2021年 上半期の耳がひかれたベストアルバム15枚(クラシック、ジャズ、ワールド、ポップス)
上半期に感想を書いたアルバム75枚から特に惹かれた13枚を選びました(1枚例外あり)。上半期に書いた単体のレビュー記事はこちらです、1-2月、3月、4月、5月、6月。
どれもいい音楽体験でした。
忙しい人のためのまとめプレイリストはこちら。
15枚のジャンルの内訳は
Classicalが 9枚
Altanativeが 2枚
Contemporary Jazzが 1枚
Avant-Garde Jazzが 1枚
J-POPが 1枚
POPが 1枚 です。
また個人的な関心のあるジャンルとして
・合唱 (Choir, Vocal Ensemble) 5枚
・ルネサンス・バロック音楽 6枚
・日本語を使った音楽 2枚 が含まれています。
アルバムを選ぶときの指針は、第一も第二もビビっときたかどうかです。自分が書いてる今のその音楽を欲してるかどうかの主観による希求の直感です。
もしこれのカラクリをそれっぽく言語化するとしたら、
「何度も聴きたいか」…これを満たす音楽の集まりを集合A
「面白いか・期待感(ワクワク)があるか・スリリングか」…これを満たす音楽の集まりを集合B
「響きに集中して頭の雑音が消えるか・落ち着くか・心地いいか・目を瞑って聴きたくなるか・調和してるか(感覚的なもので上手く言語化できないが)」……これを満たす音楽の集まりを集合C
とし、この三つの積となる音楽を自分が好み求める音楽とする。またその指針とする。あくまでも感覚的に。となります。適当に。
音楽の効能・効果、用法・用量は人それぞれですが、もし興味が湧いて参考の一つとなれば幸いです。
以下、順不同に感想とメモ。
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01《Classical》Over the Rainbow: Songs and Duets - Will & Kate James《2020》
リリース日 : 2020 / 12 / 04
レーベル : Convivium Records
ジャンル1 (apple musicより) : Classical
ジャンル2 (RYM的推定) : Classical Music, Pop
二人の聖歌隊員による息の合った透き通る声のデュエット
耳を惹かれた三点
・柔らかく透き通った歌声
・息のあったハモリ
・声と楽器の残響を活かした心安らぐサウンド
落ち着く。少年少女合唱団特有のホワイトノイズが混じったような声。その空気を含んだ柔らかい声いい。声のシャリシャリした音の成分が心地いい。
デュエットで二声が絡み合う音楽いいよね。全曲ピアノが参加してるので純粋な二声の無伴奏合唱ではないが、この二人のヴォーカルとピアノの距離感がまた気持ちいい。互いにゆっくり呼吸し合うような親しい距離感のある演奏をしている。
【作曲者・編曲者】
編曲は多く(1,3,5,7,9,16)をGeorge Arthurが手掛けている。
George Arthurはイギリスの作曲家。このアルバムではシンプルながら二人のハモリを活かしたいいアレンジを書いている。
他、主な作曲者と編曲者を抜粋すると
2: ブリテン、4: Ivor Gurney、6: シューベルト、8: ラター、9: Edgar Yipsel Harburg、10: ダウランド、11: Bob Chilcott(arr)、12: Ralph Vaughan Williams(arr)、14: Morten Lauridsen、15: Randy Newman がある。
【奏者・エンジニア・録音空間】
奏者は以下の通り
・Kate James / ソプラノ
・Will James / トレブル
・Malcolm Archer / ピアノ
ゲスト
・Sarah Butcher / チェロ / 9
ヴォーカルのKate JamesとWill Jamesは、イギリスを拠点に活動している聖歌隊の歌手。二人は姉弟であり、姉のKate Jamesはソプラノ、ヴィオラ、ヴァイオリン奏者。弟のWill Jamesはトレブル、コントラバス、チェロ奏者。
ピアノのMalcolm Archerはイギリスを拠点に活動する作曲家、指揮者、オルガニスト。過去11年間、教会で音楽監督をしていた。また現在は合唱曲を多く手掛け、合唱団の指導も行っている。
エンジニアは以下の通り
[録音] Ronan Phelan (作品一覧)
[録音補佐] Michele Catri (作品一覧)
[マスタリング] Adaq Khan (作品一覧)
録音の音響空間は、イギリス、ロンドンのMaster Chord Studios。(作品一覧)
[参考]アルバムの詳細と紹介文はこちら(Convivium Records)
[参考]セッションの様子はこちら ※収録曲とは異なる(Youtube)↓
動画では3番目(16:38)と、6番目(32:27)で姉弟がそれぞれ歌っている。
動画はBBCの若者聖歌コンクール(BBC Radio 2's Young Choristers of the Year)の様子。ここで上げた2019年のコンクールでは作曲家のボブ・チルコットが審査委員長をしている。ちなみに今回(2020年)は作曲家のジョン・ラターが審査委員をしている。豪華ね。こんなイベントがあったのね。さすがイギリス。
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[元の記事] 2021年1~2月の耳がひかれたアルバム13枚
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02《Classical》クラロスクーロ (Claroscuro) - Capella De Ministrers & Carles Magraner《2021》
リリース日 : 2021 / 04 / 01
レーベル : CDM (Capella De Ministrers)
ジャンル1 (apple musicより) : Classical
ジャンル2 (RYMユーザー投票より) : Spanish Classical Music, Baroque Music, Renaissance Music
『ドン・キホーテ物語』を軸にした、演奏空間を丸ごと体験するスペイン黄金時代(16-17世紀)の調べ
耳を惹かれた三点
・奏者の繊細なアーティキュレーション
・呼吸のような身体に同調しやすいグルーヴ
・残響音の長さからなる、大切に扱われた間と余韻
音の立体感がいいなあ。楽器の響きと場の空気感がよく録られている。抑えながらも芯がある響きの重ね方、丁寧で繊細な響きがいい。
ナクソスのアーティストの紹介に精巧な自然派録音による躍動感と書いてあり、その言語化になるほどとなった。このアルバムでもその躍動感がありありと体験できる。
残響音の魅力がよく分かる演奏として特に7.De tu vista celosoが心地よく、かつ面白かった。
【作曲者】
作曲者は以下の通り
Lucas Ruiz de Ribayaz、ミヒャエル・プレトリウス、José Marín、Juan Arañés、ガブリエル・バタイユ、ルイス・デ・ナルバエス、アロンソ・ムダーラ 、ガスパール・サンス、Henry Le Bailly、ディエゴ・オルティス。
アルバムではスペインの作曲家の作品が多い。その中フランスとドイツの作曲家が混ざる形となっている。時代としては、主にバロック時代の音楽で、いくつかルネサンス時代の音楽がある。
作曲家のwikiを見ていくとJosé Marínの項で殺人て。ジェズアルド以外にも殺人を犯した当時の作曲家いたのね。探せば意外といそう。
アロンソ・ムダーラはカール5世の随行員としてイタリアへ行ったり、ルイス・デ・ナルバエスはフェリペ2世の多くの旅に音楽家として同行したとありへええとなった。立場の距離はあるだろうけど、なんだかこう旅に同行するっていいね…。
少し脱線するけれどフェリペ2世はシヴィライゼーションのイメージが最近強くなってきた。宗教戦争プレイの申し子フェリペ二世。
