我が身を犠牲に産んだ火の神 伊邪那岐・伊邪那美さま⑮ことの葉綴り。其の六七
命がけでの火の神誕生
この子を生みしによりて、
みほと炙かえへ病み臥せり。
火の神さまをお産みになったことで
女性の陰部を大火傷なさって
病の床にふせられて寝たきりになられた
伊邪那美命さま。
おはようございます。夜中の地震速報、ドキッとしますね。
この連休、災害にも気を付けていたいものですね。
今週は仕事をしながらですが、超サボり屋がnoteに向かいます。
お話は、神生みのところなので、漢字が多くすいませんが、
「八百万の神さまが多いのだ」と、ご了承ください。
初のご夫婦神となられた
伊邪那(いざな)岐(ぎ)・伊邪那(いざな)美(み)さま。
「国生み」と、大自然のさまざま「神生み」をされました。
日本の神さまとは、
この世界にあるすべての事、
物の働きで、
人間はその働きに、「聖」なるものを感じ取り
名前を奉ってお祭りしているのです。今も……。
世界の神話の中でも
伊邪那美命さまのように
国土を産まれた女神さまは
いらっしゃらないそうです。
そして、「火」の神さまを
お産みになったことで、
陰部を大火傷されて
床に寝付かれてしまったのです。
この火の神さまには、三つのお名前があります。
火之夜藝速男神(ひのやぎはやをのかみ)
火之炫毘古神(ひのかがびひこのかみ)といい、
さらに、火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)
母神である伊邪那美命さまは
病の中にあっても
我が身を犠牲にされながら、
次々と、神生みをされていくのです。
病に伏してなおの神生み
床の中で体が衰弱された伊邪那美命さま。
苦しくて嘔吐された、その吐しゃぶつからは
金山毘古神(かなやまびこのかみ)と、
金山毘売神(かなやまびめのかみ)
を、お産みになりました。
この二柱の神さまは、鉱山の神さまで
鉄器の文明への道を開かれたのです。
さらに、苦しまれながら伊邪那美さまの屎
大便からも、
波邇夜須毘古神(はにやすびこのかみ)と
波邇夜須毘売神(はにやすびめのかみ)
を、お産みに成られます。
こちらは、波邇(はに)は、ねばねばとした粘土の神さま。
埴輪(はにわ)のはにでもあるように
土器の文明への道を開かれました。
ここで終わりではありません。
もう~そんなにがんばらないでくださ~い!
こう綴っていても
そう手を合わせたくなりますが。
伊邪那美命さまは、まだ我が身から神を生まれます。
次には、ご自身の尿からは
彌都波能売神(みつはのめのかみ)さま。
こちらは、水の神様。水の中でも田畑に供給する灌漑用の水の神。
また、和久産巣日神(わくむすひのかみ)さまが誕生します。
こちらは、田畑の農業の生産をつかさどる若々しい神さまです。
この和久産巣日神さまの御子が
食物をつかさどる、豐受氣毘売神(とようけびめのかみ)さま。
そう! 伊勢の神宮の外宮にお祭りされている女神様です!!
もう~どれだけ、人の歩みや暮らしや
「生きる」ことに必要な神さまを
お産みになってくださっていたのか……。
伊邪那美命さまの、母としての大きさを
感じずにいられません。
悲しいお別れ
そして……
そして……
伊邪那美命さまは、
遂に、
終に
神避りましき・・・…。
(かむさりましき)
伊邪那美命さまは、
火の神さまをお産みになったことが原因で
ついにいのちが途絶えて
身罷られたのです……。
ご夫婦の伊邪那岐命・伊邪那美命さまは
共にお産みになった島は
十四島。
お産みになった神さまは
三十五の神様。
男女神対となられている神さまを一神として数えて三十五神。
ここに最初に地上に降りられた
意能碁呂島(おのごろじま)は
まだご結婚前で、お産みになってはいません。
ご結婚をされて、最初にお産みになったけれど
悲しい別れをされた
蛭子と淡島は
この御子三十五には入っていません……。
伊邪那岐命さまの前で
目をつむられて静かに眠られた妻、母神さま。
伊邪那岐命さまも、御子の三十五の神さまも、
はじめてのことに
なすすべもありません。
ただ、枕元で手を取られ
お泣きになりました。
御子神たちは
母神さまの手を握り
母神さまの足をおすがりになり
お泣きになりました……。
―次回へ
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