吉田ことほぎ

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次世代高齢者は無いモノ探しをするんやろか

うちの父(88)は太平洋戦争の終戦を 10歳で迎えた。 4きょうだいの末っ子、4つほど離れた姉とともに祖父の里や祖母の里を転々としながらの少年期 疎遠ではない親戚宅への縁故疎開で それなりに食べさせてもらえたそうで飢えて死にそう、という経験はしていない。 もうほとんどご存命ではないが 戦場を経験された方 満州引き揚げの方  そして 親を亡くされて戦災孤児として育った方の壮絶なご経験を思えば恵まれておる とはいえ、農家の子ではなかったから 食べ物が思うようにならない、物が

    • coolな介護などあるかいな

      わかってたけどね。 結局どんな関係性であっても よほどここに至るまでに親との関係を整理していないと 親が弱ってゆくことのプロセスを目の当たりにふるのはつらいのだ。 どれだけ知識があっても この辛い、感情だけは自分でなんとかせねばならぬ。 従姉妹がボロボロになりながら 30年勤続して、正社員として勤め上げてきた仕事も時短勤務を選び 収入を減らしながら (今から思えばそれでも雇用を続けてくれたその会社のシステムの素晴らしさよ→先見の明のある会社なのです) 認知症を10年以上

      • お前のつくったくだらんアートに閉じ込められはしない

        父(88歳)どんどん認知症が進む。 気がつけばレビー小体型認知症・パーキンソン症候群・水頭症といろんな病名がつく人になってしまった。心臓も腎臓も肝臓もなんの異常もないのにね。 お正月 去年の正月は弟一家が来て その年新卒就職をする孫長男へのお祝いを 必死で用意していた父 今年はお正月だか夏なんだか お年玉だかなんのお祝いだか もう時間のない世界にただ浮かんでいる この冬になってから 夜になるとがらりと人格が変わる。 夜間せん妄というもの 昼間は穏やかで甘えん坊で不安化

        • 202309神(仏)は、居るっぽい

          暑い暑い夏が通り過ぎてゆき 父は一人前の認知症当事者への道を歩んでいる。 6月のもの忘れ外来受診時に レピー小体型認知症の診断が下り、介護度も一つあがった。 夜に起きてはだれか玄関にいるよ、と呟き 照明のリモコンを異次元空間への移動装置と思い込み(なんでや) 朝から晩まで財布や鍵を探している。 熱中症未満で食欲がなくなり 朝からOS1とお茶しか飲まない日が何日かあり ぎりぎりの判断で自宅で様子を見つつ 回復してから診てもらったかかりつけ医での血液検査の結果も異状なく よ

        次世代高齢者は無いモノ探しをするんやろか

          202305(沽券に関わるリハビリパンツ)

          とある日のこと わたしより少し年下の友人と話すことがあり いつも穏やかな彼女 お父さんのことでグチをぽろぽろと お父さん(76) 首都圏在住 定年退職後自宅庭を畑にしたり ドライブを楽しんだり 高齢出産だった友人の たいへんだった産後生活を助けてくれたり なかなか頼もしいじーじでいらしたのだが 昨秋 脳梗塞で倒れられた 幸い早く手当てを受け リハビリを経て 日常生活に戻れたのはよいが もうちょい のところでおしっこが待てない 目の前に便器がある わかっているのに我

          202305(沽券に関わるリハビリパンツ)

          202304高齢者男性のプライドについて

          生活環境によって高齢者男性のプライドが影響を受けることを考える。 - 文化的背景が影響する「男性らしさ」という価値観に関連付けられるプライドについて掘り下げる。 - 高齢者の一人暮らしや介護の必要性に対する男性のプライドを理解する必要があることを考える。 - 性別によって異なる社会的制約が高齢者男性のプライドに与える影響について考える。 - 誰もがプライドを持って生きているが、高齢者男性のプライドがなぜ特別なのかについて掘り下げる。 自立支援施策の観点から、高齢男性が社会的

          202304高齢者男性のプライドについて

          202302(お日さまと認知)

          わたしが実家に帰ると 父(87)はたいてい 自分の最近の状況を 客観的に話そうとしてくれる 夜に向かいのマンションで工事していることも 家の中で勝手にごはんを食べる人がいることも せっかく寝てんのにガイジン(戦中世代なのでこの表現をお許しください)がひょっこりベッド越しに現れることも 怖いとか闘う、やっつけたい、ではなく 「自分にお構いなく勝手に何かされたり、 家の中で何かされることがイヤやねん」 と、のほほんとおっしゃる。 これが夜になり 周りが暗くなってくると 「

          202302(お日さまと認知)

          202301(もの忘れ外来受診)

