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2021年4月の耳がひかれたアルバム13枚 (クラシック・ジャズ・ポップス)

4月はこれら13枚のアルバムを聴きました。
どれもいい音楽体験でした。

特に興味のあるジャンルとして
合唱3枚、
ルネサンス・バロック期の西洋音楽4枚、
日本語歌詞3枚が含まれています。

忙しい人のためのSpotifyまとめプレイリストはこちら。 計68分。

以下、順不同に感想とメモ。

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01. ジェズアルド: マドリガーレ集 Vol.2 (Gesualdo: Madrigali, Libri terzo & quarto) - Les Arts Florissants and Paul Agnew (2021)

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Release date : 2021 / 02 / 05
Label : harmonia mundi
Genres : Classical

堂々たる演奏のイタリア後期ルネサンスの作曲家ジェズアルドの調べ

揃えるところはどこも丁寧に揃えていながらも、有機的に各声部が絡み合ってるハモリ。心地いい。

作曲家はカルロ・ジェズアルド (Carlo Gesualdo)。生没年は1560年頃-1613年。イタリア後期ルネサンスの作曲家。
ジェズアルドの緊張と安らぎを併せ持つ音楽いいよね。全体的に緊張感が高く痛烈な曲調が多いが、同時に響きが美しく、さらに合唱だと柔らかい音色が合わさりカタルシスのような安らぎをもたらしてくれる。落ち着く。

演奏はレザール・フロリサン(Les Arts Florissants)。1979年に設立。フランスで活動する古楽器オーケストラ及び合唱団。多人数の団体であり、小規模な演奏のときはリーダー含めプロジェクト毎に参加メンバーが異なっている。
今回の指揮(音楽監督)はポール・アグニュー(Paul Agnew)。ここではテノールも兼ねている。

レザール・フロリサンいいよね…。合唱部や合唱サークルの初学者は守破離の守と、現在の巨人の肩の上を確認するために一聴するといい演奏グループの一つだと思う(個人の所感)。どのアルバムも安心安全なハモリと、色褪せないグルーヴと、アーティキュレーションの機微ある。あと普通に何度聴いても心地いい。

録音空間はフランスのフィラルモニ・ド・パリ (Philharmonie de Paris, France)
フィラルモニ・ド・パリのデザイン凄いなあ。正面部も内部も。2015年開館。設計はジャン・ヌーヴェルと助手のブリジット・メトラらによるもの。

余談だが、ジャン・ヌーヴェルの作品ではバルセロナのアグバール・タワー(2005)が好き。いいよね…。
しかしwiki見たらこのアグバール・タワー、市民から男根タワーや座薬タワーと呼ばれていて駄目だった。繭タワーや卑猥タワーと呼ばれる新宿のモード学園コクーンタワー(2008)といい、この手の回転楕円体なデザインは市民感情によろしくないのね…。
あとこのフィラルモニ・ド・パリの音響は永田音響設計によるもの。永田音響設計は海外と日本の有名なホールの多くに関わってる。

[参考]アルバムの詳細はこちら(TOWER RECORD)

ジェズアルドは、1560年頃イタリア・ナポリ王国の名門貴族として生まれ、イタリア・マドリガーレの最後を飾る作曲家です。ジェズアルドが20歳の頃に結婚、しかし不義の妻と愛人を殺害し、このことが彼の人生に暗い影をおとします。ジェズアルドは、1594年(28歳頃)再婚のためにフェッラーラに赴きます。彼の地フェッラーラは、宮廷で活躍していたルッツァスコ・ルッツァスキの影響でマドリガーレが盛んであり、ジェズアルドはこの街で生気を取り戻し、立て続けに4巻のマドリガーレ集を出版しました。
これらの曲集は、当時の様式に則りながらも、彼らしい激しい感情表現を、半音階的進行や不協和音など大胆な和声を駆使した作品で、同時期のモンテヴェルディの作品と並び16世紀末を代表するマドリガーレ集となっています。本盤では、前作(HAF-890507)に続き第3&4集を収録しています。