【奏者・エンジニア・録音空間】
奏者は以下の通り
● カペリャ・デ・ミニストレルス (Capella De Ministrers) / 古楽器使用
・Delia Agúndez / ソプラノ
・Carles Magraner / ヴィオラ・ダ・ガンバ、ディレクター(音楽監督)
・Robert Cases / バロック・ギター、テオルボ
・Sara Águeda / ダブルハープ
演奏団体はカペリャ・デ・ミニストレルス (Capella De Ministrers)。1987年にスペインのバレンシアで設立された古楽演奏団体。中世から19世紀までのスペイン音楽の研究と演奏を行っている。
奏者で気になったのが、ソプラノのDelia Agúndez。透明感と高音の伸びがいいなあ。つんざく感じがない耳に優しい歌声のソプラノ。
エンジニアは以下の通り
[ミックス、マスタリング] Jorge G. Bastidas (作品一覧)
このJorge G. Bastidasは、この団体のアルバムのエンジニアリングを数多く担当している。
録音の音響空間はスペイン、バレンシア州のレケナにあるサンタ・マリア教会 (Santa Maria de Requena, al País Valencià)。(作品一覧)
[参考]アルバムの詳細と紹介文はこちら(ナクソス・ミュージックストア / 楽天)
わお興味深い。上のリンクから曲目のタイトルを読むとぼんやりだがドン・キホーテ物語が浮かび上がってくる。歌詞もシンクロしてるのかしら。
詳しくは小冊子の解説にあるだろうか。ただ和訳された日本語版は未だ出ていないとのこと。
[参考]MVはこちら ※録音場所と異なる(Youtube)↓
[参考]セッションの様子はこちら ※収録曲とは異なる(Youtube)↓
メンバーはソプラノ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、バロックギターの奏者がこのアルバムと同じ。
二曲目の猫の歌が面白かった。真ん中の踊るおじさん誰!?誰なの!?怖いよおッ!(定型)
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[関連]過去の作品の記事はこちら。モラレス: 哀歌集 (2020/03発表)
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03《Jazz》Dust to Stars - Leon Phal Quintet《2021》
リリース日 : 2021 / 04 / 30
レーベル : Kyudo Records
ジャンル1 (apple musicより) : Contemporary Jazz
ジャンル2 (RYMユーザー投票より) : Jazz
電子音楽との融合が心地いい、調和とグルーヴを併せ持つサックス奏者をリーダーとしたジャズカルテット
耳を惹かれた三点
・音色の丁寧な選択とその調和
・ミドルテンポながらも推進力を持つ、ビート感のある演奏
・電子楽器の演奏への混ざり具合、そしてその心地よさ
音が心地いい。各楽器の音色の選択がいい。このアンサンブルのハモリすき。演奏のスリリングさを保ちながら、美しく音が調和してるのがいい。それが結果として、聴いてて落ち着く。
それと同時にグルーヴが気持ちいい。調和があるけれど、小さく演奏がまとまる訳ではなく、音楽が先へ先へ進んでく。推進力ある。
全体の響きとビートの気持ちよさを支える電子音もいいなあ。Gauthier Touxのキーボードが響きの空白を埋めていて、音楽の充実感を出してる。また、07.Eternal Youthでは主役級にゴリゴリ弾いていて格好いい。好き。
【奏者・エンジニア・録音空間】
奏者は以下の通り
・Léon Phal / サックス、作曲
・Zacharie Ksyk / トランペット、トロンボーン
・Gauthier Toux / キーボード、シンセサイザー
・Arthur Alard / ドラムス
・Rémi Bouyssière / コントラバス
このクインテットのリーダーはLéon Phal。フランスのサックス奏者。
エンジニアは以下の通り
[録音、ミックス] Benoît Corboz (作品一覧)
[マスタリング] Greg Dubuis (作品一覧)
録音の音響空間はスイス、ローザンヌの音楽スタジオ「Studio du Flon」。
(作品一覧)
このアルバムではキーボーディストでテクノ音楽の大ファンであるGauthier Touxが伝統的なジャズとこのエレクトロニカな雰囲気を融合させるのに一役買っているとのこと。へええ。
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04《Alternative》Anoushka Shankar - Love Letters P.S.《2021》
リリース日 : 2021 / 06 / 04
レーベル : Decca (元は2020年にMercury KXでリリースされた)
ジャンル1 (apple musicより) : Alternative
ジャンル2 (RYMユーザー投票より) : Art Pop, Hindustani Classical Music
インド古典音楽と現代ポピュラー音楽の融合の一つのかたち
耳を惹かれた三点
・シタールとインド打楽器の心地いい音色と演奏
・クリアさと空間を感じさせる残響、それを共に併せ持つ録音
・インド古典音楽と現代ポピュラー音楽の野暮さを感じさせない混ざり具合
とにかく響きがいいなあ。シタールの響きが耳を惹く。シタールのうねる音が心地いい。ガタムやインドの打楽器のリズムと響きもいいなあ。インド古典音楽はあまり数を聴いたことがないので比較して考えられないが、とにかくその楽器たちのアンサンブルがもたらす響きとリズム、その端々のアーティキュレーションが心地いい。
全体の録音もいい。美味く混ぜたなあという印象。音は明瞭で、残響の快楽もある。音は明瞭なのだが耳に痛く刺さるような硬さはなくて気持ちいい。
曲としてはどれも取っつきやすい魅力に溢れていて、ワールド・ミュージックというよりかはポップスやロックと同じ耳で音の快感を得られる。
レビューの一つに彼女はシタールを脱エキゾチック化(de-exotify)しようとしてきたとあり、その表現がしっくりきた。シタールの活用法を一旦忘れて一から考えるという脱構築の解体と再構築から生まれる現代感みたいなサウンドがこのアルバムにある。
04 Spaceが2分の小品ながらも好き。うねり、ハネるシタールの音の動きが心地良い。シタールのビート感が気持ちいい。
アルバムでは歌詞の言語に英語とインドのパンジャーブ語が使われている。
【奏者・エンジニア・プロデューサー】
奏者は以下の通り
・Anoushka Shankar / シタール
・Pirashanna Thevarajah / ガタム、 パーカッション
ゲスト
・Shilpa Rao / ヴォーカル
・Ayanna Witter-Johnson / チェロ
・Ibeyi / バックボーカル
・Nina Harries / ダブルベース
Anoushka Shankar(アヌーシュカ・シャンカール)はイギリスを拠点に活動するインド古典音楽をルーツとしたシタール奏者・作曲家。
Pirashanna Thevarajahはインド古典音楽の打楽器を得意とするパーカッション奏者。ムリダンガム、カンジーラ、ガタム、Morsingなどを主に演奏する。またKonnakol(インドのリズム歌)にも精通している。
エンジニアとプロデューサーに関しては数が多いのでこちらにリンクを。
[参考]アルバムの詳細と紹介文はこちら ※ノーマル版(TOWER RECORD)
[参考]インタビューはこちら(travel leisure)
[参考]セッションの様子はこちら ※収録曲とは異なる(Youtube)↓
アルバムに参加しているシタール奏者のAnoushka ShankarとパーカッションのPirashanna Thevarajahがこの動画で演奏している。
