整理することと違和感

最近寒い。衣替えなんてまだまだだと思っていたけれど、1週間過ぎたらあっという間に寒くって、しまっていなかったカーディガンを手放せなくなる。そろそろしまってるセーター類を出すか、と重い腰をやっと上げるのは決まったスケジュールではなくて寒さでしかなかった。衣替えをするのだから出すだけではなくて夏服を一通り整理しないとと思って、クローゼットの中から夏物を一通り引っ張り出す。

意外と多いな。
普段着る服は数着だけれど、他にも服はあった。
どうしてこの服着なかったんだろう、思う服がやたらある。
忘れていたのか、そもそも普段着ない服を着ようという気持ちすら湧かなくなっているのか、着ていく先がないからなのか、突然目の前に現れた事実に少し戸惑う。来年は夏服買わなくていいじゃないか。思った。

セーターを引っ張り出す。
やっぱりかさばるな、でもあったかそうだ。冬服買わなくていいじゃん。
あまり服持ってないと思っていたけれど、意外と持っていることに気づくのはこうした季節の変わり目のちょっとしたイベント。すっきりした。

意外とあっさり終わるのは衣替え。
持て余したエネルギーをどこに持っていくか。本棚。
もう1年くらいは整理していなくて、買った本を空いてる棚に入れてはまた次の棚。私の本棚の並びはなんの脈絡もなくなってきていた。
こういう整理を土曜日の昼間に、窓を開けて、気持ちいい秋風が吹き込む中でできればいいのだけれど、深夜1時。やっぱり私はこうなってしまう。

なんとなく買って冷蔵庫に入れっぱなしになっていたビールを飲んでみる気持ちになる。飲む。冷たくて美味しい。本棚の整理にかかる決心をする。ひとまず出版社別に並べてみようと思う。でも好きな作家の本は一つの棚に並べたい。では並べるほどの冊数がない作家たちの本はどのあたりにどう並べるか。棚を目の前にして何通りもシミュレーションする。楽しい。これは楽しいとしばらく考える。頭の中では何回も本の配置が変わる。普段目につきやすい位置、そうでない位置、目につくところには好きな本を置きたい。どんどん思いつく。

量が多い出版社別の棚、好きな作家の棚、あとはジャンルで分類。
棚から抜いた本は思いのほか多くて重い。締め切った部屋に埃が舞う。
一通り終わる。

違和感がすごい。普段目にしている並びじゃないこの空間。
元に戻したくなる衝動がぐっとくるが、もうその気力はないし、ビールもない。
ビール1缶でほどほどに酔った状態でこんなことするのではなかったのかもしれないと思うけれど、ビールがやる気の着火剤になったのは間違いなかったという確信は揺るがなかった。きっと明日の朝後悔するのかもしれない。

思いながら秋の整理を終えて眠る準備をした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?