[参考]収録曲の演奏動画はこちら(Youtube)↓

いい…。

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02. 「期待しないで、私の眼は...」~厳粛なアリアと酒の歌 第3集 (N'espérez plus mes yeux... Airs sérieux et à boire, Vol. 3) - Les Arts Florissants and William Christie (2021)

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Release date : 2021 / 04 / 30
Label : harmonia mundi
Genres : Classical

フランス宮廷の声楽小品集

ふくよかで優雅で楽しい。いい…。
1曲目のル・ジュヌの曲(Allons, allons gay gayment)好き。この時代のパズルのようなポリフォニーは複雑さと明快さが両立してて聴くとホゲエ難しそうとなる。ホゲエとなる分楽しくてテンション上がる。歌ってる本人も声部の隙間を縫って飛び出たりハモったりするの気持ちいいだろうなあ。うわあ歌いたい。各パートを鼻歌でなぞりたくなる。なぞってる。本番だとこの手の曲は事故りそうで怖いけれど、いい…。

19曲目のキス演出のある歌(Airs de cour a 4&5 parties: Que dit-on au village) もいいなあ。面白い。

演奏はレザール・フロリサン(Les Arts Florissants)。先ほどの1枚目のアルバムと同じ団体だが、前のとは指揮と演奏者が異なっている。今回のプロジェクトの指揮(音楽監督)はウィリアム・クリスティ(William Christie)。チェンバロ奏者でもある。

[参考]アルバムの詳細はこちら(TOWER RECORD)

クリスティとレザール・フロリサンが奏でるフランス宮廷御用達の美しき声楽小品集。
勇壮であったり土俗的であったり精神的であったりと様々な表情が散りばめられていて、100年以上にわたりフランス音楽界を彩った音楽ジャンルの洗練された美が味わえます。

[参考]収録曲の演奏動画とインタビューはこちら(Youtube)↓

インタビューはフランス語だが自動翻訳有り。興味深かった。
声楽家たちの演奏中の顔の筋肉の動きと、手や身体の同調具合いいなあ。見てるだけでもそこから音楽が鳴ってくる。

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03. モンテヴェルディ: 「恋人の涙」~愛と悲しみのマドリガーレ集 (Lagrime d'amante) - La Compagnia del Madrigale (2021)

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Release date : 2021 / 05 / 07
Label : Glossa
Genres : Classical

ルネサンス-バロック期イタリアの作曲家モンテヴェルディの合唱曲(マドリガーレ)集

綺麗。ふくよか。清潔なハモリ。落ち着く。

モンテヴェルディは、聴くのは好きだけど歌うのと覚えるのが未だ慣れない作曲家の一人。モンテヴェルディの合唱曲はとにかく各声部が歌い手の歌心を試す旋律!旋律!旋律!で作られているイメージ。演奏するときは毎回のフレーズ感を掴まないとなかなか音楽にならなかった。ただその分得られる快楽 ――曲全体がゆったりと波に任せてたゆたう心地よさ。がある。いいよね…。

La Compagnia del Madrigaleはマドリガーレを専門とするイタリアの古楽ボーカルアンサンブル。2008年に設立された。
この団体の2019年のチプリアーノ・デ・ローレの曲を歌ったアルバムはこの年の印象深かったアルバムのうちの一つ。ハモリが清潔で心地よかった。

作曲家はクラウディオ・モンテヴェルディ(Claudio Monteverdi)。ルネサンスとバロックの過渡期に当たる16世紀から17世紀にかけてのイタリアの作曲家・ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者・歌手。

録音空間はイタリア、トリノの聖ロッコ&セバスティアーノ信心会 (Cumiana (Confraternita dei Santi Rocco e Sebastiano), Italy)

