過ぎ去りし乙女の歳月に想いをはせて 雄略天皇十一 神話は今も生きている ことの葉綴り七八三
巳の日+神吉日+母倉日
おはようございます。まさに穀雨。ときおり雨が降り若葉や緑が美しいですね。新年度スタートし皆さんも慌ただしい日々かと思います。いつも「ことの葉綴り」に“お越し”いただき、本当にありがとうございます💛
四月二十二日(金)の暦の特徴は、なんといっても「金運招福」の「巳の日」!(^^)巳さんは、脱皮を繰り返して長寿なので、縁起がよく、白へびさんは弁財天さまのお使いで金運・財運にいい日とされます。
吉祥日の「母倉日」で、母が慈愛で子を育てるように、天が人々を慈しむとされます。特に婚礼がいい。
また、祭祀やご神事に関する吉日の「神吉日」も。神社のお参りやご先祖に手を合わせるのによい日。
六曜は「赤口」で、お昼前後の正午が吉。十二直は「除」で何か障害があればそれを取り除く日。薬の飲み始めや、クリニックへの通い始め、種まき、掃除もよし!
二十八宿は「婁」で、設備の工事や、縁談、婚礼、契約や相談ごと、旅行、引っ越しによいとされます。
GWを前にして、何かスッキリしておきたいことなどに着手するのによさそうですね。
さて、神話の物語に入ります。
<第二十一代雄略天皇さまがご即位されるまでの波乱の物語はこちら>
謀反に策略、家臣の裏切り、深い忠誠心、復讐が復讐を生んだ悲劇の連鎖……そこで生き残り、大長谷谷王が、ご即位されるまでの物語はこちらです。
聖帝とよばれた仁徳天皇さまの物語はこちら。
皇后若日下部王さまの父でもあります。
乙女の過ぎ去った悲しい歳月を想ひ
第二十一代、雄略天皇さまは、かつて容姿端麗な乙女の引田部の赤猪子に「宮中へと召し上げよう。他に嫁ぐでないぞ!」と、声をかけたことを、すっかりお忘れになっていました。
時は流れて……天皇さまの前に、一人の媼が、おびただしい結納の品を持って参内して参りました。
はて? この媼は誰であるか?
媼は、深く吐息を漏らすと、しっかりと面を上げて、かつて乙女であるころ求婚をされた赤猪子であること。
ずっとずっと、宮中へ召しあげられることを信じて嫁がずにいたこと。
悲しいことに、齢を重ね、身は痩せ萎み媼となり、もう召し上げられることは叶わぬとは思ってはみたけれど、ずっとずっとお慕いしお待ち申し上げていたこの乙女心を、お伝えしたかったと、心情を吐露したのです。
老女となった赤猪子の告白を聞きながら、雄略天皇さまは、たいそう驚かれてみるみる表情が変わられていきました。
そして―
私はかつて、そのようにそなたに声をかけたことをすっかり忘れてしまっておった。
それであるのに、そなたは、この私の言葉を純粋に信じ、志を守り続けて、待ち続け、女性としての盛りの歳月をむなしく過ごしてしまったとは……これ、なんと悲しくあわれなことか……。
そう、お仰られたのです。
ああ、私はなんと無慈悲なことをしてしまったのだろう……
そして心の中で、この赤猪子と、婚ひをすることもよぎったのです。
けれど、老女となった赤猪子をはばかり、きっと“それ”は、もう無理であろうと思われて、婚ひをすることはありませんでした……。
赤猪子の乙女心への御歌
けれど、赤猪子から奪ってしまった歳月に想いを馳せられて、また心を動かされて、赤猪子のために御歌を詠まれたのです。
神聖なる三輪山のお社のご神威のある樫の木。
この神聖なる樫の木のように、近寄ることが忌みはばかれるよ
三輪の橿原の乙女よ
引田部の若い栗林のように
ああ、若いころに、そなたと一緒に共寝をすればよかったのに……
すっかり老いてしまった……
ですって(^^)
雄略天皇さまは、幾星霜、乙女心で我が身を待ち続けてくれた赤猪子に、そのとき感じた侘びるこころ、と、「ああ~あの若いときに……ちゃんと結ばれていれば……」という思いも、素直に御歌に表されていますよね。
天皇さまより直接に、我が身のついての想いを御歌にされた赤猪子さんは、ボロボロと涙をこぼされて号泣されたそうです。長年の積もった思いも溶けていくように……。
―次回へ。
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