見出し画像

悲しい見送り伊邪那岐伊邪那美⑦神様も失敗して成長した ことの葉綴り其の五七

聞く力


こんにちは。「ことの葉綴り。」57回目。
サボりくせのある私が、続けられています。
さまざまな“失敗”をされて成長されていく神さま。
“失敗”や“困難”と思う出来事は、生きる力を強くする!
神話の神代と今とを、自分で“往復”しながら、その都度発見があり楽しんでいます。ありがたいことです。
物語の進みがゆっくりにはなりますが……(苦笑)。

さて、前回は伊邪那(いざな)岐(ぎ)・伊邪那(いざな)美(み)さまの、ご結婚
みとのまぐはひに至るまでをご紹介しました。
結婚に至るまで、お互いに向けて
ど直球に深い問いをなげかけていく。


何を問うか……まさに聞く力。
私たちも、誰かと深いつながり、
ご縁を結びたいと願うとき。
自分自身を偽ったり、ごまかしたり、
本心に顔を背けては、それは叶わない。
相手のことを、本当に深く知りたいとき
真摯に、誠実に、まっすぐに
自分の心に向かい、そして相手にも向かう。
そして問いかける。
あなたはどんな人? 
私は、あなたのことをもっと知りたい……。
そこから生まれるコミュニケーションがある。
聞く力の大切さも、感じとれるように思います。

また男と女、陰と陽、
二極のものが混じるとき
そこから、新たな命が生まれていく。


結婚の儀式 右廻り・左廻り?!


「私とあなたとで、この天の御柱を行き巡りて、そしてお逢いして、“みとのまぐはひ”をしましょう」

伊邪那岐命と伊邪那美命さまは、結婚の儀式をとりおこない、そして夫婦の契りを結ぼうとされます。

伊邪那岐命(いざなぎのみこと)さまは、続けてこうおっしゃいました。
「伊邪那美、あなたは、この天にまで届く、天の御柱を右側から廻ってください。私は左から廻り、そして“出逢いましょう”」

伊邪那美命さまもうなづかれて、2柱の神様は、
この神聖な約束のもと、天の御柱を、
しずしずと厳かな気持ちと、
新たな人生の始まりへのワクワクと、
互いへの想いを感じながらそれぞれ右回り、左回りされました

そして、柱のある場所で、“出逢われた”とき
女神・伊邪那美命さまは、伊邪那岐命さまのお顔をご覧になると
「ああ、なんてすてきな殿方なのでしょう」

今でいうと、「ええ~っ、めちゃイケメン~好み~」?!

伊邪那岐命さまも、伊邪那美命さまを見つめて
「ああ~なんて美しい乙女なのでしょう」

今だと、壁ドンして「君はなんて美しいんだ~」って感じ……。

さらに続けて伊邪那岐命さまはこうも仰いました。
「女神が先に言うのはよくないです…………」


水蛭子と淡島との別れ

画像1

そうはいうものの、伊邪那岐命・伊邪那美命さまは、寝どころ(寝室)へと入られて、夫婦の交わりをもたれました。

そして赤ん坊が誕生します。
けれどお生まれになったのは、とてもとても小さくて、からだもやわらかくて骨がないようなふわふわな、水蛭子(ひるこ)だったのです。

それは悲しかったでしょうね……。

伊邪那岐命さまは、その小さな小さな柔らかな赤ちゃんを
葦でつくったお船に、おねんねするように、お乗せになりました。
小さな葦のお船を、海へと流されたのです。

波の上を漂う、葦の船
そこには生まれたばかりの、わが赤ちゃん。
やがて大きな波がきて
葦の小舟は見えなくなってしまいました……。

伊邪那美さまの母としてもお気持ちはどんなだったでしょう……。

画像2

そしてご夫婦神さまは、次にまた淡島という赤ちゃんをお産みになりましたが、こちらも、泡のような赤ん坊でしたので、御子の数には入らなかったのです。

これは、新婚の伊邪那岐・伊邪那美さまにとっては、深刻ですね。

どうずればいいのか、わかりませんでした。

「私たちが、産んだ赤ちゃんたちは、どうも丈夫ではなくよくありませんでしたね。
一度、高天原へのぼり、天つ神様のご意見を聞いてみましょう」

ご夫婦で、高天原へと昇っていかれたのです。

画像3


―次回へ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?