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上橋菜穂子「精霊の守り人」

東洋系異世界ファンタジー
子ども向けと侮るなかれ 大人が読んでも充分楽しめる
上橋さんらしくしっかりと世界が構築されているので 映像が頭の中に浮かぶようで 時間を忘れて物語の中に入り込んでしまう

まず主人公のバルサが30代の女性という設定が素晴らしい
ファンタジーの主役には勇敢な美少女か気の弱い少年しかなれないものと思っていたが 大きな誤解だ

自分が背負わされた惨い運命と心の傷と戦いながら
命をねらわれる幼い皇子チャグムを守るバルサがかっこいい

怒りや憎しみと向き合いながら 少しずつ強くなっていくチャグム
バルサを見守り 運命の呪縛から逃れられるのを待つ 幼なじみのタンダも魅力的だ

なぜ、と問うてもわからないなにかが、突然、自分を取り巻く世界を変えてしまう。
それでも、その変わってしまった世界の中で、もがきながら、必死に生きていくしかないのだ。

だれしもが、自分らしい、もがき方で生きぬいていく。まったく後悔のない生き方など、きっと、ありはしないのだ。

なにかが突然世界を変えてしまう…まるでコロナによって変えられてしまった今のことを言っているかのようだ

私たちもまたこの変わってしまった世の中で 生きていくしかないのだろう



(2008.04.18) 加筆2021.01.10

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