いい…。インドいい…。
今まで見くびっていた訳ではないが、この記事を書き始めてからインド音楽の魅力に一層惹かれ始めてきた。
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05《Altanative》ゴーストアルバム - Tempalay 《2021》
リリース日 : 2021 / 03 / 24
レーベル : un BORDE
ジャンル1 (apple musicより) : Altanative
ジャンル2 (RYMユーザー投票より) : Psychedelic Pop, Indie Pop, Pop Rock, Neo-Psychedelia
エグさとキャッチーさが織りなす令和の日本語歌謡曲
耳を惹かれた三点
・エグさとキャッチー、緊張と弛緩で織りなす曲の構成の気持ちよさ
・ところどころに配置されるフレーズ、ギミックの面白さ
・歌詞の面白さ、そして一つ一つがすっと染み込むような歌詞
エグいんだけど、ところどころ聴かせどころでポップになる。この緊張と弛緩が癖になる。
あと一曲一曲の音の密度がいいなあ。ずっと演奏と響きの密度が高く曲が進んでいく。響きを満たすシンセと他の縦横無尽に動く楽器のバランスがいい。それと、ところどころ挿入される音のギミック(サンプリング?)もいい。密度高いのに疲れないのはなんでじゃろ。インタビューにそのへん色々と意識してやってたとあったので意図通りなのかもしれない。
あと音の推進力がいいなあ。リズムとグルーヴの気持ちよさかな。音楽が停滞せず前へ前へと進んでく推進力がある。演奏のキレ(特にドラムス)が鋭いのもまたいい。
またベースが全体的に心地いい。05.忍者ハッタリくん、06.春山淡治にして笑うが如くの口ずさみたくなるようなベース好き。
歌詞もいいなあ。この断片的につぶやくような詞の感じは歌い方と相まってどれも好み。特に印象的だった歌詞は以下。
【奏者】
演奏はTempalay。
Tempalayは小原綾斗(Gt, Vo, 作詞作曲)、John Natsuki(Dr)、AAAMYYY(Syn)からなる三人組のロックバンド。後者二人はソロ名義でアルバムを出している。
またベースとしてBREIMENの高木祥太がこのアルバムに参加している。
[参考]アルバムの詳細と紹介文はこちら(TOWER RECORD)
[参考]インタビューはこちら1(金子厚武 / 音楽ナタリー)
なるなる。この気持ち悪さからなる気持ちよさがスッと腑に落ちた感ある。
[参考]インタビューはこちら2(黒田隆憲 / rolling stone japan)
ほんこれ。いいこと言うなあ。
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06《J-POP》光みたいにすすみたい - mekakushe (ヒロネちゃん)《2021》
リリース日 : 2021 / 04 / 21
レーベル : mekakusirecords
ジャンル1 (apple musicより) : J-POP
ジャンル2 (RYMユーザー投票より) : Art Pop, Chamber Pop
透き通った歌声と耳をひく歌の旋律が織りなす心地いい鍵盤ポップス。
耳を惹かれた三点
・透明感のある歌声と、歌詞を語るような歌い方
・キャッチーながら繰り返し何度も聴ける旋律と曲の進行
・一つ一つ耳に残る歌詞のフレーズ
いいなあ。歌の旋律、音程の選び方がいいなあ。歌い方の語尾の上げるのも耳をひきつける。心地いい。
全体的に響きが透き通ってる。各パートの音が調和している。
あとエフェクトの混ぜ方いいなあ。気持ちいい。
02.ペーパークラフトの曲に乗ったここの歌詞好き
07.箱庭宇宙のこの歌詞も
【演奏・プロデューサー・録音空間】
アーティストはmekakushe。シンガーソングライターであり、担当楽器はボーカル・ピアノ・キーボード。前のアーティスト名義は「ヒロネちゃん」で活動していた。作詞作曲も担当。
サウンドプロデューサーは野澤翔太。
録音は全曲宅録。
[参考]アルバムの詳細と紹介文はこちら(TOWER RECORD)
[参考]インタビューはこちら(黒田隆太朗 / real sound)
このリズム感は七五調によるところもあったのね。へええ。
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07《Classical》ヒンデミット: 管楽器のためのソナタ集 (Hindemith: Wind Sonatas) - Les Vents Francais 《2021》
リリース日 : 2021 / 04 / 02
レーベル : Warner Classics
ジャンル1 (apple musicより) : Classical
ジャンル2 (RYMユーザー投票より) : Modern Classical, Neoclassicism
味わいのある旋律と近代的な美しい響きの融合した管楽器とピアノによるヒンデミットのソナタ集
耳を惹かれた三点
・ピアノと管楽器の奏者による丁寧な響きの調和
・今までの録音では分かりにくかった旋律を分かりやすく咀嚼した解釈のフレージングの奏で
・ヒンデミットのソナタいいよね…
演奏の調和が心地良い。生きた対話のような各楽器のフレージングがいい。一つ一つの音、節の思考を腑に落ちさせてくれる。
ヒンデミットいいよね…。各音程の距離感が美しくて好き。個人的にはヒンデミットの旋律にはノスタルジックさを感じる。なんだか胸がキュッとなる旋律。曲の各声部を歌うとこの世ではない異世界への謎の郷愁を感じる。旋律はセンチメンタルでもあるのだが、感傷的になりすぎないドライで構造的な美しさがある。
このアルバムを聴いて、ヒンデミットは感覚的にくるなあ。エモいなあ。サウンドが格好良いなあ。と改めて思った。
近年のヒンデミットの管弦楽&ピアノのソナタの録音の中でもこのアルバムは調和とフレージングが特に丁寧で明確になっており聴き応えがある。
と書いたすぐ翌々月にまた同じ管楽器ピアノソナタの良い演奏のアルバムが別の奏者から出ていた。レーベルはブリリアント・クラシックスから。Spotifyはこちら。これもフレージングがいい。こっちは少し遅めにタメを効かせて聴かせてくれている。両方を聴き比べすると楽しいぞよ。
二つのアルバムはどちらも良いのだが、録音が正反対なのでそこに好みが出ると思う。この記事で取り上げてるアルバムは残響音ごと録った柔らかい空間の響きがある。翌々月に出た二つ目のアルバムは楽器の音がダイレクトにマイクに乗っている。楽器が非常に近く、アーティキュレーションの細部を聴きとりやすい。お好みでどうぞ。
【作曲者】
作曲者はパウル・ヒンデミット (Paul Hindemith)。生没1895-1963年。ドイツの作曲家、指揮者、ヴィオラ奏者、教育者、理論家。第二次世界大戦のさ中はスイス亡命ののちアメリカに亡命して活動し、後年はヨーロッパに戻り、スイス、モントルー近郊のブロネに移り住み活動した。
このアルバムの曲が書かれた時期は1936~1942(1943?)年であり、これはWW2中のドイツ在住とスイス亡命(1938)とアメリカ亡命(1940)の期間にあたる。作風も初期の前衛さ強めから、比較的耳馴染みのよい曲に移ってる時期にあたる(それでも当時の近代クラシック音楽らしく従来の調和を崩した調和、その刺激的なアンバランスさに満ち溢れてるが)。
下記にアルバムの曲とその作曲年代をメモる
1-3 フルート・ソナタ(1936) / ドイツ在住
4-5 オーボエ・ソナタ(1938) / スイス亡命
6-9 クラリネット・ソナタ(1939) / スイス亡命
10-11 バスーン・ソナタ(1938) / スイス亡命
12-16 アルトホルン・ソナタ(1943) / アメリカ亡命
※レーベルによるアルバム紹介では曲の書かれた時期は1936~1942とあったがアルトホルン・ソナタの作曲時期を調べると1943年と書いてあった。パッと見つからなかったけど楽譜改定前、改定後とかなのかな。どうなんじゃろ。要調べ。