[参考]アルバムの詳細はこちら(TOWER RECORD)

モンテヴェルディのマドリガーレ集第1巻~第6巻の中から13曲をセレクションし、儚き愛や愛する人の死など悲痛な悲しみを表情豊かに歌います。

[参考]演奏動画はこちら ※収録曲とは異なる(Youtube)↓

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04. ヴィドール: オルガン交響曲集 第5集 (Widor: Organ Symphonies, Vol. 5) - Christian von Blohn (2021)

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Release date : 2021 / 04 / 09
Label : Naxos
Genres : Classical

フランス近代の作曲家シャルル=マリー・ヴィドールのオルガン交響曲

曲と奏者のシンクロ率いいなあ。
曲はシンプルだが惹き込まれる。音の一つ一つの動きが心を落ち着かせる。音を観測する心地よさがある。
このオルガンの音色とそのバランスも調和していて心地いい。暖かくて色彩豊か。分厚いが威圧しない優しい響き。奏者の緩急の付け方、間の取り方もいいなあ。推進力を保ちつつ、しっかり間と呼吸がある。それが音の世界を壊さないのでずっと聴いていられる要因の一つかもしれない。

作曲家はシャルル=マリー・ヴィドール(Charles-Marie Widor)。生没年は 1844-1937。フランスのオルガン奏者・作曲家・音楽教師・音楽理論家。
あまりこの作曲家を知らなかったけど、1890年のフランク死去後に後任としてパリ音楽院のオルガン科教授に入った人なのね。なんとなく歴史の点が繋がって理解。

奏者はChristian von Blohn。ドイツのオルガン奏者・教会音楽家・音楽教育者。

録音空間はドイツ、ザンクト・イングベルトの聖ジョセフ教会(St. Josephskirche Sankt Ingbert ,Deutschland)

[参考]アルバムの詳細はこちら(TOWER RECORD)

ヴィドールのオルガン交響曲シリーズ第5集。オルガン交響曲とは、ヴィドールがオルガニストとして奉職していたサン=シュルピス教会のカヴァイエ=コル・オルガンの音色に触発されて書かれた作品群。オルガン1台で演奏するにもかかわらず「交響曲」と題された色彩豊かな音色と荘重な響きを持ち味にしています。
このアルバムには第5番と第6番を収録、1879年に書かれた交響曲第5番は5楽章で構成され、最終楽章にヴィドール作品の中でも最も知名度の高い「トッカータ」が置かれた壮大な作品です。オルガンの響きが滝の如く降り注ぐこの「トッカータ」は華麗な雰囲気で知られ、デンマークやノルウェー、英国王室での結婚式でも演奏されるなど高い人気を博しています。
第6番は5楽章形式で書かれており、1878年の""パリ万博""でヴィドール自身が初演した作品。第5番とともにパリのアメル社から出版されました。またヴィドールは自身の作品を改訂することが多く、ここに収録された第8番の第4楽章も、1901年の改訂の際に外されてしまった楽章です。

引用の当て書きされたというサン=シュルピス教会のカヴァイエ=コル制作のオルガンはこちら うわあいい響き。壮大。視覚としても上部のオルガンに圧倒される。眼福。(※ちなみにこのアルバムで演奏してるオルガンはサン=シュルピス教会のオルガンとは異なる。)

そういえば、このオルガン製作者カヴェイエ=コルのドキュメンタリーDVD & CD BOXセットが2012年に出ていた。映像の一部はこちら。英語音声で日本語字幕はなし。気軽に買える値段ではないがこれは気になる。動画によるとカヴァイエ=コルがオルガンの技術を革新するまで当時のオルガンとオルガン音楽は人気がなく一時停滞してたのね。へええ。

