ECM
ジャンル1 (apple musicより) : Jazz
ジャンル2 (RYMユーザー投票より) : ECM Style Jazz

繊細かつダイナミック、静かと動きの織りなしが詩情に富んだピアノジャズ

ピアノの旋律が心地いい。
メロディックなんだけどメロディックすぎないピアノ。なんというかメロディックになりすぎるとベタな歌謡曲や童謡みたいな野暮ったさが出てくることがたまにあって、これはそんな野暮ったさのないメロディックさがある。抽象的と歌モノ、両方の性質を持った旋律。

具体的な旋律の歌と、抽象的な打鍵音・鐘の音の響きのバランスが調度よいのよね。もしかするとこういうのを音楽におけるリリシズムというのかな。

またドラムとベースが静寂の空間を破らない範囲で、焦燥感よくスリリングに演奏してるのいい。ピアノの落ち着きと、トランぺットの綺麗で余裕のある演奏がこのリズム隊に合わさり音楽としていいバランスになっている。

05.The Thief's Dream格好いいなあ。静の曲が多い中でこちらは動。全ての楽器がスリリングに影響し合ってる。騒がしい静寂というのか、抑制された響きの中で最大限のライブ感がある。痺れる。

余談だがECM JAZZという例えや評する言葉があるのは知ってたけどRYMでジャンルとして専用のページがあるとは思わなかった(ECM Style Jazz)。
ECMのジャケットと解説をまとめた本欲しみ。ECMジャケットどれもお洒落でいいよね…。パッと出てこないけどジャズレーベルはECM、クラシックレーベルはカイロス(現代音楽専門)がジャケットお洒落な抽象画が多いイメージ。(探すともっと出てくると思う)

【演奏・エンジニアリング・演奏空間】
演奏メンバーはこちら
シャイ・マエストロ (Shai Maestro) / ピアノ
フィリップ・ディザック (Philip Dizack) / トランペット
ジョルジ・ローダー (Jorge Roeder) / ベース
オフリ・ネヘミア (Ofri Nehemya) / ドラムス

このカルテットの中心人物のシャイ・マエストロ (Shai Maestro) はジャズピアニスト。イスラエルで学び・活動したのち、現在ニューヨークを拠点に活動している。

また演奏で気になった奏者としてベースのジョルジ・ローダー (Jorge Roeder)がいる。ペルーのベーシストで、現在アメリカを拠点に活動している。Shai Maestroの過去全てのアルバムに参加している。
このジョルジローダー、演奏の息が合ってて気持ちよかった。すごいスッと曲に寄り添ってる。周りに溶け込むだけではなく音の空白ではスッと飛びてて曲の推進力を加味してくれる。しかも飛び出てくる時すごい綺麗な音色なのよね。自立も支えも出来る安心感のあるベース。

[参考]アルバムの詳細はこちら(TOWER RECORD)

[参考]インタビューはこちら(Mikiki)

ジャズにおいてはインプロヴィゼイションがもっとも重要な要素のひとつなのは今さら言うまでもないが、本作では作曲された部分とインプロヴィゼイションの部分との区別が非常に曖昧だ。個々のプレイヤーが個性を発揮する場となるソロの部分は際立っておらず、曲のメロディーはインプロヴィゼイションのように自然発生的であるがゆえに、音楽の内省的な性格がより前面に押し出されている。

「前作の“ホワット・エルス・ニーズ・トゥ・ハプン?”を書いた時、インプロヴィゼイションのように聴こえるメロディーが作れることに気付いたんだ」

録音したインプロヴィゼイションのある部分を繰り返したり構成を入れ替えたりして編集したものを聴きながら、そこにインプロヴィゼイションを重ね、さらにそれを編集するといった作業を繰り返すうちに、作曲した部分とインプロヴィゼイションの部分の区別があいまいな楽曲が出来上がるという。もともとはインプロヴァイズされたメロディーも、ベースやトランペットとのユニゾンにすることで、あたかも書かれたメロディーのような印象のものになる。

