クロ現で捏造報道されて1年。なぜ人はNHKに騙されるのか?を考えた
NHKにはひどい目に逢わされましたが、皆さまのおかげであれから1年、どうにかやってこれました。理不尽と闘っている人が世の中にはたくさんいるのだと知り、たいへん心強く、励まされる思いです。
被害の詳細は別記事をご覧いただくとして……端的に言って、制作側の都合で別人に仕立てられてしまったのです。嵌められたんですよ、公共放送に。「人生オワタ」と思いました。もちろん猛抗議しましたが。
捏造発覚後のNHKとのやり取りは、驚きの連続でした。世間一般の常識がまるで通用しない。それでいて、NHK内部でしか通用しないローカルルールを押し付けてくる。頑として非を認めない……。
これでは話し合いが成立しません。BPOの仲介があってようやく、まともな交渉ができるようになった。NHKの人たちの話の通じなさには閉口しましたよ。お互いに日本語を話しているのに、どうしてこんなにすれ違うのかと。
まさか公共放送がそんな無体なことはしないだろうと、油断していた面もあります。「天下のNHK」という絶大な信用力とは裏腹の「いい加減さ」と「不誠実さ」に、怒りを通り越して驚きあきれるばかりでした。NHKに関しては、イメージと実態とのギャップが大きいことも、騙されやすい要因かと思います。
番組制作の舞台裏を覗いてしまったことによる ”カルチャーショック” は、他にもありました。NHKに限ったことではありませんが、テレビ業界と世間一般では、虚実の境界線が大きくズレているようなのです。「ドキュメンタリーはやらせである」という言葉もあるように、”演出” の一環として事実を曲解、誇張、捏造することに、あまり抵抗感がなさそうなんですよ。
取材された側が「私はこんな発言をしていない」「事実と違います」と抗議しても、「この方が視聴者によく伝わるから」とか言って、悪びれる様子がない。こういった認識のズレがトラブルの一因なのでしょう。
テレビの世界と一般社会との間に深い溝があることを、私たちは知る必要があります。知らずにうっかり取材なんか受けた日には、泣きを見ること間違いなしですから。深い溝を乗り越えてテレビとうまく関わることができれば、最強なんですけどね。
最近はSNSが発達しているので、マスコミと個人が容易に接点を持てるようになっています。報道被害の危険性が増していてもおかしくはない。
事実、取材を受けて「こんなはずじゃなかった!」と嘆く人は後を絶ちません。この現状を少しでも変えることはできないだろうか……1年経った今は、そんなことを考えています。一緒に考えてくださる方がいたら、とてもうれしく思います。ぜひアイデアをお寄せください。
これからの1年も、コツコツ続けて行くつもりです。お付き合いいただけると幸いです。
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【本のご紹介】ドキュメンタリーの作り手の考え方がわかる本。有名なディレクターやカメラマンが多数登場します。立ち位置はそれぞれ異なっていますが、報道がはらむ暴力性に自覚的で公益を強く意識している人には、好感が持てますね。