あと引用に戻り、オルガン交響曲6番は1878年のパリ万博で演奏された作品なのね。この回ではアレクサンダー・グラハム・ベルの電話機やトーマス・エジソンの蓄音機、自動車が出品。また資金集め中の自由の女神の頭部が出されたとのこと。他に400人の「先住民」で構成される「ニグロ村」と呼ばれる人間動物園もあり(!)。また存命のスタインウェイによる最新のピアノ展示もあったとのこと。
へええ。この頃の世界が狭くなって歴史が動いてる時の近代万博はどれも味わいある。

[参考]演奏動画はこちら ※収録曲とは異なる(Youtube)↓

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05. 再生 (Rebirth) - Sonya Yoncheva, Cappella Mediterranea (2021)

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Release date : 2021 / 03 / 12
Label : Sony Classical
Genres : Classical

ソプラノによる耳を惹き付ける魔力溢れる演奏。

前に声楽家が演奏の指導中に、人を魅了し惹き付ける音楽の例えとして「妖気」や「魔力」や「呪力」や「色気」といった言葉を使っていた。このアルバムはその言葉が実に当てはまった。この惹き付ける魅力は、理知的というより情念的なエグさからくる魅力に近いと思う。

楽器の演奏もいいなあ。抑えながら歌に最大限寄り添う演奏いい。落ち着く。

歌手はソーニャ・ヨンチェヴァ(Sonya Yoncheva)。ソプラノ。ブルガリアで育ち、現在スイスを拠点にヨーロッパ各地で活動している。

演奏はカペラ・メディテラネア(Cappella Mediterranea)。2005年設立。地中海沿岸のバロック音楽を主に演奏する古楽団体。
指揮はレオナルド・ガルシア・アラルコン(Leonardo Garcia Alarcon)。このアルバムではオルガンとチェンバロも演奏している。

[参考]アルバムの詳細はこちら(TOWER RECORD)

「私たちの世界が現在切実に必要としているもの、人間の精神の最も深い部分に触れることで辿り着けるもの」を希求するべく構築したプログラムで、17世紀前半の初期バロックの作品を中心にしながらも、その時代を俯瞰するように、イギリスのルネサンス期の作品やパーセルのオペラ、さらにはイタリアやスペイン歌も交え、17世紀のヨーロッパの旅のような多彩なプログラムになっています。
さらに「最も美しいメロディは悲しいものだ、ということを思い起こさせてくれる忘れ難い体験となった」と絶賛された、ヨンチェヴァの母国ブルガリア民謡のほか、歌の魂は20世紀にも脈々と受け継がれており、ベネズエラのシンガー、シモン・ディアスや、さらにはアンコールではABBAまで、400年を超えてつながる時空旅行をイメージされプログラミングされています。

[参考]演奏動画はこちら(Youtube)↓

アルバムでは気づかなかったが、ライブ動画をいくつか見ると曲調と音域によっての得手不得手の差が大きい方なのね。スローテンポな曲で頭声?(響く音域)にハマると強い。

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06. 光みたいにすすみたい - mekakushe (メカクシー) (2021)

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Release date : 2021 / 04 / 21
Label : mekakusirecords
Genres : J-POP

透き通った歌声と耳をひく歌の旋律が織りなす心地いい鍵盤ポップス。

いいなあ。歌の旋律、音程の選び方がいいなあ。歌い方の語尾の上げるのも耳をひきつける。響きが透き通ってる。心地いい。

あとエフェクトの混ぜ方いいなあ。気持ちいい。

録音は全曲宅録

アーティストはmekakushe。シンガーソングライターであり、担当楽器はボーカル・ピアノ。

[参考]アルバムの詳細はこちら(TOWER RECORD)

コロナ時代の生活の真っ只中に制作された本作は全曲宅録で制作。繊細で研ぎ澄まされたサウンド、文学的な詩世界、やさしさと悲しみが同居する歌々が、サウンドプロデューサー野澤翔太を迎えて、繊細にときにポップに描かれている。

[参考]インタビューはこちら(real sound)

