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山と川 二つの清水 倭姫命版ヒーローズジャーニー28ことの葉綴り九九六

金運招来の寅の日、心も平らかに


 
おはようございます。日の出もゆっくりとなり雨音が耳に届く朝です。また日暮れも早くなりましたね。
十一月二十一日(月)の暦は、六曜は「先勝」で、午前が吉。先んじることで幸を勝ちとるとされる日。十二直は「たいら」物事が平らかに平等円満になる日。お祝いごと、旅行、引越し、建築、婚姻すべて障りなし。二十八宿は「しん」で、神仏の祭祀、お参り、旅行、引越しに吉。
そして、吉祥日の「寅の日」。千里を往き千里を還る虎にちなみ、出たものは還ってくるという金運や旅に佳き日です。
樹木の葉も色づき晩秋から冬の気配を感じるころですね。明日はもう二十四節気の「小雪しょうせつ」。
皆さま、今週も温かくしてお元気にお過ごしくださいね。
 

神話の持つ力は誰しもの中にある


 
古から世界中に伝わる神話の主人公は、「英雄は旅立ち、成し遂げ、生還する」という法則があります。
流れは、これまでいたところから「①分離」旅だち →仲間や賢者と出会い、 ②移行「試練、通過儀礼」 難関やドラゴンという敵や恐れと対峙し→やがてそれを乗り越えて、成長し旅の経験を ③ 「統合」し、英雄へと「変容」し、帰還するという流れになっています。

「神話の力」を提唱した宗教学者ジョーセフ・キャンベルは、「神話は、人間生活の精神的な可能性を探る鍵」といいます。
この度の過程は、人の内面的成長、癒しのプロセスでもあるのです。

神話で、最大の敵として現れる“ドラゴン”“怪物”は、私たちの持つ最大の「恐れ」そのものです。
この「恐れ」から逃げずに、向き合い、自分の恐れを知ることができれば、恐れは終焉へと向かうとされます。

外側で起きている出来事や“現象”は、実は、自分の内側の投影。自分の中の恐れが、ドラゴンや怪物を創り出すのです。
そして、英雄の旅は、仲間や賢者とともに、戦い、怖れに向き合うことで、成長して乗り越えることで、真の力を得て、「英雄」へと変容するのです。

神話の物語を学ぶことは、自分自身の成長のプロセスが、「今、自分はどんなところに在るんだろう」と、自分自身に引き寄せて感じ、物語から力を与えてもらうこともできます。
 
 

喉を潤した、山と川、二つの清水


さて、今から二年年前、天照大御神さまを伊勢の神宮にお祀りされた倭姫命やまとひめのみことさまのご巡幸の物語『倭姫命世記やまとひめのみことせいき』を、神話の法則、倭姫版「ヒーローズジャーニー」として、読み解いています。

さて、数々の困難を一つ一つ乗り越えてきた倭姫命やまとひめのみことさま。

重臣たちの“仲間”とともに、天照大御神さまをお祀りするき宮処を探し続けて四十年。
伊勢の国の中でも、もっとも皇太神にふさわしいところをと、さらにいいところ、もっとも吉きところと、妥協せずに懸命に探し続け……やがて、信頼する“相棒”の大若子命おおわくごのみことから、「宇治の五十鈴川の川上に、き御宮処がございます」と、嬉しい報告がやってきました。
 
大喜びされた倭姫命やまとひめのみことさまは、出迎えた大若子命おおわくごのみことたちと、御船に乗船されて、宮川から宇治川の候補地を目指します!!

今度は、無事に佳き聖地がみつかるでしょうか。

宮川から伊勢湾へと船は進んでいきます。
宮川の河口の浜では、老翁から、ご馳走された冷たい清水で喉を潤します。
その浜は、老翁の名をとり「鷲ケ浜」と名付けられ、その清水にちなみ「|水饗社《みずあえのやしろ」を定められました。
伊勢市神社港にご鎮座する「御食みけ神社」さんは、この「|水饗社《みずあえのやしろ」の比定地の一つで、今も、この清水を汲んだ伝承の残る「辰の井」があり、今も、新たな年の初の辰の日に「お水取り」が続けられており、この清水は、水難、災難除けができる伝承もあるのです。

御食神社


御食神社 辰の井

倭姫命やまとひめのみことさま南伊勢の山の中でも、清水で喉を潤されました。


南伊勢 山中の倭姫命の清水


このときは、先が見えない旅の五里霧中の中で、きっと体も疲弊しての、足元も険しい山の中を歩きながら、喉もからからに乾き、心も不安の中での“命を繋ぐ水”であったように思います。
宮川の河口まで進まれて、喉を潤された「水」は、また山中の清水とはちがい、喉は乾かれていたものの「宮処の候補地を目指す」という、喜び溢れた、美味しい水だったでしょうね。
“相棒”も一緒ですし!

さあ、宮川から伊勢湾へ。
目指すは、宇治川です!

御食神社

―次回へ

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