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心にも強く柔らかい柱を! 伊邪那岐伊邪那美⑤ 神様も失敗して成長した ことの葉綴り其の五五

天神諸の命と光を受け継いで

おはようございます。今朝も「ことの葉綴り。」に向かいます。
さまざまな“失敗”をされて成長されていく神さまが、
イキイキと綴られている神話。
「私も同じ悩みがある」と生きる“ヒント”になれば嬉しいです。そんな「神道のこころ」を綴っています。宜しくお願いします。

さて今日も、伊邪那(いざな)岐(ぎ)・伊邪那(いざな)美(み)さま物語。
初めてのご夫婦になられたところをご紹介です。

天神諸
あまつかみもろもろ、

と読みます。
この宇宙の真ん中に在る神さまから、
産霊(むすひ)のいのちの誕生、成長を司る神さま。
天と地が永遠であることを司る神さま
など、「いのち」の生成・成長を司る特別な神々のことです。

この天神諸から、「あなたたちが力を合わせて、この混沌とした水の上に漂う脂のような地上を固めて整えて、よい国をつくりなさい」と、委ねられた伊邪那(いざな)岐(ぎ)・伊邪那(いざな)美(み)さま。

「いのち」とひかりを受け継ぎ、
「国生み・神生み」をされたご夫婦神で、
私たちの「遠親」(とおつおや)ともいわれます。

そして、私たちの一人ひとりも
この天神諸からの「いのち」を
受け継いでいる存在なのです。

多くの人はそんなこと考えたこともないでしょう。
学校でも習わないし。
神話のことも教わらないし……

古来、神さまや一つの霊は
四つの特性がる「一霊四魂(いちれいしこん)」と
考えられていました。
「一霊」とは、その人やものの本源的な
「みたま」のことで「直(なほ)霊(び)」といいます。
この直霊が、その神や、人の「いのち」の輝き、煌めきそのもの。

私たちにも、この直霊(なほび)の輝き、煌めきが存るのです。

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それを頭の片隅にでも覚えてほしい。
心の端っこでも「そうなの?」と感じてみてほしい。


天の浮橋


さて、いよいよ、伊邪那岐・伊邪那美さまが
高天原から地上へと旅立つ日が来ました。
天神諸は、「修理固成(しゅりこせい)」の使命を委ねると共に、
玉で飾られた美しい一本の矛を授けられました。
「これは、天の沼矛(あめのぬぼこ)という、高天原の宝物です。
さあ、これでよい国をつくっていってください」

「ありがとう。ございます」

天津神諸は、若き伊邪那岐・伊邪那美さまを見送ります。
きっと「地上へよい国をつくりなさい」とはいっても
それは、かんたんにできることではないでしょう。
けれど、神々は、二人(二柱)に、それを委ねたのです。
神々のすべてを委ねて、お見送りになられます。
いつまでも、いつまでも
若き二柱の背を
深い深い慈しみと叡智と光で
送り出されたのでした。

碧い碧い空が広がります。
真っ白な雲が浮かんでいます。

やがて、伊邪那岐・伊邪那美さまは、
神さまが、地上に降りるための
天空に浮いてかかる橋
天の浮橋に立たれました。

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天と分かれたばかりの地上を見下ろすと、

お二柱(二人)は、お顔を見合わせて

「ええい」
天津神諸から賜った美しい天の沼矛を
お二柱でお持ちになって
どろどろと脂のように漂っている地上へと
矛を指し降ろしました。

そして、矛をぐるっぐるっとかき回します。

矛で、海の水をコロコロと、かき鳴らしていきます。

かき鳴らしたあと、矛を引き上げてきました。

引き上げてきたときです。

矛の先から、海の水がしたたり落ちていきます。
ぽとり、どろ~っ。
どろ~っ、ぽたり。
このどろ~どろ~っとした海の水は
見る見るうちに、自然と積もって重なっていき
一つの島に成っていったのです。

これを、淤能碁呂島(おのごろしま)といいます。

伊邪那岐・伊邪那美さまも、大喜びです。

さぁ、あの島へ行ってみましょう。

はい、地上へ降りてみましょう。

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天の御柱・心にも柱を

天上界にいらした伊邪那岐・伊邪那美さまは、
まだ海も脂のように漂えるなかに
新しく誕生した、淤能碁呂島(おのごろしま)へ。
はじめて、地上に降り立たれました。

最初に、二柱自身がなされたことは、
島の真ん中に、天上界にも届くような
神聖な、天の御柱(あめのみはしら)を
立てられました。

御柱というのは、神さまが依られる
とても、とても神聖な柱のことです。

きっと、天津神諸の神さまたちへ
「私たちは、こちら地上に降りたちました。
これから、この地上での国生み、神生みに一生懸命に励みます。
どうか、尊い天津神さまがた、天上界から、見守っていてください」
祈りと奉告と、
地上で使命を果たしていくという
伊邪那岐・伊邪那美さまの、
決意表明でもあったのでしょう。


家を建てるにも、柱がもっとも大事です。
私たち人間も、こころの中に
軸や柱がしっかりしている人は強いですよね。
生きる土台になります。


天照大御神さまをお祭りする
伊勢の神宮でも、
もっとも重要なのは、
ご正殿の床下にたつ
「心の御柱(しんのみはしら)」です。

長野県の古社・諏訪大社にも
七年に一度とりおこなわれる
「御柱祭(おんばしら)」があります。


柱とは、天と地を結び、
己が何をなすべきか?
を意識化させて、決意を強くしてくれます。

生命力溢れる、樹齢何百年の樹は、
太く、しっかりと大地に深く根ざし
天高く空を仰ぎ
風には葉がしなやかにそよぐ。

こころに立てる柱や軸も、こう在りたいですね。
地に足をつけてしっかりと生きる。
お天道さまを向いて生きる。
でも、風にそよぐしなやかさもある。
太くて固いだけだと、意外とポキっと折れてしまう。
強さと柔軟さ
天と地の結びつき
風と遊ぶ

さて、島の真ん中に
天までそびゆる、海中まで深く根差した
天の御柱を
二柱の意志と力で建てられたあと、
伊邪那岐・伊邪那美さまは、
この柱を中心に
とても広い、立派な御殿を建てられたのでした。

これは、二柱にとっての
新婚のための御殿でもあったのです!

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―次回へ

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