ーーそのためにインプットしたものはありますか?
mekakushe:日本のトップチャートやプレイリストを毎日聴いて、どういう曲が流行っているのか研究していきました。あとは周りの宅録の友達にボカロ出身の人が多いので、ボーカロイドの曲や、打ち込みが得意な人の曲もよく聴いていましたね。私は元々速い曲を作るのが苦手だったので、いろんな曲を聴いて、どうやったら自分の良さを残したまま聴きやすい曲を作れるのか、アレンジャーの野澤翔太と打ち合わせしながら作っていました。

ーーそのひとつが先ほどの言葉数の多い歌ということですね。
mekakushe:私の歌詞は五・七・五で作られているものが多くて、韻を踏んでいるんですよね。そうやって作ることでリズミカルに聴こえるし、速いアレンジが合う曲になるんだなって思いました。

[参考]演奏動画はこちら(Youtube)↓

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07. よすが - カネコアヤノ (2021)

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Release date : 2021 / 04 / 14
Label : 1994
Genres : Alternative Folk

暖かくも力強い何度聴いてもすり減らないフォーク

何度も聴ける。何度も聴いた。歌モノとしても十二分に魅力があるが、全体的な演奏も耳を傾けると心地いい。周りの演奏の混ぜ方がいいなあ。声の混ぜ方のマットさというか、声が前に出過ぎてないmixが周りの楽器と調和して心地いい。Voの力強い声の魅力だからなせるのだろうか。実直な素朴さのある音楽いいよね。聴き疲れをしない。落ち着く。

あとボーカルのピッチ感がいいなあ。ギター弾き語りが基本にあってそれに自然とハモる歌い方が身についた故なのか、歌の旋律のピッチの合わせ方が心地いい。ほんのちょい低め高めに取ってるとことか癖になる。アーティキュレーション、節回しのピッチ感もいい。耳が幸せ。

演奏メンバーは、Vo/Gt:カネコアヤノ、Gt:林宏敏、Ba/Cho:本村拓磨(ゆうらん船、Gateballers) 、Dr/Cho:Bob(HAPPY)。

録音・整音(エンジニア)は濱野泰政

録音空間は伊豆スタジオ(IZU STUDIO)

[参考]アルバムの詳細はこちら(TOWER RECORD)

今作は、これまでの作品のレコーディングも行われたホームともいえる「伊豆スタジオ(IZU STUDIO)で、エンジニア/サウンドプロデューサーの濱野泰政と、ここ数作で制作/ライブ活動を共にしているG.林宏敏(ex.踊ってばかりの国)、Ba.本村拓磨(ゆうらん船)、Dr.Bob(HAPPY)と共にレコーディングを行った。
約1ヶ月間、伊豆スタジオで合宿レコーディングという形でバンドメンバー達と時間を共にし、のびのびとした環境でじっくりと向き合って作られた今作品はジャンルに囚われない自由なサウンドに仕上がっている。

[参考]インタビューはこちら(cinra.net)

[参考]演奏動画はこちら(Youtube)↓

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08. 天才の愛 - くるり (2021)

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Release date : 2021 / 04 / 28
Label : Speedstar
Genres : Alternative

多様性溢れる心躍るポップス

美味しい料理を口に入れると言語化をすっ飛ばしてまず自然と笑みが出るのだが、音楽も聴いた瞬間にニヤッと笑みが出る音楽というのがある。なんだかみぞおちがキュッとなる。このアルバムも響きが耳に入ったときに自然と笑みがでた。いい…。

全体的に満ち足りた祝祭感ある。楽しい。
歌詞は割り切れなさを語っていたり、風刺が効いてたりするのもあるのだが、音楽になると全てへの満たされた祝いのような響きを感じた。

アルバムの流れがいいなあ。展開の起伏も面白かった。この次は何が来るのだろう。こう来るか。みたいな。

01.I LOVE YOUの歌詞好き
共感する人多そう(自分)

缶チューハイ それ頂戴
ほら なんの足しにもなりゃせんよ
ほなせんど 食い散らかせよ.

