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客席からの眺め

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お箏の演奏会は楽しい! お箏の演奏会に行くといろんな曲、いろんな情景に出会うことが出来ます。 どんな物を聴いて、何を感じたのか。素人が聴きに行った演奏会の感想を、綴ります。
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#演奏会

「第三回川瀬露秋の会 ~懐い継なぐ~」

「第三回川瀬露秋の会 ~懐い継なぐ~」

紀尾井ホール小ホール。
生田流箏曲白秋会を率いるお家元の会。
江戸時代の曲を、箏・三味線・胡弓で演奏。

と聞くと、
堅苦しそう、かしこまって聞かなくてはならなくて、そして眠そう。
そんなイメージを持たれるかもしれません。
しかし、そのイメージが覆る「演奏会」ではなく「ライブ」でした。

幕開けは2面の長磯箏で「みだれ/京みだれ」
長磯箏は、豪華な装飾がなされたお箏です。
蒔絵や螺鈿、鼈甲で彩ら

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「野坂惠璃二十五絃箏リサイタル ~繋~」

「野坂惠璃二十五絃箏リサイタル ~繋~」

二十五絃箏を作られた野坂操寿さんの娘さんでいらっしゃる、惠璃さんのリサイタルです。
とても、とても、素敵でした。

「赤とんぼ」
右手の爪音からトンボが飛び回り、左手からは茜色から藍色に移り変わる空と秋の空気が立ち上ります。
「雪は降る」
音が鳴っているのに、雪に吸い込まれた無音の世界が広がります。
辺り一面、真っ白で、何も見えず、何も聞こえない世界。
音が鳴っているのに。
「胡哦」
美しい美し

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「第9回 山本亜美 箏 二十五絃箏リサイタル ~手繰る、みちしるべ~」

「第9回 山本亜美 箏 二十五絃箏リサイタル ~手繰る、みちしるべ~」

昨年行きそびれてしまった山本亜美さんのリサイタル。
ようやく行くことが出来ました。
今年のテーマは「手繰る、みちしるべ」
様々なご縁が繋がり実現したという、貴重なプログラムを披露してくださいました。

まずは何と言っても、「太助箏」
江戸時代の名工、菊岡太助が作った箏が、100年以上の時を超えて、舞台に登場しました。
美術館のコレクションになってもおかしくない、骨董品のような楽器です。
それが、

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「当道音楽会 第140回定期演奏会 ー未来へつなぐ伝統の音ー」

「当道音楽会 第140回定期演奏会 ー未来へつなぐ伝統の音ー」

当道音楽会は明治38年に設立された、箏・三絃・胡弓を伝承している団体です。
伝統文化の維持・継承をはかる団体であることに公益性を認められ、公益社団法人の認定を受けられています。
この度、第140回定期演奏会が、超豪華ゲストを招いて開催されるとのことで、足を運びました。

第1部は、ゲストの競演
「笹の露」
富山清琴さんの三絃と、菊原光治さんの箏、善養寺惠介さんの尺八です。
清琴さんと光治さんの掛

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「小池典子 箏・三絃・胡弓 リサイタル」

「小池典子 箏・三絃・胡弓 リサイタル」

数多くの舞台で素晴らしい演奏を披露してくださる小池典子さん。
記念すべきリサイタルと伺い、万難排して馳せ参じました。

長磯箏での「梅が枝」
柳川三味線での「ゆき」
胡弓での「荒城の月」
三絃での「尾上の松」
いずれも小池さんでなければ叶わないプログラムです。

合間に、野川美穂子さんによる楽器の解説がありました。
長磯箏は、京都を中心に使われた装飾性に富んだお箏です。
普段見かけるお箏より、

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「箏三重奏アンサンブル 糸が織りなすハーモニー」

「箏三重奏アンサンブル 糸が織りなすハーモニー」

箏の演奏形態は、一人の独奏から、大人数の大合奏まで、様々です。
中でも少人数のアンサンブルは、演奏者同士の息づかいや掛け合いがダイレクトに感じられて、曲の情景と共に、それらも味わうことができます。

今回は、幼少の頃から同門で切磋琢磨されてきた3人の演奏会。
お互いを知り尽くした阿吽の呼吸と、仲の良さが伝わってくる、とても心温まる会でした。

それぞれ春色のお着物で始まった前半。
折しも、3日

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「邦楽四重奏団 in 青葉」

「邦楽四重奏団 in 青葉」

「邦楽四重奏団」は、箏・三絃・十七絃・尺八の和楽器のカルテット
メンバーは平田紀子さん、寺井結子さん、中島裕康さん、黒田鈴尊さん
皆さまそれぞれが第一線で活躍されている、超実力派です。
演奏の素晴らしさはお墨付きなので、いつでも安心して聴きに行けます。

