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幸せの種をまいて結ぼう 元伊勢五六 神話は今も生きている ことの葉綴り三八四

春分の日・春季皇霊祭


こんにちは。春分の日
皇居、宮中の皇霊殿で、天皇陛下が、歴代の天皇・皇后・皇親の御霊をお祀りする「春季皇霊祭(しゅんきこうれいさい)」がおこなわれましたね。伊勢の神宮でも、宮中の「春季皇霊祭(しゅんきこうれいさい)」に合わせて、遥拝式が行われます。
私は、今回も、伊勢の神宮に、天照大御神さまがお祀されるまでの「元伊勢」の物語を綴ります。

※これまでの1~343回までの、神代~13の神話の物語のまとめはこちらです。お好きな神様の物語をご覧になってください。


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吉志比女と吉彦の赤貝

伊勢国の「藤方片樋宮」(ふじかたかたひのみや)から、次のご巡幸地へ遷るとき、倭姫命さまは、阿佐加の海辺で、一生懸命に赤貝を漁(あさ)る、吉志比女(よしひめ)と、吉彦(よしひこ)と出会われます。

この吉志比女(よしひめ)と、吉彦(よしひこ)は、
皇太神(すまおほかみ)さまに、この伊勢の新鮮な赤貝を献上さしあげて、喜んでいただきたい!!」と、海辺で赤貝を採っていました。

大神さまのために、一生懸命に赤貝を採集しているとは、言葉にすることも、畏れ多いほど、なんと、ありがたいことでしょう
倭姫様さまは、吉志比女(よしひめ)と、吉彦(よしひこ)の御こころに、懸命に貝を探し回る姿にたいそう心打たれたのです。
そして……。

其の伎佐を太神の御贄(おほにへ)に進(たてまつ)らしめて、
佐佐牟(=鳥草樹)の木の枝を割(さ)き取りて、
生比伎(=火鑚ひき)に宇気比伎良世(うけひきらせ=誓ひ伐らせ)給(たま)ふときに、其の火伎理(ひきり=鑚きり)出(い)だして、采女(うねめ)忍比売(おしひめ)、我が作りし天の平瓫八十枚(あめのひらかやそひら)を持ちて、伊波比戸(いはひべ=忌瓫)に仕え奉りき。

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誓約(うけひ)で御神意を占って

倭姫命(やまとひめのみこと)さまは、吉志比女(よしひめ)と、吉彦(よしひこ)の漁った赤貝を、
まことに、ありがとう。そなたたちの漁ったこちらの赤貝を、天照大御神さまの、御贄(おほにえ)のお供えとして奉りましょう」と、献上させて、慎んで受け取ったのです。

吉志比女(よしひめ)と、吉彦(よしひこ)も、「やった~」と、大喜びで、砂浜を駆け回っていたことでしょうね。

そんな二人を、優しそうに微笑み見守る倭姫命さまのお姿が浮かびます。

倭姫命さまは、佐佐牟(ささむ、鳥草樹、ささぶ)というツツジ科の灌木の枝を切り裂いて手折りました。
そして、この枝が生木のまま火をつけて、火を鑚りおこし、火かつくかどうか? を占いました。
火がつけば、天照大御神さまの御こころに添ったものとして、奉るという、誓約(うけひ)をしたのです。

誓約(うけひ)」は、これまで、何度も出てきましたね。


天照大御神さまの御津杖代(みつえしろ)である、倭姫命さまは、大神さまのことで、何かをお決めになるとき、必ず、「誓約(うけひ)」をおこない、天照大御神さまの御神意をうかがっていたのですね。
ご巡幸をはじめられた頃にも、進むべき道を「誓約(うけひ)」で占い、大宇祢奈(おほうねな)と出会いましたよね。

さて、吉志比女(よしひめ)と吉彦(よしひこ)が、懸命に漁った赤貝は、天照大御神さまの御心にそったのでしょうか?

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天照大御神さまに赤貝を!

はい!
生木に火がつきました!!
天照大御神さまの御神意に適ったのです。
よかった、よかった~(^^)

倭姫命さまも、嬉しかったでしょう。
神さまや倭姫命さまの食事などを行う「采女(うねめ)」の忍比売(おしひめ)自身が手づくりした、「天の平瓫(あめのひらか」という神さまのご神饌をのせるお皿、八十枚に、吉志比女(よしひめ)と吉彦(よしひこ)の漁った赤貝を盛って、天照大御神さまに奉られたのでした!!!

よかった、よかった。

みんな、幸せ
吉志比女(よしひめ)と吉彦(よしひこ)も!
倭姫命さまも!
そして皇太神(すめおほかみ)さまこと、天照大御神さまも、喜ばれたでしょうね。

幸せや歓びも、小さな一つの誰かからの純粋でひたむきな想いから始まりますね。
それは、波となり、和となり、この物語のように、人から人へ
神さまへと、繋がり結ばれていくのですね。

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春分の日、宇宙元旦
どんな、歓びの種を、結んでいきましょうか?(^^)
私は、神話に登場される神さまに「ありがとうございます。大好きです」。
ことの葉綴り」を読んでくださっている皆さんに「ありがとうございます。これからの仲良くしてくださいね」の感謝を。
目には見えないけれど、古から命を結んでくれたご先祖たちに「いつも、ありがとう。大好きだよ
今を共に生きる家族、友人にありがとう。大切なかけがえない存在です」と。

ありがとう」とほほ笑みを結んでいきたい、春分の日です。
いつも、ありがとうございます!

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―次回へ

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