ちなみに最後のアルトホルンソナタでは奏者がそれぞれ読む朗読が挟まってる。(Ⅳ. Das Posthorn)
英訳はこちら
([参考] The Mysteries of Hindemith's Althorn Sonata. / The Free Library)
ゆる意訳すると、混乱して忙しく騒がしい世の中にて、長続きする、穏やかで落ち着いて、意味のあるものをつかんでください。それを新たに見つけ、それを保持し、大切にしてくださいと言ってる。そして朗読のあとにその時代(WW2の戦時中、技術革新が続く時代)を表すような速く騒がしい曲(V.Lebhaft)が流れる。そして間に挟まれる牧歌的でゆっくりした曲調がこれまた耳を惹く。へええ。知らなかった。そしていいことを言うなあ。
上の解説を読んだけれど面白いなあ。曲に秘められたモールス信号の「誰も全てを知ることは出来ない」て。こんなんよく出来たミステリー小説じゃないですか。
ちなみに詩の日本語訳については音楽之友社から出てる楽譜にも記載されている。一部だがリンクから曲の解説の試し読みをすることが出来る。これもまた面白かった。あとで買って読んでみよ。
【奏者・録音空間】
奏者は以下の通り
● Les Vents Francais / 木管アンサンブルグループ
・Emmanuel Pahud / フルート
・Francois Leleux / オーボエ
・Paul Meyer / クラリネット
・Gilbert Audin / バスーン
・Radovan Vlatković / ホルン
● Éric Le Sage / ピアノ
Les Vents Francaisはフランスの木管アンサンブル。演奏に歌心あっていいなあ。フレージングが良くて聴かせるところを聴かせてくれる。そして耳だけで聴いて構造が分かりやすいように演奏してくれる。声部のそれぞれのフレーズの区切りが分かりやすく、かつやりすぎて陳腐までいかない調度いいラインを提示してくれる。
このアーティストは去年のアルバムRomantiqueも良かったのでオススメ。当時はタイミングを逃して記事に載せてなかったが、改めて聴くといいなあ。
ピアノはÉric Le Sage。フランスを拠点に活動している。これまた管楽器と息のあったいい対話をしている。
録音の音響空間はドイツ、ミュンヘンのバイエルン放送スタジオ (多分第2スタジオの方で録音) (München, Studio, Bayerischer Rundfunk)。(作品一覧)。
[参考]アルバムの詳細と紹介文はこちら(Warner Music Japan)
なるなる。
[参考]セッションの様子はこちら ※収録曲とは異なる(Youtube)↓
36:23からヒンデミットのKleine Kammermusik(小室内音楽) op.24, no.2を演奏している。
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08《Classical》ビーバー: レクイエム~17世紀ドイツ語圏の教会音楽 (Biber: Requiem) - Vox Luminis, Freiburger Barock Consort, Lionel Meunier《2021》
リリース日 : 2021 / 02 / 26
レーベル : Alpha
ジャンル1 (apple musicより) : Classical
ジャンル2 (RYMユーザー投票より) : Baroque Music, Christian Liturgical Music, Choral, Chamber Music
丁寧で伸び伸びとした声楽と器楽の融合に耳を委ねさせる、バロック時代のドイツ語圏の北と南のつながりを概観する教会音楽集
耳を惹かれた三点
・声楽と器楽の繊細なハモリとその心地よさ
・音の膨らみ(cresc.)がもたらす高揚感、その自然な処理の丁寧さ
・ビーバーとフックスの声楽曲いいよね…
うわあ全体のハモリが気持ちいい。耳がゾクゾクする。フレージング、より具体的にいうと自然に膨らむ呼吸のようなクレッシェンドが気持ちいい。音の音量的な膨らみがハモリの倍音の層的な膨らみを伴いドッと押し寄せてくる感じが心地いい。音の洪水にブワッと意識が巻き込まれていく。これは作曲的な良さも含まれるけれど、その楽譜の魅力を最大限に引き出したともいえる。ああ心地いい。
このアルバムの軸となるビーバーのレクイエムいいよね。聴いてると自然と各パートを口ずまさせるキャッチーさがある。最初のベルンハルトの曲と、終わりのフックスの曲も良かった。
【作曲者】
作曲者は以下の通り
・クリストフ・ベルンハルト (Christoph Bernhard) / 1628-1692 / ドイツのバロック音楽の作曲家、声楽家 / 1-2
・Johann Michael Nicolai / 1629-1685 / ドイツのバロック音楽の作曲家 / 3
・ハインリヒ・ビーバー (Heinrich Ignaz Franz von Biber) / 1660-1741 / オーストリア、チェコのバロック音楽の作曲家、ヴァイオリニスト / 4-9
・ヨハン・ヨーゼフ・フックス (Johann Joseph Fux) / 1660-1741 / オーストリアのバロック音楽の作曲家、オルガン、チェンバロ奏者 / 10-11
1、2曲目を飾るクリストフ・ベルンハルトは初めて知ったが、いい曲書くなあ。声楽家なだけあって身体的に分かりやすい。聴いて軽く口ずさみたくなるような歌うときの身体的な快楽に溢れてる。各声部の絡み合い具合も気持ちいい。「ハインリヒ・シュッツの監督するザクセン選帝侯の宮廷楽団で歌手を務めた」とあり、へええとなった。そんな繋がりあったんだ。
【奏者・エンジニア・プロデューサー・録音空間】
奏者は以下の通り
● Vox Luminis / 声楽アンサンブル・Victoria Cassano, Perrine Devillers, Sara Jäggi, Cressida Sharp,
Zsuzsi Tóth, Stefanie True / ソプラノ
・Alexander Chance, Jan Kullmann / アルト
・Robert Buckland, Philippe Froeliger / テナー
・Lionel Meunier, Sebastian Myrus / バス
● Freiburger BarockConsort / 古楽器演奏団体
・Veronika Skuplik, Petra Müllejans / ヴァイオリン
・Christa Kittel, Werner Saller / ヴィオラ
・Hille Perl / ヴィオラ・ダ・ガンバ
・Anna Schall, Marleen Leicher / コルネット
・Simen van Mechelen / アルト・トロンボーン
・Miguel Tantos Sevillano / テナー・トロンボーン
・Joost Swinkels / バス・トロンボーン
・Carles Cristobal / ドゥルシアン
・James Munro / ヴィオローネ
・Lee Santana / リュート
・Torsten Johann / オルガン
● Lionel Meunier / 芸術監督(artistic director)
Vox Luminisは、2004年にベルギーで設立された声楽アンサンブル団体。17世紀から18世紀初頭の英語、イタリア語、ドイツ語のレパートリーを専門としている。
団体の創設者でありこのアルバムの総指揮はLionel Meunier。声楽家のバスでもある。リコーダーにも精通している。
Freiburger BarockConsortは、1987年にドイツで設立された古楽器演奏団体。ルネサンスと初期バロック音楽を専門としている。またその中でもイギリス、ドイツ、オーストリア、イタリアのコンソート音楽を中心に演奏している。
エンジニアとプロデューサーはAline Blondiau。
