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女神の命を懸けた出産 神様も“失敗”して成長した ことの葉綴り。百六十

一夜妻の妊娠

こんにちは。今日は夕方、「ことの葉綴り。」に向かうひとときが持てました。神話の物語の続き、さっそく入ります。


天孫降臨された邇邇芸命(ににぎのみこと)さま。
一目惚れをした山の神の大山津見神の娘の木花佐久夜毘賣(このはなさくやひめ)さまと、結ばれますが……。
大山津見神のもう一人(柱)の娘の石長比賣(いしながひめ)は醜さゆえに送り返してしまいます。

大山津見神は、二人(柱)の娘を嫁に送りだしましたが、
天つ神の御子の命の寿命は、雪が降りどれほどの風が吹いても、
永久に石(いわ)のごとくいつまでもゆるぎなく安泰に続くことを祈ってのことでした。

けれど、石長比賣を送り返したことにより、天つ神の御子の寿命は、木の花のようにもろく、はかないものになってしまったのです。

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それから、しばらくしてからのことです。

ある日、邇邇芸命さまの宮殿へ、木花佐久夜毘賣さまが参内してきました。

そして、こう告げたのです。

私は、あなたさまの御子を身ごもりまして、
今、産み月に入りました。
このお腹の中の子は、
天つ神を父とする御子ですから、
こっそりと私一人で産むわけには参りませんので
お知らせに参りました。

ええ~っ?

邇邇芸命さまは、突然の告白に驚きを隠せません。
まさか……たった一夜で……。
信じられない……。

そして、つい、こう口走ってしまうのです。

佐久夜毘賣よ、
あの日、たった一夜の契りしかなかったではないか。
それで、身ごもったと申すのか?……。

きっと、それは私の子ではあるまい。
だれか国つ神の子ではないのか?


いや~これを言われた木花佐久夜毘賣さまも
驚かれたでしょうね。

……ひどい……あまりにも、ひどい……。

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佐久夜毘賣さまの「誓約」


嫁にほしいと願われて嫁いだのに……
あの夜は、とても優しかったのに……。
なぜ、このようなひどいことを……。

ズタズタに傷ついたこころ。
悲しみもいかばかりか……。

桜の花の姫神で、麗しく美しい木花佐久夜毘賣さまですが、
けっして、泣き崩れてしまう、か弱い女神ではありませんでした。

私は、必ず、この疑いを晴らしてみせる!
私の身の潔白も明かしてみせる!

そして、「誓約(うけひ)」を決意されたのです。
「誓約」とは、ものごとの結果によって、ご神意をうかがうこと。
須佐之男命さまと天照大御神さまも、高天原で「誓約」をされました。それはこちらです。↓



木花佐久夜毘賣さまは、邇邇芸命さまに向かい
こう宣言されたのです。

そうですか。
そうおっしゃるのであれば、
私は、一人で子を産みます。
もし、私の身ごもった子が、国つ神の子であるなら
きっと無事に生まれてはこないでしょう。
天つ神、あなたの子であれば、
つつがなく無事に生まれてくるでしょう。


胸を張り堂々とそう仰られました。

強い~!

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誇り高き自尊心

そして、出入り口のない大きな産屋を建てて、
お産の日になると……。

大きなお腹を抱えられて、その産屋に入っていかれます。
その際に、外にいるものにむかいこう命じられました。

皆のもの、
私がこの産屋に入ったなら、この戸口を土で塗り固めて
出入りができないようにしなさい。
そして、産屋に火を放ちなさい!!

聞かされたものは、あまりのことに驚いております。
姫さま、それでは、姫さまが死んでしまいます。

いいのです。
私は、それで身の潔白を証明してみせます!!

そう仰られると、産屋の中へと入っていかれました。

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ご自身と赤ちゃんの命がけの出産。
そこに、ご神意をと誓われたのです

邇邇芸命さまが、駆けつけてみると
木花佐久夜毘賣さまは、産屋に入ったあとで、
その産屋は、激しい炎で燃え盛っていたのでした。

木花佐久夜毘賣さま、どうなるでしょうか?
私は、神話の女神さまたちが、
困難に負けずに立ち向かわれて
けっこう“お強い”おこころに態度
誇り高いところ、自尊心の強さ

大好きです(^^)
皆さんは、いかがでしょう?

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―次回へ。

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