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母神 伊邪那美様の偉大さ 伊邪那岐・伊邪那美さま⑭ことの葉綴り。其の六五

天を飛ぶ船?!


おはようございます。しとしとと雨音が優しく聞こえる、
みどりの日。いかがお過ごしですか? 

そして、超サボり屋が今朝もnoteに向かいます。
物語は神生みの段で、漢字が多いのですが、「そんなにも八百万の神さまが多いのだ」と、ご了承ください。

さて、初のご夫婦神となられた
伊邪那(いざな)岐(ぎ)・伊邪那(いざな)美(み)さま。
「国生み」のあと、海、川、水、風、樹木、山、野
と、大自然のさまざま「神生み」をされました。
そこから、前回は、東日本大震災のときに
東北の神社で発露した
神道のこころをご紹介しました。

八百万のどの神さまにも、
宇宙の大元の神さまからの
「いのち」と「ひかり」を受けています。

神とは、この世界にあるすべての事、
物の働きで、
人間はその働きに、「聖」なるものを感じ取り
名前を奉ってお祭りしています。今も……。

さて、そして、次にお産みなられたのは、
天鳥船(あめのとりふね)こと
鳥之石楠船神(とりのいはくすぶねのかみ)

どんな神さまだを思います?
漢字から想像してみてくださいね。

なんと、鳥のように天空や海上を通う
楠でできて頑丈な船だそう。
海ならわかるけど、天空もです!
鳥が大空を飛ぶように速い船のこと。
まるで、UFO?!(笑)みたいですね。

そういえば、つい最近
米国国防省が、上空を高速で移動するUFOの
映像を公開しましたね(^^)


少しお話が飛びますが……。
「十種祓詞」(とくさのはらへことば)
という祝詞には、天の磐船(あめのいわぶね)が、出てきます。
こちらは、磐(いわ)で出来ています……。

饒速日命(にぎはやみのみこと)は
天磐船(あめのいわふね)に乗りて
河内国の河上の
いかるが峯に
天降坐給(あまくだりましたま)ひしを

と、続きます。
少しお話がずれてしまいましたね。

神生みの物語に戻りましょう。

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今にも受け継がれる、皇室の「御養蚕」の起源

伊邪那美さまは次に、
大宜都比売神(おほげつひめのかみ)という
食物をつかさどる神さまをお産みになります。

国土の島々から、家屋の神さま
大自然のもろもろの神さま、
自然界が豊かになっていくのを感じられますね。

そして私たちが、「生きていく」のに必要な食の神さま

生命の源である食物の神
大宜都比売さまをお産みになられた伊邪那美さま
この大宜都比売さまも、以前、綴った
須佐之男命さまの物語でも登場されています。
高天原で傍若無人に暴力をふるわれて
地上へと追放になった須佐之男命さまに
自らの鼻、口、お尻から
味物(ためつもの)を出して献上しますが
「きたない」と、切り殺されて神さまです。
でも、その亡骸からさらに、
頭に蚕、目に稲、耳に粟、鼻に小豆、お尻に大豆
女陰部に麦が、生じたのです。
これが「食物」の起源の神話。

其の十四では、大宜都比売神さまは、大気津比売神(おほげつひめのかみ)と、紹介されています。↑


さらにこの、大宜都比売さまは、
機織りの源となる、養蚕の起源にもなっています。
宮中で今も、続く「ご養蚕」は、この神話が源なのですね。

追記ですが、「ご養蚕」は、462年の雄略天皇が、皇后さまに
桑の葉を摘んでご養蚕をお勧めしたことからはじまった
そうです。
現代では、明治天皇の皇后さま、昭憲皇太后陛下が、
おはじめになられ、英照皇太后、
大正時代の貞明皇后陛下から、皇居内の「紅葉山御養蚕所」で、
香淳皇后陛下、そして美智子皇后陛下と
代々、皇后陛下が引き継がれて、
令和の御代は、雅子皇后陛下にも受け継がれています。

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類をみない、母なる伊邪那美さまの偉大さ

伊邪那美さまのお産みになった神さまの
多いこと! 多様なこと!

心理学者の河合隼雄氏は、
ユダヤ・キリスト教の一神教では、
人類の歴史がはじまり
最後の約1万二千年から
農業や牧畜の生業がはじまり、
人間が自然を支配しようとしはじめ
言語も発展し、生き方を言語づける
「神話」を持つようになったこと。
そのときに、女性よりも男性を優位とする物語が生まれたと、思われる。

と、分析をしています。そして……


人間が自然のままに生きているとき
子どもを生み出す「母」が一番大切なのは当然であり、
大母神を中心とする神話が栄えたのであろう。
そのときに、敢えて、母から父へ、
女性から男性へと重点のシフトが生じた、
と考えらえる。
(略)
人間存在そのものは、そのような二分法には従うものではないのだ。
(略)
それでは、もっと自然との関係を切らない場合はどうなるのか。
そのひとつとして日本の神話があり、
それについて今後論じてゆくのだが……。

世界の神話を読んでいても、
偉大な女神が豊穣の神として
尊敬されているのは多くあるにしても、
国土そのものを生み出す女神というのは、
そんなにあるように思われない。
(略)
この国生みについては(ほかの神話と比較しても)
論文をみたことがない。
すべてのものを生み出すかに思えた女神も、
最後のところで、思いがけない災難に遭う。

ええ? 母神の伊邪那美さま、
どうなるのでしょうか?

そして、これだけの「国生み」「神生み」をされた女神さまは、

世界の神話の中でも類を見ないほと! というのもすごいですよね。

ただ、ここからは、少し悲しいお話になりそうです。

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火の神の誕生、そして悲劇が!

そして、食物の女神さまをお産みになられたあと、

この世に「火」が誕生します。

火之夜藝速男神(ひのやぎはやをのかみ)
これは、物を焼く威力を持つの火の神さまです。
お湯を沸かし食べ物を焼く、焼きつくし火力。
火焼速男さま。

この神さまは、またの名前を
火之炫毘古神(ひのかがびひこのかみ)といい、
暗闇を照らす火の明かり、火の輝く力の神さまで、
火の輝彦さま。

さらに、火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)
光輝く火が物を焼き、焼ける匂い、かぐ(嗅ぐ)と、
火の嗅ぐ霊。

メラメラを燃え盛る火の力、すさまじさが
目に浮かぶようですよね。

けれど……

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この子を生みしによりて、
みほと炙かえへ病み臥せり。

この火の神さまをお産みになったことで
女性の陰部を大火傷なさって
病の床にふせられて寝たきりになられたのです。

大丈夫なのでしょうか?

また明日に続きます。


“経験”は人の生きる力を養っていく……。
日々綴っている私自身にとって、
神さまの物語を毎日綴ることは、
どこか祈りにも近い尊いひとときを過ごさせてもらっています。
今日も最後まで、読んでいただき、ありがとうございます。

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―次回へ

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