音楽プロデューサー(recording producer)、編集、マスタリングを担当している。(作品一覧)
録音の音響空間は、ベルギー、ボーファイの洗礼者聖ヨハネ教会(Église Saint-Jean l'Évangéliste (Beaufays, Belgium))。 (作品一覧)。
このBeaufaysの教会、いい響きね。去年のベストアルバムに選んだGraindelavoixによるジェズアルドのアルバムもここでの録音だったのに驚いた。
【参考】アルバムの小冊子はこちら ※Mediaタブ→Download Bookletより開く (Chandos)
[参考]アルバムの詳細と紹介文はこちら(ナクソス・ミュージックストア / 楽天)
[参考]Vox luminisのセッションの様子はこちら ※収録曲とは異なる(Youtube)↓
[参考]Freiburger Barock Consortのセッションの様子はこちら ※収録曲とは異なる(Youtube)↓
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[関連1]過去の作品の記事はこちら。ハンマーシュミット: モテット集 (2020/09発表)
[関連2]過去の作品の記事はこちら。シャルパンティエ: オルフェ、冥府へ (2020/01発表)
[関連3]過去の作品の記事はこちら。ドゥルツィアンとボンバルド (2020/10発表)
[元の記事] 2021年1~2月の耳がひかれたアルバム13枚
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09《Classical》テーブルのマドリガーレ ~ロッシ: マルチトーナル・マドリガーレ集 (Madrigali al tavolino) - Ensemble Domus Artis & Johannes Keller《2021》
リリース日 : 2021 / 06 / 18
レーベル : Glossa
ジャンル1 (apple musicより) : Classical
ジャンル2 (RYM的推定) : Baroque Music, Chamber Music
分割鍵盤と声の豊かなハモりによって浮かび上がるイタリア・バロック音楽の作曲家ロッシのマルチトーナルのマドリガーレ集
耳を惹かれた三点
・ふくよかな響きとその清潔なハモリ
・横ノリのゆったりしたグルーヴ
・一人ひとりの声質の調和、そして同じくらい有機的に調和する鍵盤楽器
うわあふくよか。暖かく穏やかな響き。それでいて重厚で密な歌声で空間を包んでいる。音楽も推進力を持って軽やかに旋律の緩急のままに進んでいく。
定期的にどこかでこういう演奏がされていたら仕事終わりに毎回通いたくなる。そんな音楽の空間。疲れた日にふらっとこの豊かな響きに浸りに行きたくなるような、そんな生活の一部になる演奏。心地いい。
【作曲】
作曲はミケランジェロ・ロッシ(Michelangelo Rossi)(1601-1656)。イタリア・バロック音楽の作曲家、ヴァイオリン、オルガン奏者。
【奏者・エンジニア・録音空間】
奏者は以下の通り
●Domus Artis Ensemble / 合唱団体
・Lina Lopez / ソプラノ
・Florencia Menconi / メゾ・ソプラノ
・Dániel Mentes / カウンターテナー
・大野 彰展 (Akinobu Ono) / テノール
・Breno Quinderé / バリトン
・Csongor Szántó / バリトン
●Johannes Keller / 音楽監督、アルチオルガノ(Arciorgano)演奏、クラヴェムジクム・オムニトヌム(Clavemusicum omnitonum)演奏
合唱を担当してるのはDomus Artis Ensemble。2016年に設立された団体。主なレパートリーは16世紀から17世紀初頭。現在スイスを拠点に活動している。メンバーはアルゼンチン、ブラジル、ハンガリー、日本など、さまざまな国のミュージシャンで構成されている。
また音楽監督、通奏低音を担当してるのはJohannes Keller。スイスのバーゼルを拠点に活動している鍵盤奏者。
研究として16世紀から17世紀にかけてのクロマチック・エンハーモニック(chromatisch-enharmonische) の楽器と音楽を対象としている。
また2015-2017年には、バーゼル音楽大学とバーゼル・スコラ・カントルム(大学)の研究プロジェクト「Studio31」の責任者として1オクターブあたり36鍵と31鍵を持つルネサンス時代のオルガンとチェンバロの再構築に取り組んでいたとのこと。
エンジニアは以下の通り
[録音、ミックス、マスタリング] Johannes Wallbrecher (作品一覧)
録音の音響空間はスイスのチューリッヒ大放送スタジオ(Zurich (Grosses Radiostudio), Switzerland)。
当時のマドリガーレの演奏の風習についての詳細がアルバム小冊子にあった (chandos提供 / Mediaのタブより開ける)。
長いテーブルで歌手と客は混ざり合って座り、テーブルの先にはオルガン(arciorgano)がある。ただし参加者の数は少なめの、最大でも30人までにすべきで、それ以上になると演奏者と聴衆で二つに分かれてしまいがち(一体感がなくなる)なので避けるべき、みたいなことが書いてある。面白い。
このアルバムの録音ではその当時のような親密な環境を再現するように歌っているとのこと。
改めて触れるけれど、すごい鍵盤楽器持ってきたなあ。
ちょっと楽器についても掘ってみる。
調律の知識が弱いため聞き流し程度に。
【参考 / 画像引用元】
1. 音楽監督・奏者によるアルバムにおいての楽器の説明はこちら (Studio31+)
2. 楽器の一般的な説明はこちら (Studio31+)
3. 音楽監督・奏者によるアルキオルガノの説明はこちら (VoxHumana)
・1オクターブあたり36の鍵盤を持つオルガン「アルチオルガノ(Arciorgano)」について
アルバムで演奏されたのは、1555年と1561年にNicola Vicentinosが書いた仕様書に基づいてバーゼルで復元された楽器とのこと。
1オクターブ36鍵盤は上段17+下段19からなっていて、ミーントーン(mitteltönig gestimmt)により調律されてる。メインの下段だけだとミーントーンの特性の完全五度と短三度の濁りがあるから、そこの和音の響きを純正(ピュア)にさせたい時はピッチを変えた上段の鍵盤を混ぜて使うとのこと。へええ昔の人賢いなあ。
・1オクターブあたり31の鍵盤を持つチェンバロ「クラヴェムジクム・オムニトヌム(Clavemusicum Omnitonum)」について
アルバムで演奏されたのは、ボローニャ国際音楽博物館にあるVito Trasuntinoの1606年のオリジナル楽器を元に2016年に再現された楽器とのこと。
調律について。この楽器は1オクターブ31鍵盤あり、このアルバムではミーントーン調律されたとのこと(で翻訳いいのかな)。ちなみにここでは楽器クラヴェムジクム・オムニトヌムは一般的には31平均律で調律していると書いてあった。(ちなみに31平均律はミーントーンとほぼ近い音になる)
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それと当時の特殊鍵盤楽器の歴史についてはこのnoteの記事も面白く、参考になった。
ジェズアルドの鍵盤曲"Canzon franzese del Principe"について、『もしかしたらアルキチェンバロによる演奏を意図したものか、あるいはアルキチェンバロの響きにインスパイアされたものかもしれません』、と書いてるのが興味深かった。
(この方、影踏丸さんの古楽記事は読むと世界が広がって、自分のような学び初めの右も左も分からない者にとってはありがたい。)
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【参考】アルバムの小冊子はこちら ※Mediaタブ→Download Bookletより開く (Chandos)
