駆け落ち 神様も失敗して成長した 大国主神⑩ ことのは綴り 其の二五
駆け落ちの決心
「人生に失敗がないと 人生を失敗する」
こんにちわ。更新復帰14回目。自宅にいる時間のおかげで続いてます。
心優しく、勇気と知恵深い大国主命さまの「ヒーローズ・ジャーニー」。
恋する青年神様は一大決心をされます。
どんな決心なのでしょうか。
根の堅洲国(かたすくに)で、6代前のご先祖でもある須佐之男命さまから出された難問を乗り越えてきました。
須勢理比売さまの“内助の功”をえて、須佐之男命さまを眠らせました。
「私は、ここにいてはだめだ。また殺されてしまう」
大穴牟遅神さまは、その瞬間、一大決心をします。
ぐっすり眠りこけている須佐之男命さまのもじゃもじゃの髪の毛をとり
大広間の天井板を支えている垂木(たるき)という木に、何本も結び付けていきました。
これで目が覚めても動けません。
次に五百石(いほびき)という巨岩の岩で広間の戸口を塞ぎました。
そして須勢理比売さまの手を取って、こう告げます。
「一緒ににげよう!」
すかさず、「はい」と頷いた須勢理比売さま。
返事をきくやいなや、大穴牟遅神さまは、自分の背に須勢理比売さまを背負いました。
そして、須佐之男命さまの「生大刀(いくたち)」「生弓矢(いくゆみや)」「天の詔琴(あめののりごと)」という、宝物3点セットの刀、弓、琴を奪い、根の堅洲国の宮殿から逃げ出したのでした!
この「生大刀(いくたち)」と「生弓矢(いくゆみや)」は、名の通り、生き生きとした生命にあふれる刀と弓矢で、須佐之男命さまの武力と政治的支配力を象徴するもの。
そして「天の詔琴(あめののりごと)」は、神様のご託宣を受けるときに使用するもので、須佐之男命さまが、葦原の中つ国を統べる王であることを象徴するものでした。
その王の象徴をするもの、愛する人の父から、自らの力で宝を奪い取り
恋する若き神の大穴牟遅神さまと、姫神の須勢理比売さまが、駆け落ちを果たしたのです。
目を覚ました須佐之男命さま!!
ところが……
逃げ出そうとしたとき、この「天の詔琴」が樹に触れてします、大地を揺るがすほどの大音響で鳴り響きました。
須佐之男命さまが、その琴の音に目を覚まし、動こうとしたものだから、髪に結ばれていた垂木がひっぱられて、大広間の柱が崩れ落ちてしまいました。
背中に愛する須勢理比売さまを背負った大穴牟遅神さま。
さあ、若い2柱の恋の駆け落ちはどうなるのでしょう?
次回へ――
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