今回は、能舞台が設置されているホールでの公演ということで馳せ参じました。
千葉県立青葉の森公園の中にある芸術文化ホールです。
普段は普通のホー

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「高畠一郎 箏三絃十七絃リサイタル」

「高畠一郎 箏三絃十七絃リサイタル」

10月16日には箏のリサイタルを開催された高畠一郎さん。
伺ったのは11月3日の箏・三絃・十七絃のリサイタルです。

演奏曲はいずれも、原曲は昔ながらのお箏の曲。
これらが、高畠さんの手のかかると、古典だけど古典じゃない、とても、音が楽しい「音楽」会でした。

「嵯峨の秋幻想」高畠一郎編作曲2018
原曲は明治に菊末勾当により作曲された箏2面の曲「嵯峨の秋」です。
「嵯峨の秋」は平家物語「小督の

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「下野戸亜弓 箏曲リサイタル ー山田検校作品連続演奏会Ⅲ-」

「下野戸亜弓 箏曲リサイタル ー山田検校作品連続演奏会Ⅲ-」

山田流箏曲演奏家である下野戸亜弓さん。
2019年から、古典の会と現代曲の会をそれぞれ開催されています。
本日の公演は、古典の会の3回目にあたります。
山田流は、声の表現も重視した流派で、歌も聴きどころです。
下野戸さんは、箏曲演奏家であり、かつ日本の歌唱法の専門家でもあります。
そのお歌を聴くのも楽しみに、足を運びました。
それぞれ趣向が凝らされた3曲が演奏されました。

「小督曲」
平家物

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「第二回 奥田雅楽之一 演奏会」

「第二回 奥田雅楽之一 演奏会」

「客席からの眺め」は、当初は、和楽器を聴く機会も触る機会も無いけれど、音楽を聴くのは好きだという方々に、「和楽器の演奏会」の面白さをお伝えして、是非とも足を運んでいただきたい、との思いで書き始めました。
しかし、書いている本人があまりにも素人過ぎて、皆さまに面白さが伝わるのか、大変心許なく、今ではただの個人的な備忘録として書き連ねております。
何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます。

さて

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「紀尾井町サロンホール木曜コンサート『和醸』」

「紀尾井町サロンホール木曜コンサート『和醸』」

文字通り、待ちに待った公演でした。
過去2回延期され、3度目に設定されたこの日も、開催が危ぶまれ、祈るような気持ちで当日を迎えました。
万全の対策をとって開催してくだった主催者さまと関係者のみなさまには、本当に、心より御礼申し上げます。

タイトルは「和醸 邦楽と洋楽が醸し出す和の世界へ」。
場所はアーク紀尾井町サロンホール。
こだわりの音響設計がされた、暖かみのあるサロンです。
通常は縦長に使

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「第4回 翔の会」

「第4回 翔の会」

最近、山田流の演奏があると聞くと、つい馳せ参じてしまいます。
山田流らしい歌や、風情のある曲にとても惹かれます。
というわけで、山田流の演奏家の会「邦楽ぐるーぷ翔の会」に行って参りました。

第1部は、埼玉県立川越女子高等学校箏曲部との合奏。
「六段調」と「ひぐらし」

紡ぎ出される一音一音から、ひたむきに、真摯に取り組んで来られた情景が、ありありと浮かびます。
きっと、部員全員で、悩み葛藤しなが

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「第42回 箏曲新潮会 勉強会」

「第42回 箏曲新潮会 勉強会」

箏曲新潮会は、東京藝術大学邦楽科山田流箏曲専攻の卒業生の会です。
この公演は、コロナのおかげで2年ぶりの開催だったようです。
無事に開催してくださって、本当に良かったです。

山田検校他、江戸時代の曲を前後に4曲。
間に明治の「向島八景」と昭和の「三つの断章」が並んでいます。

古典のお箏らしい音色も堪能しつつ、長唄チックな向島八景と、ドラマチックな三つの断章。
あっという間のひとときでした。

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「三曲の会」

「三曲の会」

国立劇場開場55周年記念 邦楽鑑賞会 三曲の会
「平家物語をたどる」と「源氏物語をたどる」の2公演
欲張りまして、両方行って参りました。

とても楽しかったです。
「邦楽鑑賞 三曲の会」は「斯界の流派や芸系を越えて、第一線で活躍する出演陣が一堂に会する公演」とのことで、国宝級の名手の方々がご出演されます。

今回のテーマは、平家物語と源氏物語。
いずれも、能・歌舞伎・文楽など、多くの芸能に取り入れ

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