[参考]セッションの様子はこちら ※収録曲とは異なる,一部メンバーが異なる(Youtube)↓
響きがいいなあ。声の調和がいい。柔らかくも重厚。内声も外声も過不足なく豊かに調和し干渉しあってる。たゆたうような緩急のリズムの流れもいいなあ。心地よい。落ち着く…。
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10《Classical》モンテヴェルディ: 「恋人の涙」~愛と悲しみのマドリガーレ集 (Lagrime d'amante) - La Compagnia del Madrigale《2021》
リリース日 : 2021 / 05 / 07
レーベル : Glossa
ジャンル1 (apple musicより) : Classical
ジャンル2 (RYMユーザー投票より) : Baroque Music, Renaissance Music, Madrigal
ルネサンス~バロック時代のイタリアの作曲家モンテヴェルディの合唱曲(マドリガーレ)集
耳を惹かれた三点
・丁寧な小さい音(pp)の奏で方に魅せられる演奏
・声のブレンドとそのハモリの重なりの綺麗さ
・響きのふくよかさ
綺麗。ふくよか。清潔なハモリ。落ち着く。
この清らかさと静寂の感じはなんと表せばいいのだろう。清幽とでもいうのかな。ガラス細工のような透明で触れると壊れてしまいそうな調和の取れた響きの構築がある。落ち着く。頭の中がスッと鎮まる。とにかくハモリがいい。そして小さい音の奏で方とその聴かせ方がいいなあ。功夫ある。小さい音は神経とエネルギー使うのだがそれを感じさせないぐらい優雅に奏でている。
モンテヴェルディは、聴くのは好きだけど歌うのと覚えるのが未だ慣れない作曲家の一人。モンテヴェルディの合唱曲はとにかく各声部が歌い手の歌心を試す旋律!旋律!旋律!で作られているイメージで、演奏するときは所々のフレーズ感を掴まないとなかなか生命の吹き込まれた音楽にならなかった。ただその分うまくいくと得られる快楽 ――曲全体がゆったりと波に任せてたゆたう心地よさ―― がある。いいよね…。
10 Ah Dolente partita, ah fin de la mia vita, SV 75 いいなあ。歌いたい。始めのぶつかる部分や、その後の全体を支配するこの響きの雰囲気いいなあ。
【作曲者】
作曲家はクラウディオ・モンテヴェルディ(Claudio Monteverdi)。ルネサンス音楽とバロック音楽の過渡期に当たる16世紀から17世紀にかけてのイタリアの作曲家、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者、歌手。
【奏者・録音空間】
奏者は以下の通り
● La Compagnia del Madrigale / マドリガーレ・アンサンブル
・Rossana Bertini / ソプラノ
・Francesca Cassinari / ソプラノ
・Elena Carzaniga / アルト
・Giuseppe Maletto / テノール
・Raffaele Giordani / テノール
・Daniele Carnovich / バス
・Marco Scavazza / バス
La Compagnia del Madrigaleはマドリガーレを専門とするイタリアのヴォーカル・アンサンブル。2008年に設立された。
この団体の2019年のチプリアーノ・デ・ローレの曲を歌ったアルバムは個人的に2019年のベストアルバムになっている。ハモリが清潔で心地よかった。
録音の音響空間はイタリア、トリノの聖ロッコ&セバスティアーノ信心会 (Cumiana (Confraternita dei Santi Rocco e Sebastiano), Italy)。
[参考]セッションの様子はこちら ※収録曲とは異なる、空間は同じ(Youtube)↓
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11《Classical》フィリップ・ヴェルドロ: 4声のマドリガル集 (Verdelot: Madrigals for 4 Voices) - Profeti Della Quinta《2021》
リリース日 : 2021 / 01 / 15
レーベル : Pan Classics
ジャンル1 (apple musicより) : Classical
ジャンル2 (RYMユーザー投票より) : Renaissance Music, Madrigal, Polyphonic Chant
まっすぐで澄んだハモリによるイタリア・ルネサンスの作曲家ヴェルドロのマドリガル集
耳を惹かれた三点
・残響の少なさによる声の細部がしっかりと見える録音
・各メンバーの声質の調和とピッチの調和の繊細さ、そして迷いのなさ
・バス(Elam Rotem)の声と演奏が心地いい。周りの演奏を引き立てている。
落ち着く。響きが調和とれてていいなあ。一人一人の声も真っ直ぐ芯の通った発声で迷いない。旋律の始まりはスッとブレずに出て、旋律の終わりの音の収め方も丁寧。こういう迷いなく音の出だしをスパッと発声できると気持ちいいよね。
残響が抑えられてる録音というのも注目の一つ。残響が少ないと細部の快楽を味わいやすい分、気にしなくてもいい揚げ足取りのような部分に聴者の耳が向かってしまうリスクも高くなる。だが、このアルバムではそのアーティストの功夫ゆえかどうでもいいことが気にならず演奏の世界に身を委ねることができた。終始、心地良い音の調和の世界が続き癒やされる。
また合唱もいいが、各曲の間に挟まれる器楽演奏もいい。この残響を抑えた録音では特に映える。
【作曲者】
作曲者はフィリップ・ヴェルドロ(Philippe Verdelot)。生没年(1480〜1485)-(1530〜1540)。ルネサンスのフランドル楽派の作曲家。フランス出身であり、また生涯のほとんどはイタリアで暮らした。
ヴェルドロのマドリガーレは頻繁に版を重ねられ、16世紀ヨーロッパの各地に流通したことから、ヴェルドロは非常に人気のある作曲家であったと推察される、というようなことが書いてありへええとなった。
【奏者・録音空間】
演奏はEnsemble Profeti della Quinta。イスラエルのガリラヤ地方で設立された古楽声楽アンサンブル団体。現在スイスのバーゼルを拠点に活動している。設立年は明示されてないが、最初のアルバムリリースは2009年。
この団体は16世紀から17世紀初頭の声楽レパートリーを中心に活動している。録音にはルネッサンス後期の作品が多い。団体の目的として、現代の聴衆に向けて当時の演奏方法を考慮しながら、生き生きとした表現力のある演奏を目指しているとのこと。
音楽監督(director)はElam Rotem。このアルバムではバスも担当している。先の耳を惹かれた三点でも書いたが、耳を惹くいい声いい演奏だった。
この団体Ensemble Profeti della Quintaの設立者でもある。またチェンバロ奏者、作曲家でもある。
あと古楽情報ソースサイト Early Music Sourcesも運営してるとのこと。サイト名義で顔を出しながら動画も発信している。この人だったのね。どの動画も面白い。
録音の音響空間はスイスのヴァルデンブルクのスタジオ (Studio Waldenburg, Switzerland)。
古楽専用の地下録音スタジオということで、古楽器の小さい音もしっかり録れる完全な遮音性(外部ノイズなし)と、残響は短いが乾いてない響きという音響空間の特性があるとのこと。
※初め録音空間の詳細がヴァルデンブルクという地名のみであとは不確定だったが、Youtubeの録音状況と写真が一致したので確定とみなし載せた。
ほうほう。
サムネイルはジャケット画像だけどところがどっこい演奏動画あるよ。
微かだが、楽譜の書き込みが見える。書き込みが見たいわ!もっと見せてちょうだい!