やれそうで むりそうな 仕事ばっかり 
やれそうで むりそうな やつらばっかり

[参考]アルバムの詳細はこちら(TOWER RECORD)

[参考]インタビューはこちら(Sound & Recording)

アルバムでのチューニングや各音程でのピッチについて語っている。
前編も後編も面白かった。

[参考]収録曲のMVはこちら(Youtube)↓

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09. Fine Anyway (Habibi Funk 016) - Rogér Fakhr (2021)

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Release date : 2021 / 04 / 09
Label : HABIBI Funk Records
Genres : Worldwide

発掘された中東のギターサイケフォーク

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聴いた時こんな感じだった。ギターも声も味あるなあ。ピッチ感かっこよ。いいなあ。

3.Express Lineが狂おしいほど好き。

レーベル名、ハビビファンクというのね。habibi(حبيبي)は愛しい人という意味。 中東での紛争を舞台にしたFPSゲームInsurgency: Sandstormでハビビという叫び声をよく聴いたけどこういう意味だったのね。
ちなみにレーベルのHABIBI FUNKについての説明はこちら。このレーベルは、70年代後半から80年代中ごろのアラブ・ミュージシャンを発掘、リイシューしてるとのこと。

Rogér Fakhrは1970年代にレバノンで活動し、その後亡命しパリで活動しているギタリスト。このアルバムは過去の音源と未発表音源からなっている。

[参考]アルバムの詳細はこちら(TOWER RECORD)

レバノン出身の音楽家ロジャー・ファハー。1970年代のレバノン、そして亡命先のパリで音楽家として活動する傍ら、ジアッド・ラーバニやファイルーズらのバックで演奏した知る人ぞ知る音楽家である。その音楽はとても中東のものとは思えない、仄暗く独特の美しさをたたえたサイケフォークで、まるで1970年代のカリフォルニアで生み出された音楽だと言われても違和感のないもの。HABIBI FUNK の面々もはじめて彼の音楽を聴いたときに、そのユニークさ、ヒプノティックな魔力に驚いたそうだが、そこから何年もかけ遂に本人とコンタクトすることに成功。自主制作カセットでリリースしていたアルバムの音源をはじめ全くの未発表音源などを本人に提供してもらい、本作のリリースにこぎつけたのだとか。
中東のパリともいわれたレバノンはベイルートの充実した音楽シーンの一端を垣間見ることのできる貴重な一枚

レバノンでは中東の中でも特に音楽文化が賑わってるのね。
今のレバノンのクラブカルチャーについて2020年にこんな記事があった。面白い。

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10. Roots of Strings: A Musical Journey with the Arabic Oud - Nazih Borish (2021)

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Release date : 2021 / 02 / 05
Label : Groupe Analekta, Inc
Genres : Worldwide

残響音に聴き入るウードの調べ

ウードの残響音がよく録れてるなあ。ベースの響きも。心地いい。
リズミカルなウードの弾きいい。フラメンコ音楽の経験ゆえか、そのニュアンスが混ざっていてキャッチーに聴ける。
ベースとパーカッションを絡めた身体が揺れるグルーヴもいい。

4.Ali Baba danceいいなあ。かっこよ。
なんとなくだけど、この曲でのウードの鳴らしを聴いていたら三味線とセッションさせてみたくなった。ウード×三味線はありだと思います。

ウードを奏でるのはNazih Borish(ナジフ・ボリシュ)。シリアをルーツに持ち、現在亡命しカナダのモントリオール、ラヴァルを拠点に活動している。

[参考]アルバムの詳細はこちら(TOWER RECORD)