へえええ。面白いことしてるなあ。インプロと作曲の区別を曖昧にするのが作業意図にあったのね。所見でアルバムを聴いた印象として、メロディックだけどメロディックになりすぎない抽象的な感じ、メロディックと抽象の調度いいバランスという感想があったけれど、そんな種明かしがあったのね。面白い。

[参考]MVはこちら(Youtube)↓

この映像と音楽のあわせいいなあ。ジャズでこんな画を合わせるのか。これまた面白い。

このMVを作った映像制作者のGili Azgadの作品を見てみたがどれもよかった。
MV(Princess - Uzi Navon)、面白い。
MV(Alaska Snack Time - Let You Know)、これも面白い。
MV(Echo - Boss)、これは踊りの混ぜ方に惹かれた
ダンス動画(Anna Aronov Dolomites)、このスローさが独特のグルーヴになって惹きつけられる。

[参考]演奏の様子はこちら ※収録曲とは異なる、ソロ演奏(Youtube)↓

聴いて良かったのでソロの方を載せてみる。口のビート音とピアノとの掛け合いのグルーヴが気持ちいい。楽しい。
これを聴いてソロのみのアルバムも出して欲しいと思った。

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13《Jazz》Hey Ro - Roman Ott Quintet《2021》

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リリース日 : 2021 / 07 / 20
レーベル : Fresh Sound New Talent
ジャンル1 (apple musicより) : Jazz
ジャンル2 (RYM推定) : JazzNu Jazz

クールかつどこかアットホームで暖かい雰囲気のあるジャズクインテットによる演奏

格好いい。クールじゃんクール。それでいて聴きやすい。楽しい。

04.Everydayは一転、詩情のある寄り添うような暖かい旋律を奏でてる。これもまたいい。と思ったら05.Avernaは人肌の暖かさのある曲で、06.Up to Youはアップテンポの愉快さも感じさせる曲調。と、このまま暖かい曲調が続くかと思ったら、最後の10.Begin Again Againは名演、とことん格好いいクールな都会的な世界を出してくれる。冷静で抑制された鋭い演奏の格好よさある。

【演奏・エンジニアリング・演奏空間】
演奏メンバーは
ロマン・オット (Roman Ott) / アルトサックス
カート・ローゼンウィンケル (Kurt Rosenwinkel) / ギター
Uri Gincel / ピアノ
Lars Gühlcke / ベース
ピーター・ゴール (Peter Gall) / ドラムス

このバンドの中心人物であるロマン・オット (Roman Ott)はドイツを拠点に活動するアルトサックス奏者。

またこのアルバムではジャズギタリストのカート・ローゼンウィンケル (Kurt Rosenwinkel)も参加している。
カート・ローゼンウィンケル好きだああ。最近のブラジル音楽への傾倒はあまりハマれなかったけれど、このアルバムを聴いていつものカート・ローゼンウィンケルが戻ってきたんだなって。やっぱカート・ローゼンウィンケルの音色とフレーズはどのアンサンブルで聴いてもカート・ローゼンウィンケルだなって。いい…。

ちなみにロマン・オットとカート・ローゼンウィンケルのコンビでは2014年のこのアルバムや、2009年のこのアルバムで作品がリリースされている。
また、ベースのLars Gühlckeと、ドラムスのPeter Gallも昔から演奏してるメンバー。ちなみに今回新しく入ってきたのはUri Gincel。ドイツに移り住んだイスラエルのピアノ奏者。

演奏にクールな格好よさがありながらどこか暖かくアットホームな雰囲気があると書いたが、もしかしたらほとんどが昔ながらの演奏仲間なのでそういう息のあった感じが暖かさに出てるのかもしれない。

エンジニア(Engineered and mixed)作業はGuy Sternbergが担当。
過去の担当作品はこちら

演奏の音響空間はドイツ、ベルリンの音楽スタジオ「Low Swing Ton Studio」。(このスタジオの過去の録音作品はこちら)

[参考]アルバムの詳細はこちら(ventoazul)

[参考]セッションの様子はこちら ※収録曲とは異なる、ピアノ奏者が異なる、2014年の演奏(Youtube)↓

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14《Jazz》Dust to Stars - Leon Phal Quintet《2021》