余談だが、演奏会をしたあと、その書き込みした楽譜のコピーを出口で販売したら一定数の物好きは買ってくれそう。自分は欲しい。問題は楽譜の著作権とそれが切れてたとしてもコピーしての楽譜の二度売りは可能かどうかということ(駄目そう)。この解決はタブレット上の楽譜でレイヤーを分けて書き込んでもらってあとでその書き込みのみを販売とかかな。実物だと透明な剥がし可能なシールの上に書き込んでもらうとか。
と妄想してみた。冗談半分に。
まあとにかく人の楽譜の書き込みは時々覗いてみたくなるのあるよね。大抵はその人独自の言語で解読不能だけれど覗いてみたい。
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[元の記事] 2021年1~2月の耳がひかれたアルバム13枚
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12《Classical》『優 Yuu』無伴奏ヴィオール作品集(Yuu: Gentleness and Melancholy) - 上村かおり(Kaori Uemura)《2021》
リリース日 : 2021 / 01 / 15
レーベル : Ramée
ジャンル1 (apple musicより) : Classical
ジャンル2 (RYM的推定) : Chamber Music
弦の響きの語らいに聴き入るルネサンス~古典派のバス・ド・ヴィオールの独奏曲集
耳を惹かれた三点
・語るような演奏の緩急と間、それから生み出されるグルーヴ
・聴き入る強度をもったアーティキュレーションの機微の魅力
・演奏と、空間が共に生むバス・ド・ヴィオールの響きの豊かさ
響きとアーティキュレーションに耳が離せなくなる。耳を澄ます聴覚体験いいよね。落ち着く。
なんだろう、不思議と耳が離せなくなる音楽ってあるよね。自分は聴者として独奏が苦手で飽きてしまうことが多いのだが(集中スキルの欠如)、この演奏は最後まで耳が離せなかった。
この違いはなんだろう。前の旋律との呼応(対話)の間合いによって耳が離せなくなるのだろうか。もしくは残響音との呼応も大きいのだろうか。その演奏の間合いや息遣いに自分も聴きながら同期して没入していた。
耳から入る音を逐次処理していく快感ていいよね。会話や演劇、コントや漫才、落語、朗読と根底を共有する逐次的な音声処理の快楽ってあると思う。このアルバムはその音楽の魅力があった。聴き入っていた。
【作曲者】
作曲者は以下の通り
・トバイアス・ヒューム (Tobias Hume) / 1569-1645 / イギリス・ルネサンス音楽 / ヴァイオル奏者 / 1,2,3
・サント=コロンブ (Monsieur de Sainte-Colombe) / 1640-1701 / フランス・バロック音楽 / ヴィオール奏者 / 4
・サント=コロンブ 息子 (Jean de Sainte-Colombe le fils) / 5,6
・マラン・マレー (Marin Marais) / 1656-1728 / フランス・バロック音楽 / バス・ヴィオール奏者、指揮者 / 8,10,16
・アントワーヌ・フォルクレ (Antoine Forqueray) / 1672-1745 / フランス・盛期バロック音楽 / ヴィオール奏者 / 7,9
・ゲオルク・フィーリプ・テーレマン (Georg Philipp Telemann) / 1723-1787 / ドイツ・バロック音楽 / ヴァイオリン、 オルガン、ハープシコード、リコーダー、リュートなど多くの楽器を演奏 / 13,14,15
・カール・フリードリヒ・アーベル (Carl Friedrich Abel) / 1723-1787 / ドイツ・古典派音楽 / ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者 / 11,12
【奏者・エンジニア・録音空間】
奏者は以下の通り
・上村かおり / バス・ド・ヴィオール
上村かおりはベルギー、フランスを拠点とし活動するバス・ド・ヴィオール奏者。
このアルバムでの使用楽器は
・ヨハンネス・ティールケのモデルによる7弦バス・ド・ヴィオール :フランソワ・ボダール1985年製作
・製作者不詳の6弦バス・ド・ヴィオール(18世紀製オリジナル): ティルマン・ムテジウス修復。
となっている
エンジニアは以下の通り
[録音、マスタリング] Rainer Arndt (参加作品)
Rainer Arndtの参加作品を見るとどれもいいアルバムに携わっていた。どのアルバムも弦の響きの録音がいい。また去年惹かれたこのトゥーマとビーバーの曲のアルバムにも関わっていた。
録音の音響空間は、ベルギー南東部ボラン、聖アポリネール教会(Saint-Apollinaire's church, Bolland, Belgium)。(作品一覧)
[参考]本人のコメントとアルバムの詳細はこちら(ナクソス・ミュージックストア / 楽天)
[参考]セッションの様子はこちら ※収録曲とは異なる(Youtube)↓
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[元の記事] 2021年1~2月の耳がひかれたアルバム13枚
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13《Classical》Not Our First Goat Rodeo - Yo-Yo Ma, Stuart Duncan, Edgar Meyer & Chris Thile《2020》
リリース日 : 2021 / 06 / 19
レーベル : Sony Classical
ジャンル1 (apple musicより) : Classical
ジャンル2 (RYMユーザー投票より) : Progressive Bluegrass, Modern Classical, Chamber Music
柔らかく暖かい響きの演奏による気楽に聴けるカントリーポップ
耳を惹かれた三点
・演奏する楽しさに溢れていて聴いてて心が弾む
・柔らかく暖かい響き、そしてその調和の綺麗さ
・ヴォーカル曲の心地よいハモリ
去年聴いたアルバムだが、久々に聴いたらとんでもなく身体に染み込んできたので今回のベストに入れてみた。
心地く心が湧くカントリーポップ。Amazonのジャンルではクラシカル扱いだが、またそれも合っていると思う。歌手Aoife O donovanが参加してる曲が心地いい(3,4,8)。マンドリンのクリス・シーリもボーカルでハモっている。いい声してるなあ。
【奏者・録音空間】
奏者は以下の通り
・Yo-Yo Ma / チェロ
・Stuart Duncan / フィドル、バンジョー、作曲
・Edgar Meyer / ベース、ピアノ、作曲
・Chris Thile / マンドリン、ヴォーカル、フィドル、ギター、作曲
ゲスト
・Aoife O donovan / ヴォーカル
いいよね…このメンバー。一人ひとりがソロとしても活躍してる粒ぞろい。
録音の音響空間はアメリカ、マサチューセッツ州にあるジェイムス・テイラーのスタジオ。
(画像引用元 : jamestaylor.com ※楽器のセッティングは異なる)
ジェイムズ・テイラーのアルバム、やけに音がいいと思ったら自前のスタジオ持ってたのね。わお。
エンジニア(録音・マスタリング作業かな)はRichard Kingが担当(他の参加作品はこちら)。この人は映画作品として、 『マスター・アンド・コマンダー』、『ダークナイト』、『インセプション』、『ダンケルク』、『インターステラー』にも携わってる。名作ぞろいだった。
またエンジニアのエディット作業はGabe Witcherが担当している(他の参加作品はこちら)。Punch Brothersのフィドル奏者。他にこのアルバムのプロデューサーも務めている(Steven Epsteinと共同)。
[参考] インタビューはこちら (atwoodmagazine)
[参考]リアルタイム遠隔セッションの様子はこちら(Youtube)↓
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14《Avant-Garde Jazz》LIVE - Petter Eldh, Koma Saxo《2021》
リリース日 : 2021 / 04 / 30
レーベル : We Jazz
ジャンル1 (apple musicより) : Avant-Garde Jazz
ジャンル2 (RYMユーザー投票より) : Avant-Garde Jazz, European Free Jazz
ライブ感と楽器のぶつかり合いを楽しむアヴァンギャルド・ジャズ
耳を惹かれた三点
・力強い音のぶつかり合いから生まれるグルーヴの楽しさ
・ユニゾン的な明快な部分とフリーでアヴァンギャルドな演奏部分が交互に畳み掛けることによるキャッチーさと面白さ
・楽器の掛け合いがとにかく楽しい
演奏のグルーヴ、奏者の勢いがロスレスで聴者に届いてるのいいなあ。妄想でしかないがその場の熱気が伝わってくる。独りよがりではなく奏者の掛け合いの歓び、スリリングさがそのまま聴いてる方にも伝わってくる音楽的強度ある。
初め聴いたときは01.Euro Komaの身も蓋もない祭ばやしのような旋律のユニゾンになんじゃこりゃと思ったが、今ではそれが気持ちいい。初めは単純だが掛け合いが続くにつれて複雑に絡み合い、熱気を帯びてくるのもいい。この辺はフリージャズ、即興演奏の醍醐味だと思う。