新天地モントリオールで活躍するシリア出身のウード奏者・作曲家、ナジフ・ボリシュのニュー・アルバム。
ボリシュはアラブ世界で同世代の最も偉大なウード奏者のひとりとして認められており、まばゆいばかりのヴィルトゥオジティでアラブ音楽、フラメンコ、インド音楽、さらにはジャズの世界を、情熱をもってナビゲートしています。伴奏するのは、卓越したリズム感覚を持つパーカッショニストのジョセフ・コーリーと、定評のあるベーシストのロベルト・オキピンティです。

[参考]インタビューはこちら(panm360)

(※原文フランス語のため機械翻訳より)
子供の頃、父は私にたくさんの音楽を聞かせてくれました。インド音楽、フラメンコ、そしてさまざまな文化のあらゆる種類の音楽。このように私はさまざまな音を探求し、彼らと一緒に、そして口頭の伝統を通して音楽を学びながら育ちました。

[参考]演奏動画はこちら(Youtube)↓

メンバーはウード奏者のNazih Borishだけ一致してるが、この演奏よかった。心地いい。ギター×ウード×クラリネット×パーカッションによるセッションいい…。

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11. In His Own Sweet Time - Tommy Flanagan (2020)

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Release date : 2020 / 12 / 23
Label : enja
Genres : Jazz

優雅なタッチのジャズピアノソロによるスタンダード曲集

このアルバムは新たに発見された1994年のライブ録音となっている。
トミー・フラナガンいいなあ。キャッチーで優雅。気持ち安まるピアノ。レガートを保ちつつ歯切れよくリズミカルなタッチ。音がキラキラしてる。いい…。

ソロでここまで聴かせ続けられるのすごい。ソロで夢から醒まさずに最後まで世界を構築したまま演奏するってすごいなあ。ソロはムズい。すごい(小並感)

トミー・フラナガン(Tommy Flanagan)は生没年1930-2001のアメリカのジャズ・ピアニスト。

録音空間はドイツ・ノイブルクにある“バードランド・クラブ”(neuburg birdland jazzclub)

[参考]アルバムの詳細はこちら(disc union)

2001年に惜しまれつつ亡くなったが、フラナガンが1994年にドイツ・ノイブルクにある"バードランド・クラブ"で行なったソロ・パフォーマンスを収めた音源が発見された!極上のベーゼンドルファーと対峙するフラナガンが奏でるのはタッド・ダメロンやソニー・ロリンズらミュージシャンズ・スタンダードから「ハウ・ロング・ハズ・ディス・ビーン・ゴーイング・オン」、「フー・キャン・アイ・ターン・トゥ」などお馴染みのスタンダードまで全10曲。洗練されたタッチとスウィング感溢れるフレーズ、流れるようなメロディ・ラインはピアノ・ファンならずとも虜になる事間違いない!

このピアノ暖かくて、小さい音が可愛らしく、ぴかりと輝くように響くと思ったらベーゼンドルファーなのね。いい…。

余談だが、このピアノ屋ドットコムというYoutubeチャンネル好き。様々なメーカーのピアノが聴ける。そして耳が開発されて幸せになる。ちなみに私が好きなピアノの響きはシュベスターです(幼少期に弾き親しんだ味噌汁的な思い出補正8割)。

[参考]演奏動画はこちら ※収録曲とは異なる(Youtube)↓

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12. LIVE - Petter Eldh, Koma Saxo (2021)

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Release date : 2021 / 04 / 30
Label : We Jazz
Genres : Avant-Garde Jazz

なにこれ楽しいアヴァンギャルド・ジャズ

初め聴いたときはなんじゃこりゃと思ったが、破綻もなく音楽の推進力を保ったまま進んでいく。聴き終わり振り返ってみると、とことんキャッチーね。で意外なほどに聴き疲れない。いい…。楽しい。観客の歓声や熱気も感じられていい。祭りやちんどん屋みたいな賑やかさいい…。

締めに持ってきた8.Stepp min steppのチョイス良いなあ。聴けば分かるあの曲。フリー味なセッションを積み重ねた後にいきなり流れきて、予想外で吹き出してしまった。