          今月2度目の帰省。 お正月後 せん妄と見られる症状が起こり始めた 父(87)の通院に付き添うためである。 お正月久しぶりに 子と孫全員が実家に揃い 孫4人 春から一人暮らし新社会人 振袖前撮り写真持ってきた新・成人 目指せ県代表・部活の新キャプテン女子高生 サッカーがんばってる小学生ボーイ それぞれ 名前もしっかり覚えていて それぞれ励ましのひとことを添え お年玉を渡していた父であるが 弟一家が去り わたしが去り 母と父、2人の日常が戻ったとき それはやってきた 向か

          202301(もの忘れ外来受診)

          2023お正月

          今年は父(87)が ちゃんと会話できる さいごのお正月かも、と 弟(52)が一家を連れてやってきた。 孫4人 久しぶりに揃っておおにぎわい 父もきちんと それぞれにお年玉を手渡しながら 春から就職する長男 新成人の長女 クラブキャプテンへ就任した次女 サッカーがんばる末っ子次男 それぞれに適切な応援やら檄やらお祝いやら 励ましやら 言葉をかけていて みんな揃って楽しいひとときを 過ごしましたのよ さて。 弟一家は帰って 父母 今日のサポートはわたし1人 父はわ

          わたし、のすべて

          わたし、というこの からだと思いのすべては わたし、という存在が この生きている日々を通して おこなう 壮大な実験なのだから だれのものでもなく わたし、が積み重ねるもの 自由であり まったくもって自由でない 瞬間をかさねてゆく

          わたし、のすべて

          帰る日に

          父(87)は わたしが実家に帰ると 「おまえ今日帰るんやったか」って 1日30回くらい聞いてくる。 でも帰る日になると 「おまえ帰るん明日やったっけ」と聞いてくる。 わかってるんやね。

          旬を味わうことは この季節が移ろう国の住民としてよろこびであったりただの日常であったり。その扱いかたは様々であろうかと。 が、頃合いを過ぎたものはただ その名残りを惜しむだけなのだ。 日々の生活に起こることもおなじ。 あのころあんなに夢中になったお菓子、ゲーム、音楽、人の集まり、服だったりスポーツだったりもしかすると学びだったり考え方や食生活だったり 他人になにかを依存していたとすると その人のなにか(あくまでもこちらからみた勝手なその人のとある一部であって本質ではな

          20200414

          どこかで感じないようにセンサーにフタをしているからか、ちいさなもの、こと一つ一つに心が揺れる。 通りすがりのおかあさんに抱かれた赤ちゃんが無心に空を見ているその目線に影を作る睫毛とか 鳥たちが掛け合いのさえずりを楽しんでいる、ええ絶対あれば楽しみを感じているその響きとか ハコベやなずなが素知らぬ顔で 小さな世界をつくっていて、その合間を蟻がチョロチョロと走るのが見えたときとか そんな小さな小さなことが ただ、ある そこに心のひだが こんなひだがあったとは気づかなかった

          梅雨の合間の日曜日

          今朝は昨夜とは打って変わって 突き抜けるような青い空と少し湿気を帯びた風がまあ梅雨の合間には違いないけどもう夏感たまらんな今日は外にいるだけでしあわせな空気やんな、という気分にしてくれた、のもつかの間 実家からかなり近いところの駅で「警官刺されて拳銃強奪された」というニュースを見てしまい ほんまにのんびりした住宅街で、たぶん、あそこの派出所で勤務なさってたら朝の5時など「あー今日は静かな土曜日やったな学生も騒がんかったし」みたいな夜明けだったと思うのですよ。ただた

          梅雨の合間の日曜日

          きつねうどん

          朝から水につけといた昆布(こぶ)の入った鍋に火を入れる 冷蔵庫からネギとお母ちゃんが甘く煮つけたお揚げさん出して ネギは斜めに切ってく。ざくざく。ざくざく。 こないだポイントキャンペーンのときに「業務用箱入り10㎏」乾麺のおうどん買うてみたけど、荷物、受け取ったお父ちゃんが往生しとったな。なにネットで買うてんねん、って。 うちはうどん食いやん。100人分なんか2か月持たんかもやで?て返したら せやな、って言うとった。 鍋がふうふうしてきたので昆布上げて かつお節入れてうわ

          きつねうどん

          おくることば

          夢の中で 検索しようとしても 打ち込み画面が真っ暗で ちがう言葉を 何度も打ってしまう。 その歌詞、ちがうよ なんだっけ、昔のドラマの歌なんだよ じゃググればだね でも打てない。 でもその歌は大事 思い出さなくちゃ 言えなかった心残りを 夢うつつの中思い出して少し笑う。

          おくることば