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リリース日 : 2021 / 04 / 30
レーベル : Kyudo Records
ジャンル1 (apple musicより) : Contemporary Jazz
ジャンル2 (RYMユーザー投票より) : Jazz

電子音楽との融合が心地いい、サックス奏者をリーダーとした調和とグルーヴを併せ持つジャズカルテット

心地いい。音が心地いい。各楽器の音色の選択がいい。このアンサンブルのハモリすき。演奏の美味しさを保ちながら、丁寧に音がまとまってる。調和してる。それが結果として、聴いてて落ち着く。

それと同時にグルーヴが気持ちいい。調和があるけれど、小さく演奏がまとまる訳ではなく、音楽が先へ先へ進んでく。推進力ある。

全体の響きとビートの気持ちよさを支える電子音もいいなあ。Gauthier Touxのキーボードが響きの空白を埋めていて音楽の充実感を出してる。また、07.Eternal Youthでは主役級にビート音としてゴリゴリ弾いていて格好いい。好き。

【演奏・エンジニアリング・演奏空間】
演奏メンバーはこちら
Léon Phal サックス、作曲
Zacharie Ksyk トランペット、トロンボーン
Gauthier Toux キーボード、シンセサイザー
Arthur Alard ドラムス
Rémi Bouyssière コントラバス

このクインテットの中心人物のLéon Phalはフランスのサックス奏者。

エンジニア作業は
レコーディングとミックスはBenoît Corbozが担当。(過去の担当した作品はこちら)
マスタリングはGreg Dubuisが担当してる。(過去の担当した作品はこちら)

演奏の音響空間はスイス ローザンヌの音楽スタジオ「Studio du Flon」。
(過去のこのスタジオで録られた作品はこちら。)

[参考]アルバムの詳細はこちら(Bandcamp)

[参考]インタビューはこちら(pointbreak.fr)

[参考]セッションの様子はこちら(Youtube)↓

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15《Jazz》Eclectik - André Ceccarelli, Sylvain Luc, Hadrien Feraud《2021》

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リリース日 : 2021 / 06 / 18
レーベル : Cristal Records
ジャンル1 (apple musicより) : Jazz
ジャンル2 (RYM推定) : Jazz, Jazz Fusion

ギターとベースのゆったりとした絡みに聴き入る落ち着く歌ものジャズ

はい、来ました。私の推しのギター奏者Sylvain Lucが参加してるアルバムです。この方のギターの音色と奏法(跳ね方)とフレーズはどストライクなんですよ。とにかく演奏がしなやかなんですよ。このアルバムではあまり色が出てないけれどこの人のジプシージャズ(Jazz manouche)なアドリブが可愛くて好きなんですよ。砂糖菓子のような味の演奏にキュンキュンする。

Hadrien Feraudが弾くベースとの絡みも好き。安定してしっかり大事なとこをしっかりベース音として響かせてるのいい。ベースとギターのゆったりと、かつ時には軽やかなグルーヴ好き。

中盤から後半の曲とアルバムの流れが安定感あっていい
曲では、05.Sous Le ciel de Paris09.You10.The World Is a Circle11.80 vs 2000が印象深かった。

【演奏・エンジニアリング・演奏空間】
主要な演奏メンバーはこちら
André Ceccarelli / ドラムス
Sylvain Luc / ギター
Hadrien Feraud / ベース

ゲストとして5人のボーカルを呼んでいる。そのうちの一人として11.80vs2000ではベース奏者のリチャード・ボナ(Richard Bona)が参加してる。この方はメセニーと共演してたり、2000年にみんなのうたで「風がくれたメロディ」という曲を出してた人(驚いた)。

他、バイオリン、チェロ、クラリネット、オーボエ、フルートが演奏に参加している。(編成の詳しい情報はこちら)

エンジニア作業は以下の通り
録音はJoël Fajerman。作曲家・鍵盤奏者でもある。(過去の担当作品はこちら
ミックスはEmmanuel Guiot
マスタリングはFrançois Gaucher。(過去の担当作品はこちら