熱量の多い演奏なのだが、聴き終わり振り返ってみると、とことんキャッチーだった。そして意外なほどに聴き疲れがしない。その頭で処理せず身体で処理することも可能な音楽というのもこのアルバムの魅力にあると思う。
締めに持ってきた8.Stepp min steppのチョイス良いなあ。聴けば分かるあの曲。フリー味なセッションを積み重ねた後にいきなり流れきて、予想外で吹き出してしまった。そして中盤~後半にかけての複雑化した掛け合いもまた面白い。
【奏者・エンジニア・録音空間】
奏者は以下の通り
●Koma Saxo
・Petter Eldh / ベース、作曲、プロデューサー
・Mikko Innanen / アルトサックス、バリトンサックス
・Otis Sandsjö / テナーサックス、作曲
・Jonas Kullhammar / テナーサックス、作曲
・Christian Lillinger / ドラムス、作曲
演奏はKoma Saxo。5人組のバンドプロジェクト。リーダーはPetter Eldh。ベルリンを拠点に活動しているプロデューサー/ベーシスト。
ベース、ドラムスに対してサックス×3て。そりゃ掛け合いの音が楽しいわけだ。やるねぇ…。
エンジニアは以下の通り
[録音、ミックス、マスタリング] Juho Luukkainen (作品一覧)
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15《POP》Always Like New - Jennifer Nettles 《2021》
リリース日 : 2021 / 06 / 25
レーベル : Concord Records
ジャンル1 (apple musicより) : POP
ジャンル2 (RYM的推定) : Show Tunes
カントリーミュージックの文脈からの張りのある歌声によって演奏されるブロードウェイミュージカル曲集
耳を惹かれた三点
・力強く張りのある歌声とそのビブラート加減
・編曲(演奏)と録音による全体的なサウンドの調和の心地よさ
・原曲のミュージカル曲のキャッチーな旋律
とにかく声のヴィブラートが心地いい。アーティキュレーションも初めにスッと入って、中は膨らんで、終わりは綺麗に収まる、その流麗なフレージングの心地よさある。
また全体的に音がいいなあ。広がりがある。
04.Almost Like Being In Loveは好きな曲。ジャズカバーも多い。このアルバムの演奏もよかった。初めに甘い金属的な高音から入るなんて反則でしょって思うくらい編曲の構成がよかった。
10 Tomorrowは間の取り方がいいなあ。ピアノと声の密接で有機的な二重奏いい…。
【作曲】
原曲のミュージカル作品はこちら
01. "Wouldn't It Be Loverly" - マイ・フェア・レディ(My Fair Lady) - 1956年
02. "Sit Down, You're Rockin' the Boat" - ガイズ&ドールズ(Guys and Dolls) - 1950年
03. "Wait for It" - ハミルトン (Hamilton) - 2015年
04. "Almost Like Being in Love" - Brigadoon - 1947年
05. "It All Fades Away"
- マディソン郡の橋 (The Bridges of Madison County) - 2013年
06. "There's a Sucker Born Ev'ry Minute" - Barnum - 1980年
07. "Oh, What a Beautiful Mornin'" - オクラホマ!(Oklahoma!) - 1943年
08. "Anyone Can Whistle" - Anyone Can Whistle - 1964年
09. "You Will Be Found" - ディア・エヴァン・ハンセン (Dear Evan Hansen) - 2015年
10. "Tomorrow" - アニー (Annie) - 1977年
ブロードウェイといえば、去年3月から閉まってるブロードウェイの劇場が9月に完全再開しましたね。出演者と観客にワクチンの接種証明の提示を義務化しての再開ということで。まあそりゃそうじゃよね。再開はいいことじゃ。ちなみにこのアルバムの録音はコロナ前の2019年6月に開始されたとのこと。
【奏者・制作】
主な奏者は以下の通り
・Jennifer Nettles / ヴォーカル
Jennifer Nettlesはアメリカのシンガーソングライター。カントリーミュージック・デュオのシュガーランド(Sugarland)のボーカルでもある。
また制作・編曲では、Alex Lacamoireが参加している。
Alex Lacamoireはブロードウェイの内外で多くのショーに携わってきたアメリカの作曲家・編曲家・音楽監督・オーケストレーター・指揮者。
(Alex Lacamoireのインタビューはこちら)
[参考]アルバムの詳細と紹介文はこちら(TOWER RECORD)
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おわりに
音楽生活を支えてくれた新譜を教えてくれるでっかいおともだちはこちら。All Music (1, 2)、Rate Your Music (1, 2, 3,)、Spotify (1)、Naxos (1, 2, 3)、Bandcamp (1)、Mikiki (1)、他には各レーベルの公式サイト、その他のキュレーションサイト、個人感想サイト、音楽雑誌などなど。
世に出る新譜を全て吟味すると人生終わるので、この中からかいつまんでゆるく適当に聴いてます。キュレーションサイトと自分の感想がズレてても泣かない(よくある)。
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作曲家の生没年と主な国(出生国と活動国)は主にナクソスミュージックストアから引用してます。
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そういや記事内の「演奏動画」という言葉を「セッションの様子」と書き換えた。これは個人的な感覚(言語にまつわる記憶)に依るところが大きいのだけれど、私はセッションという言葉が好きだ。なんだか一期一会感がある。そもそも私は音楽演奏を相手(もしくは対話相手としての自分)の出した音に臨機応変に反応する営み(もしくは芸事)として面白がっているフシがある。練習でもその場の空気による毎回違う演奏があり、本番でもまたその場の空気によって変わる演奏がある。そういうのいいよね。(その場の空気というのは音響空間だったり、奏者のコンディションだったり)
まあセッションという言葉をめちゃくちゃ押してるような発言をしてるが、実際ではトゥッティもアンサンブルも合わせも「ハモろうぜ!」もどれも奏で合うときの掛け声として気持ちが高まったりする。まあとりあえずその中でセッションという言葉を今の気分で使ってみたかったということで。ちなみに映画のセッションはまだ見てない。オワリ
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今やってるOxygen Not Includedという密閉空間での熱と酸素(気体)の管理ゲームが面白い。これで数日睡眠時間が無くなって廃人になった。
閉じられた家で生活したら二酸化炭素(死)が床下から高まっていくよね。酸素を作るために水を電気分解したら副産物として水素(死)が天井から溜まっていくよね。気体を作りすぎると気圧が高くなりすぎるよね。部屋ごとに気圧の差が激しいと鼓膜破裂しちゃうね。そもそも機械を稼働させると熱が生まれて家が生存できないほど暑くなるよね。トイレから病原菌も広まってきたよ。起死回生に家を拡張したら隣の部屋は塩素でいっぱいだよ。病原菌は消毒できるね。呼吸はできないね。さあ快適な生活のためにはどうする?どう調和させる?ってゲーム。
とにかく面白かった。
ケベックGAMEというこの実況者さんの動画を今見てる。灼熱惑星での開拓シリーズが好き。
後このサイトがガチ過ぎて引いた(いつも参考にしてます。ありがとうございます。)
自分のプレイはというと、ぶっつけ本番でろくに調べずやった初めてのコロニーは長時間の延命措置の後に水素と塩素で調和が崩れて壊滅しました。ありがとうございました。失敗は成功の母ですね…次に期待…。やる気の出るスペースXの失敗集を貼る。
あと自分の失敗うpする。塩素を自然発生させる石を知らずに放置してしまった。あと水素の回収が間に合わなかった。
マゼンタは水素、青緑は塩素、水色が酸素。
呼吸不能の環境ヨシ!
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恒例で投稿してから1週間はゆるく推敲してます。ゆる推敲オワリ(10/20)。
こうした方がいいよというアドバイス、おすすめのアルバム、訂正、要望、質問などがあればここへ気軽にマシュマロを投げてください(匿名)。
最後まで読んでくれてありがとうございます。
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