演奏はKoma Saxo。5人組のバンドプロジェクト。編成はBass、tenor sax2、alto or baritone sax、drums。
リーダーはPetter Eldh。ベルリンを拠点に活動しているプロデューサー/ベーシスト。

エンジニア(録音・ミックス・マスタリング)はJuho Luukkainen

[参考]アルバムの詳細はこちら(Bandcamp)

[参考]収録曲の演奏動画はこちら(Youtube)↓

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13. The Bond - Dopolarians (2021)

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Release date : 2021 / 03 / 26
Label : Mahakala Music
Genres : Jazz

推進力を保ちながら進むメロディックで聴き疲れないフリージャズ

いいなあ。ハマれた。フリージャズ初心者で受容体を開発しきれてない自分でもこれは聴きやすかった。ドラムがとことんキャッチー。ドラムだけでも楽しくてずっと聴ける。ベースとの絡みも気持ちいい。
曲の中に楽器の絡み合いがもたらすスリリングさと、音のパズルっぽさと、時折あるメロディックな旋律と、聴き疲れしなささが共に内包してある。

あとスキャット・人の声があるとジャズはどれも取っつきやすくなってズルいね(いい意味で)。

Dopolariansはフリージャズバンド。
このアルバムでのメンバーはWilliam Parker(bass)Brian Blade(drums)Kelley Hurt(vocals)ChadFowler(alto sax)Christopher Parker(piano)Marc Franklin(trumpet)が参加している。

ドラムのブライアン・ブレイドいい…。楽しそうにドラムを叩く人。この人のドラムの次へ次へとつなげる推進力好き。余裕を持ってリズミカルに跳ね回るように叩いてる。この余裕とリズミカルさがフリージャズなのに肩の力を抜いて聴き疲れなく聴ける一因かもしれない。

エンジニアはRick Nelson / Marigny Studio(recording & mixing)、Adam Keil(mastering)。

録音空間はニューオーリンズのマリニー・レコーディングスタジオ (in New Orleans, Louisiana at Marigny Recording Studio)

[参考]アルバムの詳細はこちら(DiscUnion)

[参考]演奏動画はこちら ※前作(Youtube)↓

この動画ではドラムとテナーサックスは今作とは別のメンバーが演奏している。

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おわりに

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5月はこんな感じ。
梅雨時期は気温・湿度と自分の相性が悪く毎年ダウンしている。
こんな時は眠って休むに限る( ˘ω˘)スヤァ…。

今月の音楽の感想は、落ち着く・心地いいと、楽しい・面白いだけで語ってるらしいな。幼児かな。言語化を捨てて思考停止を突き詰めると人間そんなもんなのかな。

そういえば昭和の大衆娯楽小説作家の吉川英治おもしろいよ吉川英治。週刊少年ジャンプ並にポップでキャッチーで面白い。文体も明快で簡素。いやあもっと早く読めばよかった。いい…。今月と来月は吉川英治漬けになりそう。その後に三体を読む。

週刊少年ジャンプといえば逃げ上手の若君もいいよ若君。フェチズムに満ちた若君の絵がいいよ。あとDrストーンはいつも通り面白いとして、最近の読み切りも面白いのが多い。今後も楽しみ。そういやワールドトリガー(ジャンプSQ)まであと一週間。次の主役は多分照屋夫人だよ。照屋夫人は夫ザキ隊長の威信をかけて地雷を踏んだブロッコリー相手にGガンダムのドモンと師匠レベルの殴り合いするよ私には分かるんだ。

オワリ

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こうした方がいいよというアドバイス、おすすめのアルバム、訂正、要望、質問などがあればここへ気軽にマシュマロを投げてください(匿名)。

最後まで読んでくれてありがとうございます。よかったら「スキ」も押してくれると嬉しいです💐

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