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仁ある者は自ら行動する(『論語』雍也篇)

今回取り上げるのは『論語』雍也篇からの言葉。

仁者は先ず難んで後に獲
(読み:ジンシャはマずナヤんでノチにウ)

『論語』雍也篇

仁者は先に難しいことをやり遂げてから利益を得る、という意味。

弟子からの「仁とはどういうものか?」という質問に対して、孔子が答えた一文です。

つまり、仁徳を備えた人物はまず先に行動するので、その結果への見返りとして利益を得ることができる、ということですね。

相手や周囲が何かしてくれるのを待ってから動く、というわけではないのです。


私は心配性なので、周りが動いてから慎重に動き出すところがあります。

そのため、結果として、周囲から何かしていただいてからお返しに何かをする、という形になることが多いです。

いわゆる「ギブアンドテイク」ですね。

何かしていただいたことのご恩に報いる、という点ではそれでも良いのですが、仁徳ある人物になるには一歩足りません。

仁徳ある人物、つまり思いやりのある立派な人になるためにはどうすれば良いのか?

そのために必要なのは、こちらから先に動くこと、です。

孔子は『論語』の中で仁について色々と語っていますが、基本的にどれも大なり小なり抽象的になっています。

弟子との問答に答えて議論しているわけですから、ある程度は哲学的な内容になってしまうのも当然です。

しかし、孔子は弟子に応じて答え方を変えています。

理解の深い弟子には概念的な話をし、まだ理解の浅い弟子には具体的な回答を示す。

その具体的な回答を示しているのがこの箇所です。

「先ず難んで後に獲(マずナヤんでノチにウ)」を分解すると、大事なのは以下の2点になります。

  • まずは相手よりも先に自分から動く

  • その結果、利益を得ることができる

自分から動くことで、巡り巡って自分の利益につながるということですね。

情けは人の為ならず、に近い思想だと思います。

そういえば『新約聖書』にも似たような言葉がありますね。

与えよ、さらば与えられん

新約聖書「マタイ伝」

まずは自分から周囲に祝福を与えなさい、そうすれば神の祝福が与えられるでしょう、といった意味です。

四書五経の一つである『大学』にも似たような言葉があります。

自分から周囲に与える人のことを現代では「ギバー(Giver)」とも言いますが、こういった利他の姿勢は、古今東西いつでも大事な考え方なのだと改めて感じます。

私も、自分から行動することを習慣にしていきたいなと思いました。

仁者は先ず難んで後に獲
(読み:ジンシャはマずナヤんでノチにウ)

『論語』雍也篇

本日は『論語』から、「仁徳のある人物は自分から行動し、それが巡り巡って自分に利益として返ってくる」いう言葉をご紹介しました。

相手のために自分から行動するというのは、言うは易く行うは難し、です。

私も全然できていないので、改めて意識しなおそうと思います。


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