演奏の音響空間はJoël Fajerman(録音エンジニア)のスタジオ(Joël Fajerman's Studio)にて。

[参考]アルバムの詳細はこちら(レーベル公式サイト)

[参考]セッションの様子はこちら ※収録曲とは異なる、ドラムとギター奏者が共通(Youtube)↓

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[関連] このギター奏者の過去の作品の感想はこちら
Renaud Letang - Sylvain Luc (2020)

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16《Jazz》The Antidote - Matt Ridley《2021》

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リリース日 : 2021 / 07 / 23
レーベル : Ubuntu Music
ジャンル1 (apple musicより) : Contemporary Jazz
ジャンル2 (RYM推定) : Jazz, Jazz Fusion

コントラバス奏者がリーダーのスリリングでスタイリッシュなブリティッシュジャズ

まだ音の世界が消化しきれてないが、アルバムの最後まで耳が最後まで離せなかったのでここに載せてみた。言語化できないが、音楽体験よかった。
今スリリングでスタイリッシュというふわふわしたワードが頭に浮かんだ。音の配置の仕方がタイトで、緻密感がある。それが曲の緊張感とかっこよさを生んでいる、的な。

そもそもかっこよさって感想はなんなんだろう。

「格好いい」という感想に感化されたきっかけは、前に菊地成孔がN響のゲストとして近現代の作曲家の曲のサウンドを格好いいと評したときだった(ヒンデミットだっけか、うろ覚え)。
その体験があってから、ああこの近代の作曲家が多用する独特の和音・和声を聴いたときの胸に湧き上がるこの名状しがたい感情は「格好いい」と評すればいいのかとその言語化がインストールされたのがきっかけ(ちなみに自分にとっての格好いいサウンドはヒンデミットです)。分からない…?分かってくれ…!(他力本願)閑話休題

他の方のレビューを読んでいてこのアーティストはプログレッシブ・ロックの要素と影響があるという解釈はしっくりきた。確かにプログレ的な気持ちよさある(他にもロック、フォーク、クラシックの影響が言及されてる)。チック・コリア的なプログレ風ジャズ、ジャズロックに近い音の快楽を感じた。

【演奏・エンジニアリング・演奏空間】
演奏メンバーはこちら
マット・リドレー (Matt Ridley) / コントラバス、作曲
Alex Hitchcock / サックス
Ant Law / ギター
Tom Hewson / ピアノ、エレピ(フェンダー・ローズ)、シンセサイザー
Marc Michel / ドラムス

このバンドの中心人物はMatt Ridley。UKのコントラバス奏者・作曲家。

エンジニアでは
録音とミックスはSonny Johnsが担当。
過去の担当した作品はこちら
マスタリングはDave Darlingtonが担当。
過去の担当した作品はこちら
このマスタリングの方、話題になったジャズのアルバムも数多く手掛けていた。去年感想を書いたChris DingmanのEmbrace(ビブラフォンジャズ)もミックスとマスタリングがこの方だったのね。へええ。

演奏の音響空間は西ロンドンにあるレコーディングスタジオ「Livingston Studios」。(過去の録音作品はこちら
録音作品一覧をみると、話題のSons Of Kemet(UKジャズ)の今年の新譜もここで録られたのね。へええ。このアルバムも良かった。

[参考]アルバムの詳細はこちら(Bandcamp)

[参考]セッションの様子はこちら(Youtube)↓

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17《Jazz》 30 Tokyo Yellow - 神保彰 《2021》

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リリース日 : 2021 / 01 / 01
レーベル : キングレコード
ジャンル1 (apple musicより) : Jazz
ジャンル2 (RYM推定) : Jazz Fusion, Smooth Jazz

ドラムと自作プログラミングとのグルーヴが心地いいソロセッション

グルーヴがいいなあ。ノリが気持ちいい。楽しい。滑らかに流れるような心地いいドラム。キレッキレなのだけれど叩きの音が固くなく弾むように柔らかく落ち着く。部屋で読書やリラックスしながら聴くのにいい。そう自分は聴いていた。

