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相手に何かを求める前に、まずは自分から行動してみよう(『大学』傳九章)

今回取り上げるのは『大学』傳九章からの言葉。

諸れを己れに有して、而る后に諸れを人に求む
(読み:コれをオノれにユウして、シカるノチにコれをヒトにモトむ)

『大学』傳九章

まず自分から仁を実行して、それから相手にも仁を行うことを求める、という意味。

君子としてのあり方を語った言葉です。

つまり、相手に何かを求める際には、まず自分から何かしてあげなさい、ということですね。

一見するとギブアンドテイクを推奨しているように見えなくもないですが、本質はそうではありません。

相手からの見返りを期待して何かをしてあげるわけではなく、相手に何かを与え続けることで結果的に相手を動かすことになるのです。

以下の本では、そのような人物のことを「ギバー(Giver)」と呼んでいます。

他人に惜しみなく与える人、ということですね。

誰かから何かしてもらうのを待つのではなく、率先して自分から行動する。

その在り方を見て、相手の心も動かされるのだと思います。

『新約聖書』の「マタイ伝」にも似た言葉がありますね。

与えよ、さらば与えられん

新約聖書「マタイ伝」

意味は「デジタル大辞泉」が分かりやすいです。

「神に祈り求めなさい。そうすれば神は正しい信仰を与えてくださるだろう」の意。転じて、物事を成就するためには、与えられるのを待つのではなく、みずから進んで求める姿勢が大事だということ。

デジタル大辞泉

まさしくギバーですね。

洋の東西を問わず、まずは自分から相手に与える姿勢が大事なのだということが分かります。

私は仕事ではギブアンドテイクに寄ってしまいがちなので、自分から率先して行動することを心がけていきたいです。

諸れを己れに有して、而る后に諸れを人に求む
(読み:コれをオノれにユウして、シカるノチにコれをヒトにモトむ)

『大学』傳九章

相手に求める前に、まずは自分から率先して行動してみましょう。

見返りを求めずに与え続けるのはなかなか難しいことですが、その姿勢が巡り巡って将来の自分を助けてくれるようになるのだと思います。


中国古典が初めてという方には、分かりやすい現代語訳・原文・解説で楽しく読める「ビギナーズ・クラシックス」シリーズがおすすめです。


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