運命の歯車が狂うとき 安康天皇三 神話は今も生きている ことの葉綴り七五一
春のお参り連休
おはようございます。三連休の中日、いかがお過ごしでしょうか?
気温の低さと雨による、咲き始めの桜が気になりますね。
さて、三月二十日(日)の暦は、六曜が「先勝」で午前が吉。先んじることで吉を招くとされます。十二直は「執」で、万物を裁決し、何事かを執り行う日。祭祀、お参り。お祝いごと、建築、種まき、五穀の取り入れに吉。
二十八宿は「虚」で、学問始め、衣類の新調に吉。そして、祭祀、お参り、ご神事に関する吉日の「神吉日」です。
習い事始め、春のお洋服の新調もいいですね。
と、明日、二十一日は、春分の日ですね。
神社にお参り+ご先祖に手を合わせる春の連休いかがでしょう。
<神話の物語マガジン>
最新マガジンは、「仁徳天皇さまの物語」です。宜しくお願いします。
家臣根臣の邪心
第二十代、安康天皇さまは、弟の大長谷谷王の后に、叔母にあたる若日下王を希望されて、家臣を、叔父の大日下王の元へと遣わさました。
叔父の大日下王も、たいそう喜ばれて、この縁談をすぐに快諾されて、さらには家宝である、美しい押木の玉縵の冠を、結納の証として差し出されました。
安康天皇さまも、大日下王さまも、それぞれ弟、妹の大切な家族の幸せを願ってのことです。
けれど……“幸せが壊れるときは、いつも血の匂いがする”(『鬼滅の刃』by竈門炭次郎)……ではありませんが、運命の歯車が狂ってしまいます。
その元となるのは、使者となった家臣の坂本臣の祖、根臣でした。
天皇陛下の勅命を受けて、縁談にも嬉しい返事をもらい、家宝の冠まで預かって、大仕事をやりとげたはずでした。
でも、この押木の玉縵の冠の美しさに目を奪われてしまい、邪心が芽生えます。
我が物にしたい! どうしても欲しい!!!
大日下王さまが、嬉しさと、天皇への敬いの心の証として贈った宝の冠を、目にして、自分のものに盗み横取りしたのです。
まだ……まだ、盗むだけなら……運命は、多くの人を巻き込み動き出すことはなかったかもしれません……。
私たち、人間が、「欲」「邪心」が沸いたとき、その「欲」に手を伸ばし「悪事」をはたらいたとき……次にどう動くでしょう?
多くの人は、その「悪事」が、バレないようにと、「隠す」ことに力を使いますよね。
どうしたらバレないか? 悪知恵を働かせて、策を練ります。
この家臣根臣も、まさにそうでした。
欲と嘘から始まる悲劇
天皇のもとへと、根臣は報告に赴きます。
「うむ、叔父の大日下王は息災であったか?
して、妹君若日下王を我が弟大長谷谷王の后にという話、喜んでくれたか?」
安康天皇さまは、きっと叔父もこの縁談話は、喜ばれるであろうと、期待されていたと思います。
ところが、家臣根臣の口からは、想いも寄らぬ言葉が返ってきたのです。
「はは~。大君さま。ここに根臣申し上げまする。
叔父の大日下王は、
天皇さまの勅命に、従われませんでした。
それどころか、『私の大切な妹を、同族の者の“下敷き”のようにはせぬ、決して妹はくれてはやらぬ!』と、仰ると、太刀の柄を手にして、立ち上がられて激怒されたのです」
なに!!!??? それは誠であるか??!!
根臣の報告は、安康天皇さまの予想を覆すのみならず、プライドもズタズタにされて、あまりのショックから、激しい怒りを起こさせました。
決して許せぬ!!! 兵を用意せよ
そして、安康天皇さまは、すぐに軍を起こされて、そのまま叔父の大日下王の屋敷へと向かわせて、叔父の命を奪ってしまったのです……。
悲劇の連鎖のはじまりは……一人の家臣の「欲」と「嘘」……。狂った運命の歯車が、大きく動き出してしまいます。
これは、古代も、今も、きっと同じなのでしょうね……。
―次回へ。
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