細かく刻む音がいいなあ。よくこの音の空白に違和感なく余裕を持って入れられるなあと思う。そこが面白い。リズムチェンジも滑らかでただただ面白い。

【演奏・エンジニアリング・演奏空間】
演奏者は神保彰。日本のドラマー。フュージョンバンド、カシオペアの活動でも有名。

小学生の時にTV(バラエティか教育テレビ)でこの人のドラムの叩き方のレクチャーを見て、ドラムってこういう楽器なんだ、ドラムを叩くってこういうことなんだー格好いいッッと文明開化した思い出。
この人の演奏を見てから授業中は体幹を意識して背筋をピンと伸ばすようになった思い出。

エンジニアとして
・録音、ミックス、マスタリングは加納尚樹(Vanilla Production)(過去の担当作品はこちら)
・アシスタントに高橋友一 (King Sekiguchidai Studio)
・レコーディング・コーディネートにKeisuke Nakai (Songbirds)

演奏の音響空間は東京のキング関口台スタジオ(過去の担当作品はこちら)

[参考]アルバムの詳細はこちら(uroros)

『30 Tokyo Yellow』は、プログラミングで制作したトラックにドラムを主役として配した、初の完全ソロドラムアルバムとなった。
今回ドラムは全て東京での録音となったが、初めて起用されたエンジニア・加納尚樹氏の手腕により、これまでとは一味違ったドラムサウンドとなっている点にも注目だ。特に『30 Tokyo Yellow』でのダブ的ミックスは作品の大きな特徴となっている。

なるほど。確かにダブ的な音の感じが心地よかった。

[参考]ソロセッションの様子はこちら ※収録曲とは異なる(Youtube)↓

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18《Alternative》So Many Me - Michael League 《2021》

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リリース日 : 2021 / 06 / 23
レーベル : GroundUp Music
ジャンル1 (apple musicより) : Alternative
ジャンル2 (RYMユーザー投票より) : Art Pop

中東~北アフリカのパーカッションが入り交じる、スナーキー・パピーのリーダーによる自作自演アルバム

楽しいと心地いいが同居してる。パーカッション楽しい。また、その音像がいいなあ。音の輪郭とその響きや残響がしっかり見えるのが面白い。パーカッションの音像が叩いたときのバウンドする快感を呼び起こすのいい。そしてそのバウンドのグルーヴがまた気持ちいい。

あとパーカッションだけでなく、他の楽器との響きの混ざりが心地良い。歪んだ電子音、エレキベース、コーラスどれも響きが気持ちいい。心地の良い歪みの音がある。

【演奏・エンジニアリング・演奏空間】
演奏はベース奏者マイケル・リーグ(Michael League)スナーキー・パピー(Snarky Puppy)のリーダー。

[参考]アルバムの詳細はこちら(TOWER RECORD)

現代最強のライヴ・バンド、スナーキー・パピーのリーダー、マイケル・リーグの初ソロ・ヴォーカルアルバム。
(中略)
ロックダウンの環境下で全ての楽器/作編曲/ヴォーカル/コーラス他を自身で行った作品。彼のルーツでもあるXTCやピーター・ガブリエル他の‘80s的要素も入れつつ奥ゆきのあるエフェクティヴなサウンド。多彩な楽器の音色と厚みのあるセルフ・コーラス、中東~北アフリカのパーカッション等が有機的なレイヤーとして音像化された圧巻の内容。

[参考]インタビューはこちら(note: 柳樂光隆)

このインタビュー記事、世界のパーカッションやワールドミュージックの話まで言及していて面白い。お勧め。

最初にあったのはサウンドスケープで、具体的なメッセージよりも先にこんな感じの音を作りたいってのがあったかな。最初に全般的なサウンドのイメージが頭に浮かんだ。少しずつ作り始めていく中で、その大きな音の絵柄の一つ一つをどう実現していったらいいかを考えた。

