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大山津見神の祈り 神様も“失敗”して成長した ことの葉綴り。百五八

大山津見神の思惑

こんにちは。猛暑ですが、皆さんお元気でしょうか?
さっきマンションのブレーカーが落ちて、ネットやテレビと通信がいきなり切れてびっくりですが復活して「ことの葉綴り。」に向かえました。(^^)


さて、神話の物語は……。
天孫降臨された邇邇芸命(ににぎのみこと)さま。
一目惚れをした桜の女神である木花佐久夜毘賣(このはなさくやひめ)さまの、父である山の神の大山津見神にも
婚姻を許されて、大喜び。
ところが、お嫁さんがいきなり二柱嫁いできたのでびっくり。。

恋に堕ちた見目麗しい木花佐久夜毘賣さまと
その姉の、石長比賣(いしながひめ)さま。

そして、邇邇芸命さまは、
醜いお顔の石長比売さまを娶ることなく
大山津見神さまの元へと、お返しになったのです。

大切な娘を追い返された大山津見神さまは、
邇邇芸命さまに、お手紙をお出しになりました。
そこには、なぜ、大事な娘神を二柱ともに
嫁がせたのか、その理由が、丁寧に綴られていました。

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大山津見神からの手紙

邇邇芸命さま
私が、我が娘を二たり並べて、邇邇芸命さまに差し出しましたのには理由がございます。

石長比賣(いわながひめ)を、あなたのお側において頂けるなら、
天つ神の御子の命の寿命は、雪が降りどれほどの風が吹いても、
永久に石(いわ)のごとくに変わらず、いつまでも動くことなく、
ゆるぎなく安泰に続きます。
また、妹の木花佐久夜毘賣の方は、木の花が咲くように咲くように栄えるであろうと、
私は、神に祈り誓いを立てて、大切な二人の娘神を、
あなたさまに奉ったのです。

けれども残念なことに、あなたさまは、石長比賣をお返しになり、
木花佐久夜毘賣一人を、お留めになられました。
それゆえ、天つ神の御子の命の寿命は、木の花のように、ただもろく、はかなくていらっしゃるでしょう。

読み終えた邇邇芸命さまは、言葉も出ずに驚かれたでしょう。
大山津見神さまの思惑や、祈りのことなどつゆ知らずに
石長比賣さまを、お返ししてしまったのですから……。

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限りある命

けれど、もう、遅かったのです……。

神話にはこう続きます。

故、ここをもちて今に至るまで、天皇命等の御命長くまさざるなり。

それゆえ、それから今に至るまで、天皇をはじめ人の命には寿命がある。

山の神である大山津見神さまも
伊邪那岐命・伊邪那美命さまの国生みで生まれた神さまです。

伊邪那岐命さまと、妻で黄泉の国へ行かれた伊邪那美命さまは、
最後に「黄泉津比良坂」で、、夫婦喧嘩をされてお別れになります。
それは、人には「生」と「死」の境があるのだということを神話は物語っていました。

そして、この、天孫の邇邇芸命さまのこのお話は、
人の「生」にも「寿命」がある。
命には限りがある……ということを、伝えているのです。

限りある命
だからこそ、毎日の暮らし、
一日一日が、尊いものなのだ
そんなことを、訓えてくれている気がします

神話は今も、生きている……。

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―次回へ。

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