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よみがえり 伊邪那岐命 ことの葉綴り。其の八二

黄泉がえり 

おはようございます。今朝も「ことの葉綴り。」に向かいます。
初のご夫婦神の伊邪那岐命・伊邪那美命さま。
初の離婚をされた神さまでもありました。
妻は、黄泉の国をつかさどる大神となり、
夫は、この現世、葦原中つ国へと還られます。

「生と死」が分かれ
死者の国への旅は、
避けては通れない問題に直面し
“逃げ出さずに”向き合い、成長されて
別れを決意された伊邪那岐命さまの
ヒーローズ・ジャーニーでもありました。

葦原中つ国へ還ってこられた伊邪那岐命さま。
このことから
一度死の世界へ行ったものが
現世に戻ることを
「蘇る(よみがえる)」といふのだそうです。


ようやく死者の国から脱出し、
懐かしき葦原中つ国に戻られた伊邪那岐命さま。

私は、なんとも見る目も穢らわしい、死者の国に行ったことだろう。ほんとうにひどいひどい汚いところで、私の身も穢れてしまった。
だから私も身を清める禊をしなければ。

そうお考えになっって
筑紫の日向の橘の小門の阿波岐原にいかれました。

(つくしのひむかのたちばなのおどのあはぎはら)と読みます。

そこは陽の光が美しく、大きな河が海原へと続いていました。
今の宮崎県と言われています。

黄泉の国での、伊邪那岐命さまの“人生”生き方を
大きく変える出来事。
醜い死者たちから追われ、
愛した妻との別れ

美しい日、輝く波光、青い空、たなびく雲
ご夫婦でお産みになった国土と神々
波音までもが清らかです。

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あ~ようやく黄泉の国から戻ってきたのだ


心から安堵されたでしょう。


すべて脱ぎ去って……

きっと、美しい空、海、大地、太陽
命の躍動を感じます。

きっと、走り出したい衝動がわかれたのではないでしょうか。

やった~!
われは生きているのだ~
黄泉の国から、戻ってきたぞ~!!

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「境」を守る神の誕生 前編

伊邪那岐命さまは、まず御杖を投げられました。
帯もときます。
物を入れていた袋も、エイッっと投げます。
衣も
袴も
冠も
腕輪も
珠飾りも

黄泉の国で身につけていた
すべてのものをとりはらい
脱ぎ捨てて
御身だけになられます。

穢れたものは、すべて脱ぎ去るのみ!

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まさしく、0になり
我が身だけになられた
伊邪那岐命さま。
すると、脱ぎ捨て投げ捨てられた“もの”からも
神々が次々に誕生していったのです。

どんな神さまが誕生されたのでしょうか?
ぜひ、神さまのお名前の漢字から想像してみてください。

まず御杖から生まれたのは
衝立船戸神(つきたつふなどのかみ)
またの名を、久那戸(くなど)の神とあります。
これは、黄泉比良坂を千引の岩でふさぎ
生と死の国の境をつくり
「ここからは来るな」と伊邪那美命さまに宣言されたときに
使った杖といれます。
そこから、「ここから来るな」という意味の神さま!
境にある魔物や邪を止めるストッパーとして、
わたしたちが旅をするとき、その安全を守ってくださり
悪霊や邪気を防いでくださる神さま
です。
よく、町と町の境にある道祖神、塞神(さえのかみ)。岐神としても知られています。

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次に御帯をといて投げ捨てると
道之長乳歯神(みちのながちはのかみ)
こちらは、黄泉の国から脱出された、長い長い道のりの末にたどりついたところに、この長き道をつかさどる岩の神さま。
こちらも黄泉の国の境界の「塞神(さえのかみ)」です。

手にしていた御袋を投げ捨てると
それは、時量師神(ときはかしのかみ)
袋は、もともと米や塩の“量”を測っていたものでした。
けれど、黄泉の国にいったことで、
袋の中には、穢れがぎっしり溜まってしまっていて。
伊邪那岐命さまが、袋を投げたことで
袋の口が開いて、穢れを“とき”はなつ神さまが産まれました。

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身に着けていらした御衣からは
和豆良比能宇斯能神(わづらひのうしのかみ)
わづらう
患い、煩い

字のとおりです。
これも、黄泉の国で着いた穢れ。
苦悩や困惑をつかさどり、
それを祓ってくださる神さま
です。

なにかもやもやしているときって
私たちの気も、淀んで動かずもやっとしますよね。
その悩みから解消されると、スッキリします。
そんな神さま!

脱ぎ捨てられた御袴からは
道俣神(みちまたのかみ)
袴って、腰から両足に二本に分かれてますよね。
この分かれ道を守ってくださる神さまで、
悪霊邪気を、この分かれ道で迷わせて、
私たちを守ってくださる
のです。


さらに、かぶっていらした御冠からは
飽咋之宇斯能神(あきぐひのうしのかみ)
こちらは、冠のひらいたところをお口として
口を開いて、人々の罪や穢れを
がぶっと食べて清めてくださる神さま
です。

おもしろいですよね。

どれもとってもユニークで
よく、こんなことが! と
発想力にも驚きます

そして、伊邪那岐命さまからは
この五柱以外にも
まだまだ、「境」を守る
神さまが誕生されていきますよ。

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―次回へ

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