へええ。サウンドスケープからの創造。建築で言う一部分のシークエンスの脳内映像から創造するみたいなもんかな。いい…。

[参考]MVはこちら(Youtube)↓

[参考]セッションの様子はこちら ※収録曲とは異なる、Snarky Puppyでの演奏(Youtube)↓

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おわりに

音楽生活を支えてくれた新譜を教えてくれるでっかいおともだちはこちら。AllMusic (1, 2)、Rate Your Music (1, 2, 3,)、Spotify (1, 2, 3)、Naxos (1, 2, 3)、Mikiki (1)、Bandcamp (1)、各レーベルの公式サイト、その他のキュレーションサイト・個人サイト・音楽雑誌などなど。

世に出る新譜を全て吟味すると人生終わるので、この中からかいつまんでゆるく適当に聴いてます。
キュレーションサイトの評価と自分の感想がズレてても泣かない(よくある)。

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最近音楽の推進力、フレージングという感想に頼りすぎてる気がする。最近はフレージング・ハモリ・グルーヴ(推進力、音と音の間の繋がり)の3つに注目して自分が求める音楽を判断するようになってきた。この3つは互いに独立してるような、影響しあってるようなそんな要素。

これが正解とはもちろん言えないので、明日には考えが変わってる気がする。

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記事に書く曲が決まってから仕事の合間にのんびり書いてたら1ヶ月経ってた。自分の理解を深めるための文章なのでいくらでも遅くなっていいが、さすがにこのまま行くと次はアルバムが決まってから2ヶ月後とかになりそう。まとめの期間を伸ばすかなにかしましょ。

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LINE MUSICが2021年の十代が支持するアプリの3位に入っている(AppApe調べ)という記事を読んだので、試しにアルバムでの参考リンクにLINE MUSICを追加してみた。

LINE MUSICは、LINEのプロフィールとステータス欄にオススメの曲を表示できるのいいよね。(前使ってた)

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上でも書きましたが、クラシックレーベルのChandosがアルバムの小冊子をpdfで公開してますね。知らなかった。提携してる他のレーベルのも公開してるので結構他の有名レーベルの小冊子もあります。ありがたいですね。

まあ老婆心ながらお金を取っても良いんじゃないかとも思うけれど、誰にも読まれないよりかは無料で見せた方がいいという決断なのかな。日本で出されてるアルバムの小冊子の一部には日本語訳や、日本版のみの解説の付与というのがあるのでそういうのはこれからもCDを買っていきます(CDプレイヤーは持ってないので完全に小冊子目当て)。

レーベルは小冊子の解説をまとめた本を出せば一定層に売れるんじゃないかな。権利の問題で無理ゲーかな。遠い話だけれど著作権保護期間の70年経てば出版されたりするかな。

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話が代わるが、CDといえばすごいこの曲が格好良かった。幼稚園・小学生の運動会でのダンスの教材。この手の音楽を探す界隈があるのね。知らなかった。いい曲。

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そういやTwitterで流れてきたこれめっちゃ好き。面白かった。
あいみょんの曲の替え歌より
君は古楽を聴かない~ルネサンスの世俗音楽編~

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あとこの動画惹かれた。空気感いいなあ。

古今東西の鐘の音とのセッションや、工事現場、エアコン、ひげ剃りの持続音とハモリをしたアルバムないかなあ。聴きたい。twitterでは時々そういう魅力的な動画が流れてくるけどそれでアルバム作ったというのがなかなか無い。サンプリングじゃなくて環境音との生セッションのアルバム。

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しゃらくせシャーラップ・ホームズという言葉が今急に思い浮かんだ。これはやっちまったピーナッツ(八街市の特産品が落花生であることから / アキロゼ)ぐらい使える言葉と思います。このミームのウィルス感染力はどれくらいあるんじゃろうか。飛び立てッッッ

オワリ

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恒例で投稿してから1週間はゆるく推敲してます。(9/1オワリ)

こうした方がいいよというアドバイス、おすすめのアルバム、訂正、要望、質問などがあればここへ気軽にマシュマロを投げてください(匿名)。

最後まで読んでくれてありがとうございます。よかったら「スキ」も押してくれると嬉しいです💐

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